公開60周年『サイコ』7つの真実! ヒッチコックの世紀の傑作はこうして生まれた

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ライター:ニュース編集部
公開60周年『サイコ』7つの真実! ヒッチコックの世紀の傑作はこうして生まれた
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サスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督が手がけたスリラー・サスペンス映画『サイコ』(1940年)が公開から60年を迎える。その当時としては衝撃的な暴力と性描写が含まれていた本作は、ハリウッドの常識を覆し、映画製作の新しい時代の幕開けとなった。今だからこそ明かされる『サイコ』の知られざる真実をご紹介したい(ネタバレ注意!)。

1:オードリー・ヘプバーンとのプロジェクト中止が『サイコ』に繋がった⁉

ケイリー・グラント主演『北北西に進路を取れ』(1959年)のヒットを受けて、監督アルフレッド・ヒッチコックは当初、ハリウッドのアイコンであるオードリー・ヘプバーンを迎えた作品の製作を計画していた。「No Bail for the Judge」というサスペンスドラマで、ヘプバーンが不当に殺人罪に問われた裁判官の娘を演じることになっていた。しかし、この映画に資金を提供していたパラマウント・ピクチャーズは、ヘプバーンが殺人事件を捜査するために売春婦に変装し、茂みの中に引きずり込まれて強姦魔から身を守るという、度の過ぎた脚本に愕然とし、このシーンを削除させようとした。しかしヒッチコックはこれを拒否。パラマウントのアソシエイトプロデューサーであるハーバート・コールマンによって製作は中止となった。このときヒッチコックが考えていた代替案が『サイコ』だったという。

2:パラマウントは『サイコ』製作に反対していた!

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A break from the horror on the set of Psycho.

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性描写や暴力、女装などその当時では信じられない描写ばかりだった『サイコ』を、製作会社に提案した際に大騒ぎになったことは想像に難くない。パラマウント・ピクチャーズのその当時の社長バーニー・バラバンは、この映画の問題点を指摘するためにニューヨークからロサンゼルスに向かったと、ヒッチコックの伝記本で明かされているのだ。
ヒッチコックは映画を作る上で、当時存在していた厳しい検閲は乗り越えることができると主張したが、重役たちはこのプロジェクトに断固として反対。『サイコ』が「No Bail for the Judge」と同じ運命を辿らなかったのは、エージェントのルー・ワッサーマンが革新的な方法で映画を作ることを提案したからだという。

3:ヒッチコックはパラマウントとの賭けに勝った!

その提案とは、ヒッチコックが約2700万円(現在では約2億4000万)の給料を先送りしたことだ。これによりパラマウントは映画の公開を許可した。

パラマウントは、『サイコ』の興行成績は良くないだろうと考えてこの契約に同意。しかし、本作は1960年の興行収入で、スタンリー・キューブリック監督の『スパルタカス』(1960年)に次いで2番目に高い興行収入を記録し、ヒッチコックは最終的には約16億円(現在では約140億円)の収入を得ることとなった。

4:検閲官は水洗トイレのシーンに本当に激怒していた

当時の米映画界で導入されていたヘイズコードと呼ばれる自主規制項目に則り警鐘を鳴らされたのは、シャワーでマリオン・クレインが刺されるというショッキングなシーンだけでなく、そのシーンの前、マリオンが盗んだお金をいくら使ったか書き出した紙をトイレに流すシーンだったという。

スティーヴン・レベロ著「アルフレッド・ヒッチコック&ザ・メイキング・オブ・サイコ」の中で脚本家ジョセフ・ステファノが語ったところによると、「トイレを流すシーンはおろか、スクリーン上でトイレを見たこともなかった」という。スクリーンにトイレを映し、水まで流しているのは本作が初。ヒッチコックは、このシーンはマリオンが犯罪を犯し、ベイツ・モーテルにいた証拠として不可欠であると、検閲官を説得したという。

5:有名なシャワーシーン、実際に刺されているショットはない

映画史上最も記憶に残る瞬間と言っても過言ではない、マリオンが殺害される衝撃的なシャワーシーンは、わずか45秒の長さでありながら、78台のカメラを設置し、最終的に52カットで構成された。また、撮影には1週間かかり、これは映画の撮影スケジュールの3分の1にあたるという。断片的なシーンを組み合わせたモンタージュは観客を混乱させ、すばやいカットやナイフのクローズアップは、まるでマリオンが刺されるのを見ているかのような印象を与える。
彼女が胃のあたりをナイフで刺されているように見えるショットでは、実際には刃の先端に血をつけてマリオンの体から引き離し、逆再生させて彼女が刺されているように見えるようにしたという。

6:あの「血」は実はハーシーのチョコレートシロップだった!

ヒッチコックはインタビューで、この映画が白黒で撮影されている主な理由として、「カラーでバスタブから赤い血が流れ落ちるのを見るのはあまりにも不快だったから」と説明している。

血なまぐさい死を表現するため、代わりに何が使われたか? それは、よく知られた日用品。ジャネット・リーのボディ・ダブルを務めたマルリ・レンフロが「スタッフはハーシーのシロップを持っていて、それを水で薄めたものを血として使っていた」と、『サイコ』のドキュメンタリー映画『78/52』(2017年)で語っている。

7:ヒッチコックは当初、殺人シーンに音楽は必要ないと思っていた

ヒッチコックは元々、この映画の最も象徴的なシーンである殺人のシーンを無音にすることを考えていた。しかし、作曲家のバーナード・ハーマンの伝説的な音楽の旋律を聞いて、その考えは一変したという。
今では、悲鳴のようなあのバイオリンの音なしでこのシーンを想像することは不可能だ。ケン・モグ著「ザ・アルフレッド・ヒッチコック・ストーリー」によると、ヒッチコックはハーマンの音楽にとても満足しており、「『サイコ』の効果の33%は、音楽によるものだった」と語っている。

大ヒットの影には、多くの工夫や裏話が隠されていた。これらの内容を踏まえたうえで改めて作品を鑑賞すると、違った側面が見えてくるかもしれない。

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『サイコ』

会社の金を横領した女が立ち寄ったベイツ・モーテル。街を出る際、社長に目撃されたり、警察に怪しまれたりするが、何とかくぐり抜けることに成功。一軒のさびれたモーテルへ宿泊する。経営者の青年ノーマン・ベイツと語り合うことで、もう一度街へ戻り、やり直すことを決心するが、本当のサスペンスはそこから始まる。

制作年: 1960
監督:
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