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「いい知れぬ感動を呼び起こす」「ただ⾝を委ねたくなる映画」“現在地を見失った青年の、再生を繊細に奏でる新しい音楽映画”『鳥を導く』

「いい知れぬ感動を呼び起こす」「ただ⾝を委ねたくなる映画」“現在地を見失った青年の、再生を繊細に奏でる新しい音楽映画”『鳥を導く』
©︎『鳥を導く』

「第48回サンパウロ国際映画祭」新人監督部門へ正式出品された尾崎健監督作『鳥を導く』が、10月31日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて2週間限定上映される。このたび、呉美保、蓮沼執太、伊藤高志、小川紗良ほか9名から推薦コメントが到着した。

現在地を見失った青年の再生を描く

東京で働く晴太は、広告で使用される音楽を作って生計を立てている。そんな中「自由に音楽を作って欲しい」という依頼に、自分が納得する音楽が浮かばずスランプに陥ってしまう。落ち込んだ晴太は行方をくらまし、幼少期に家族と過ごした山奥のペンションへと向かっていた。一人音楽と向き合う晴太だが、鳥の鳴き声に魅了されて録音することに夢中になる。そこへ、ろう者の姉・あずみが現れて……。

都会暮らしで自分らしさをすり減らした主人公・晴太を演じるのは、これが映画初主演となる稲川悟史。ろう者の両親の元で育ったルーツを持ち、本作では手話の監修や指導も担った。晴太の心の機微を丁寧に掬いとり、観る者の心と物語とを呼応させる。

2021年、コロナ禍において稲川悟史、田中志朋、尾崎健の3人が「映画を作ろう」と集まったことがきっかけで企画された本作。出演者を当て書きするシナリオではなく、2人の俳優がこれまで学ぶことのなかった技術を体得し、それを作品へと昇華させることをテーマに置いて制作は進められた。

稲川はこれまで触れる機会のなかった「音楽」、田中は表情や手などの動きが重要視されるコミュニケーションツール「手話」をそれぞれ選択。そして第39回ぴあフィルムフェスティバルに上映された『やさしいフルスイング』に続いてこれが長編2作目となる尾崎が、この2つの要素を取り入れた脚本を執筆し、監督を務め、3年という制作期間を経て、雄大な自然の中で見失った音楽と向き合い、新たな自分を発見する物語として完成した。

今回、ひと足先に本作を鑑賞した各界の著名人から推薦コメントが到着。

<コメント>

呉美保(映画監督)
⼀つひとつの画が、森の緑と相まって四隅まで美しい。ホン・サンス監督を思わせる、何気ない会話や沈黙の積み重ねから、それぞれの⼈となりや関係性が少しずつ浮かび上がってくる。柔らかな眼差しに、ただ⾝を委ねたくなる映画でした。

蓮沼執太(⾳楽家)
その⾳は、⾔葉をこえて、意味が剥がれて、世界と交わっていく姿。現代の「未知との遭遇」とも⾔える、⿃との邂逅シーン。晴太のサンプラーから世界に放出された声は、⿃を導く。その姿勢はオリヴィエ・メシアンやオノ・ヨーコ達を思い出しました。

伊藤⾼志(映画監督)
説明を極⼒排した静謐なショットの中で、登場⼈物たちの複雑で曖昧な⼼の交換が⾏われていくが、切実な孤独感がじんわりと伝わってきていい知れぬ感動を呼び起こす。セリフではなく映像で語るという強い信念がこの監督にはあり今後の活躍を期待したい。

⼩川紗良(⽂筆家・映像作家・俳優)
⾒失ってしまったものを、探しに⾏きたくなる映画。やわらかな⽊漏れ⽇、草⽊の匂い、⼩⿃のさえずり……そういったものに触れたときの素朴な感動を、思い出させてくれる。

⼭⻄⻯⽮(映画監督・劇作家)
連なる⼭々の緑の下、響く⾃然の⾳と、無意識にこぼれる⽣活⾳。私たちが暮らしの中で忘れてしまった細やかな尊さが、主演・稲川悟史が⽿を澄ますたび、スクリーンを通して語りかけてくる。忙しない現実を⽣きていくための深呼吸のような、静かで豊かな78分。

⼯藤梨穂(映画監督)
『幸せの⻘い⿃』の如く、森でそれぞれ求めるものを探す姉弟。「発⾒」を模索する彼らを通して描かれる⼈や⿃とのコミュニケーションに、相⼿を⾒つけようとする/相⼿に⾃分を⾒つけてもらう⾏為が、いかにこの世界へ誰かを繋ぎ⽌めるか、⽇常へ再接続するか、その可能性を⾒せてもらえた気がしました。過去を再現することはできないけど⼈⽣を再⽣することはできると私たちの背中を静かに押してくれるような映画です。

蘇鈺淳(映画監督)
⾳楽、⾔葉、⼿話、「⾳」とは何なのか、「コミュニケーション」とは何なのかを考えさせられる映画でした。⼿話を使った映画はこれまでも観てきましたが、『⿃を導く』の稲川悟史さんの⼿話を⾒て、初めて⼿話を習ってみたいと思いました。

福岡佐和⼦(しどろもどリ)
主⼈公の晴太に⾃分が重なり、 ⾃然の中で晴太が、体操としてジャンプするみたいに張りつめた中で気を抜きながら正直に⾃⾝の調和をしていく姿に、私まで徐々に整っていくような感覚になる。そして、意味や⾳をとびこえていく、加納⼟さん演じる太⼀のボディランゲージ、存在が最⾼!

はまださつき(しどろもどリ)
登場人物たちの愛おしさと森の空気といびきの音が私の脳をそっと健やかにしてくれた。そりゃうまくいくのが一番なんだけど、どうしようもないとき、それに耳を傾けるしかないときがある。それで何かがすっと解決したりはしないんだけど、でも耳を傾け続けることで、いつか大丈夫な瞬間に気付く準備だけはできるはずだ。

©︎『鳥を導く』

『鳥を導く』は10月31日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて2週間限定ロードショー

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