イザベル・ユペール作品タイトルにまつわる“ある法則”とは? 最新作『ポルトガル、夏の終わり』とともにその謎に迫る!

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ライター:ニュース編集部
イザベル・ユペール作品タイトルにまつわる“ある法則”とは? 最新作『ポルトガル、夏の終わり』とともにその謎に迫る!
『ポルトガル、夏の終わり』 © 2018 Photo Guy Ferrandis / SBS Productions

フランスの大女優イザベル・ユペール主演映画『ポルトガル、夏の終わり』が2020年8月14日(金)より全国で順次公開される。しかしユペールの作品を振り返ってみると、『エヴァ』(2018年)や『グレタ GRETA』(2019年)など、ユペール主演作のタイトルには彼女が演じる役名がつけられることが多い。それはなぜなのか……? 疑問に思っている映画ファンのために、そのタイトルの謎に迫る!

タイトルの謎、そのきっかけとは?

ユペールは『夏の日のフォスティーヌ』(1971年)で映画デビューを果たして以降、長編映画だけでも100本ほどに出演してきた。実は、主演作のタイトルに自身の役名がつけられ続てきたのは、最初からというわけではない。たとえば、ピアノ教師エリカ役で2001年の第54回カンヌ国際映画祭女優賞を受賞し、世界の映画ファンに衝撃を与えたミヒャエル・ハネケ監督作品のタイトルは『ピアニスト』だ。

やはりタイトルの謎の始まりは、日本でも大ヒットしたポール・ヴァーホーヴェン監督作『エル ELLE』(2016年)といえるだろう。『エル ELLE』での役名はミシェルだが、映画を観れば“彼女”(フランス語で“ELLE”)があまりにも大胆不敵なミシェルのことを指しているのは明らかだ。ハリウッドのA級女優が次々と出演を断るのを尻目に、出演を自ら立候補したユペールは、初のアカデミー賞主演女優賞ノミネートを果たし、“ヴァーホーヴェンいまだ健在”と世界中の映画ファンをうならせる事に大きく貢献した。そのユペールの忘れがたい快演が、のちの彼女の主演作のタイトルに大きな影響を与えたということだ。実際、『エル ELLE』の次に主演した『Souvenir(原題)』(2016年/日本未公開)から完成済みの最新作『La daronne(原題/英題:Mama Weed)』(2020年)までの映画主演作9作品のうち、なんと半分以上の5作品でユペールの役名が映画のタイトルに使用されている。

『エル ELLE』 ブルーレイ&DVD発売中(発売元:ギャガ) © 2015 SBS PRODUCTIONS – SBS FILMS– TWENTY TWENTY VISION FILMPRODUKTION – FRANCE 2 CINÉMA – ENTRE CHIEN ET LOUP

『エル ELLE』の成功が、タイトル変更のきっかけに!?

『キック・アス』シリーズ(2010年~)のクロエ・グレース・モレッツとのW主演を果たしたニール・ジョーダン監督作『グレタ GRETA』は、制作の初期、2016年当初のタイトルは全く違う「The Widow」(“未亡人”の意味)だったが、最終的にユペールの役名がタイトルに採用された。時期的にも 『エル ELLE』の世界的成功を受けて、彼女が演じる、孤独ゆえに常軌を逸した暴走を見せるサイコパス・グレタをフィーチャーするために、タイトル変更に踏み切ったと見ることができそうだ。

『グレタ GRETA』 9/2(水)よりDVD発売予定(発売・ 販売元: TCエンタテインメント) © Widow Movie, LLC and Showbox 2018. All Rights Reserved.

最新作『ポルトガル、夏の終わり』も、原題はユペールの役名!

このたび日本公開が迫る最新作も、フランキーという彼女の役名そのままに、原題は『Frankie』である。しかし邦題は『ポルトガル、夏の終わり』となった。なぜ本作は邦題が彼女の役名から離れたタイトルになったのか、気になる作品だ。

『ポルトガル、夏の終わり』2018 SBS PRODUCTIONS / O SOM E A FÚRIA © 2018 Photo Guy Ferrandis / SBS Productions

『ポルトガル、夏の終わり』でユペールが演じるのはヨーロッパを代表する女優フランキー。自らの余命があまり長くないと悟った彼女は、夏の終わりのバケーションと称してポルトガルの世界遺産シントラの町に家族や親友を呼び寄せ、最愛の者たちの人生を今のうちに少しだけ演出しようとする。しかし、それぞれに問題を抱える“ワケあり”な家族たちの選択は、フランキーの目論見通りにはいかず、次第に彼女の思い描いていた筋書きから大きく外れていき――。

本作は、町自体が世界遺産に認定されているというポルトガルのシントラを舞台に、早朝から日が沈むまでという1日のごく短い時間で繰り広げられる物語だが、このたった1日を通じて、フランキーと家族それぞれの、過去、現在、そして未来を垣間見ることになる。どの女優にも存在するであろう“女優のバカンス”をリラックスして演じているユペールの姿に、観る者は等身大の彼女の姿を重ねることができるのも、新鮮な経験となるだろう。

『ポルトガル、夏の終わり』は、2020年8月14日(金)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開。

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『ポルトガル、夏の終わり』

ヨーロッパを代表する女優フランキーは、夏の終わりのバケーションと称し、“この世のエデン”と呼ばれるポルトガルの世界遺産の町シントラ に一族と親友を呼び寄せる。自らの死期を悟った彼女は、亡きあとも愛する者たちが問題なく暮らしていけるよう、すべての段取りを整えよう としたのだ。しかし、それぞれに問題を抱えた家族たちの選択は、次第にフランキーの思い描いていた筋書きから大きく外れていき―

制作年: 2018
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