【追悼】チャドウィック・ボーズマン―― 映画業界から追悼の声続々

【追悼】チャドウィック・ボーズマン―― 映画業界から追悼の声続々
DFree / Shutterstock.com

『ブラックパンサー』(2018年)で主演を演じた俳優チャドウィック・ボーズマンが大腸がんのため亡くなった。43歳だった。共演者やハリウッド業界からは悲しみの声が続々と寄せられている。

ボーズマンは2013年公開の『42 ~世界を変えた男~』でアフリカ系アメリカ人のメジャーリーガーとして活躍したジャッキー・ロビンソンを演じ、『ジェームス・ブラウン ~最高の魂(ソウル)を持つ男~』(2014年)ではファンクの帝王ジェームズ・ブラウンを演じた。その後、マーベル・ヒーローのブラックパンサー役に抜擢され、『アベンジャーズ』シリーズ(2012年〜2019年)に出演、人気を博した。ボーズマンは生前がんと診断されたことを公表しておらず、約4年間闘病しながらも『マーシャル 法廷を変えた男』(2017年)やスパイク・リー監督によるNetflixオリジナル『ザ・ファイブ・ブラッズ』(2020年)など数々の作品に出演していた。

『アベンジャーズ』ファミリーから哀悼の声

ボーズマンの訃報を受け、生前共演した俳優たちや製作陣からは続々と追悼の声が寄せられている。

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年)『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)で監督をつとめたルッソ兄弟は「チャドウィックは偉大な誠実さと驚異的な才能を持ったエレガントな男だった。彼は全世代にむけて、立ち上がり、王のようになるように鼓舞した。彼を見習って敬意を表わそう。自分の才能を分かち合い、影響を与え合うおう。暗闇の中で光となるよう常に努力しよう。」とボーズマンの功績を称えた。

アイアンマン役で共演したロバート・ダウニー・Jr「ボーズマンは自らのハンディを超えて、命を賭けて戦っていた。英雄的なことだ。私は彼と過ごした楽しい日々や、笑い合ったこと、そして彼が僕たちのゲームチェンジャーとなったことを決して忘れないだろう。」と追悼した。

キャプテン・アメリカ役のクリス・エヴァンス「チャドウィックは特別で、真のオリジナルだった。彼はとても献身的で、常に好奇心旺盛なアーティストだった。彼にはまだ多くの素晴らしい作品が残されていた。私たちの友情に、惜しみない感謝を送るよ。レスト・イン・パワー、キング。」と追悼した。

また、ボーズマンが出演した『ザ・ファイブ・ブラッズ』の監督スパイク・リーは、自身のインスタグラムにボーズマンの写真やビデオを数々投稿、ボーズマンとの撮影時のことを振り返っている。

「タイで『ザ・ファイブ・ブラッズ』の撮影をした。とても暑かったし、ジャングルだし、山だし……という過酷な環境だったけど、チャドウィックはずっと一緒にいてくれたんだ。誰も彼が化学療法や治療を受けていることを知らなかったよ。」と明かした。

また「ボーズマンは決して文句を言わない人だ。彼はその一瞬一瞬に存在感を示し、その演技は、すべてを役に込めたものだった。チャドウィック、君がいなくて寂しいよ。君の生命に祝福あらんことを。」とつけ加えた。

自らも闘病中なのに……『ブラックパンサー』の撮影中、末期がんの子ども達を励ます

ボーズマンは、2018年の『ブラックパンサー』のトークセッションで、公開を心待ちにしていた2人の末期がん患者の少年たちとの関係について語っている。

「最近亡くなってしまった、イアンとテイラーという2人の小さな子どもがいた。がん患者だった。彼らが末期だと知って、撮影中彼らとずっと連絡を取っていたんだ。”この子たちは映画の公開を生きる糧にしている”と彼らの両親に言われたんだ。そう言われてから、早く起きてジムに行ったり、セリフやアクセントをしっかり覚えなきゃ! と思ったんだ。彼らがどれだけ映画を待ちわびているか、クリスマスや誕生日の時に、おもちゃやビデオゲームを待ちわびた子どもの時の気持ちを思い返してみたんだ。だから彼らが……(亡くなったと知った時……)」と言葉に詰まり涙を流した。

ボーズマン自身が闘病中だったにもかかわらず、末期がんの子どもたちを励まし続けたという彼の人柄が伝わるエピソードだ。

彼の素晴らしい功績は、永遠に皆の心に刻まれることだろう。ワカンダ・フォーエバー!

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