白人警官による黒人男性殺害事件……映画界にも人種差別抗議運動「Black Lives Matter」広がる

白人警官による黒人男性殺害事件……映画界にも人種差別抗議運動「Black Lives Matter」広がる
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現在アメリカでは、ミネソタ州ミネアポリスで起きた、無抵抗の黒人男性ジョージ・フロイド氏を白人警官が押さえ続けて窒息死させた事件に端を発した、人種差別反対を訴える抗議運動が全土に広がっている。

https://www.instagram.com/p/CA2tGqzgFuc/

フロイド氏が「I can’t breathe(息ができない)」と懇願するも、白人警官が耳を傾けることはなかったことがわかっている。同様の事件は2014年にも発生しており、黒人男性のエリック・ガーナー氏が白人警官に首を絞められ死亡した際にも「息ができない」と懇願したという。

全米各地のデモ隊は、フロイド氏とガーナー氏の「I can’t breathe (息ができない)」という言葉をスローガンとして掲げ、人種的な偏見の苦しさを表明するデモ行進を続けている。この抗議運動は、映画業界でも広がりを見せている。

https://www.instagram.com/p/CAwpZCiFjRS/

映画業界のリーディングカンパニーが続々と声明を発表

ウォルト・ディズニー・カンパニー、Netflix、HBOなどの映画業界のリーディングカンパニーはSNS上で抗議活動を支持する声を上げ、人種差別や警察の暴力を非難する声明を続々と発表。

ディズニーが運営するHuluは、最初に抗議行動を行なった会社のひとつだ。

「私たちは黒人の生活を応援しています。今日も、そしてこれからも。あなたの存在は見えているし、あなたの声は届いています。そして私たちはあなたと共にあります。」

Netflixは「沈黙することは加担することだ。黒人の命は重要です。私たちの黒人のメンバー、従業員、クリエイター、タレントのために声を上げる義務があります。」と表明している。

マーベルは2018年に黒人が主人公のヒーロー映画『ブラックパンサー』を製作し、アカデミー賞で作曲賞、美術賞、衣装デザイン賞の3部門で受賞した。マーベル作品を展開するディズニーも同様にSNSで声明を出している。

「私たちは人種差別に反対します。私たちは多様性に賛同します。私たちは仲間の黒人従業員、ストーリーテラー、クリエーター、そして黒人コミュニティ全体を支持しています。私たちは団結して声を上げなければなりません。」

ハリウッド俳優も抗議デモに参加

『ハイ・フィデリティ』(2000年)のジョン・キューザックは、シカゴでの抗議デモに参加し、抗議活動中に警官と口論になった様子を自身のSNSで投稿した。
「燃えている車を撮影してたのが気に入らなかったみたいで、警官が警棒で向かってきたんだ。自転車を叩いてきたよ。」

『君の名前で僕を呼んで』(2017年)『ビューティフル・ボーイ』(2018年)のティモシー・シャラメはロサンゼルスで行われた抗議デモに参加していたようだ。

スパイク・リー監督は短編作品を発表!

過去にアカデミー賞を「白人寄りだ」として参加をボイコットするなど、たびたび黒人差別撲滅を訴えていたスパイク・リー監督。彼はジョージ・フロイド氏とエリック・ガーナー氏の死を、自身の1989年の映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』の、同じく警察の手によって殺害された登場人物、ラジオ・ラヒー厶になぞらえた、1分半の短編作品『3 Brothers』(※リンク先の作品は実際の事件の映像が使用されています)を公開した。

そしてCNNのインタビューで「(人種差別への抗議活動について)これは新しいことでは決してない。60年代の暴動やキング牧師の暗殺を見てきたが、事件が起きて正義が失われるたび、人々は自らの声を聞いてもらおうと、それぞれのやり方で反応しているんだ。私たちはこのようなことを、何度も何度も見てきた。問題は、黒人を殺し続けてなお、この国が成り立っていることなんだ。」と答えている。

https://twitter.com/SpikeLeeJoint/status/1267505364527792137?s=20

ライアン・レイノルズやJ・J・エイブラムス監督は寄付を通じて抗議活動に賛同

『デッドプール』シリーズ(2016年〜)のライアン・レイノルズと『ゴシップガール』(2007年~2012年)で知られる妻で女優のブレイク・ライブリーが、全米で行われている抗議行動を受けて、全米黒人地位向上協会のNAACP(法的防衛基金)に20万ドル(約2100万円)を寄付し、声明を発表した。

「僕たちは法律の解釈で子供たちを身構えさせたり、単に車を止めただけで何かが起きるだなんて、そんなことを心配する必要なんてなかった。そんな生活は理解できないし、そこから感じる恐怖や怒りなんて、とても想像できません。僕たちは、過去にどれほど根深い制度的人種差別があるか、知らなかったことを恥じています。」

https://www.instagram.com/p/CA3527Ep-ou/

『スター・ウォーズ』シリーズ(2015年〜)のJ・J・エイブラムス監督が所有する制作会社バッド・ロボット・プロダクションズは、人種差別撲滅を訴えるさまざまな団体に、5年間で1,000万ドル(約11億円)の寄付することを発表した。

「もう十分だ。警察の残虐行為や特権を誇示するのはもういい。丁寧な会話も十分。白人の慰めももう十分だ。何世紀にもわたって放置されてきた黒人の仲間たちへの虐待は、大規模な投資によってのみ解決することができる。企業や民間それぞれの慈善活動だけではこれらの制度的不平等に対処するために十分なインパクトを与えることはできないが、企業や個人は、我々の政治的指導者が主導して対策を講じるまで、できることをしなければならない。」と、持続的な支援をすることを声明で発表した。

https://www.instagram.com/p/CA6QI26pq7f

こんな時だからこそ観たい映画6選

過去に人種差別を題材にした映画が数々公開されているが、BANGER!!!でこれまでご紹介した作品の中から、ぜひ下記の映画をお勧めしたい。

セントラルパークで起こった暴行事件の容疑者として、ハーレムの少年5人が不当逮捕された実際の事件をNetflixオリジナルシリーズとしてドラマ化。

Netflixオリジナルシリーズ『ボクらを見る目』独占配信中

黒人と白人の仲良しコンビが、白人警官による黒人男性射殺をきっかけに、人種の違いや貧富の差が生むトラブルを描く物語

黒人刑事が白人至上主義団体「KKK(クー・クラックス・クラン)」潜入捜査したという実話に基づいた映画

事情のある子供たちを育てる黒人女性が、「ロサンゼルス暴動」に巻き込まれるさまを描く物語

1967年のデトロイト暴動の最中に発生したミシガン陸軍州兵による暴行及び殺人が行われ3人の黒人男性が死亡したアルジェ・モーテル事件を題材にした作品

冤罪による死刑制度から黒人たちを救うべく戦う実在の弁護士の物語

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