俳優にとって、大ヒットした代表作の続編への出演ほどおいしい話はないだろう。しかし当然ながら、そこから降りる人間もいる。
デヴィッド・フィンチャー監督による映画『ソーシャル・ネットワーク』(2010年)でFacebookの創設者マーク・ザッカーバーグを演じ、アカデミー賞候補になったジェシー・アイゼンバーグ。続編『The Social Reckoning(原題)』に、彼の名前はない。
「もう一緒にされたくない」
理由は本人が語っている。米バラエティ誌によれば、今夏のカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭で、彼はザッカーバーグと結びつけられるのはもう嫌だと述べた。比べられるのが好きではない、と。
16年前、相手はまだ世間にほとんど知られていない若い起業家だった。だから演じられた。その後、相手は世界的な有名人になった。演じた自分の顔に、他人の人生が貼りついて離れなくなった。
監督・脚本のソーキンは再演を熱望も…
新作で自ら監督・脚本を手がけたアーロン・ソーキンは、すぐには諦めなかった。アイゼンバーグがなぜ戻るべきか、論点を並べた説得用のメモまで書いた。映画作りでそんなことをしたのは初めてだという。君はすでにこの役を見事に演じた。いい場面をたくさん用意する。そんな中身だった。
制作会社も相当な金額を提示したとされる。だがソーキンいわく、金は彼には効かない。むしろ逆効果になる。長らく保護猫ボランティアに従事したり、子どもを金のありすぎる環境で育てたくない、と考える男なのだ。
やり取りが3、4回目になった頃、アイゼンバーグは言った。思っていたより気持ちが揺れた、と。ソーキンは喜んだ。それでも答えは変わらなかった。
揺るがない信念と映画人としての成功
彼は近年、『リアル・ペイン~心の旅~』で監督・脚本・主演を務め、作り手として自分の足で立った。同作はアカデミー賞で助演男優賞を獲得(キーラン・カルキン)。そもそも過去の栄光に寄りかかる必要は、もうない。
最終的にザッカーバーグ役は名優ジェレミー・ストロングが演じ、すさまじい怪演を見せた。彼は彼で、現代のカオスを象徴するような著名人を演じさせたら右に出るものはいない存在となっている。
『The Social Reckoning』の日本公開は今のところ未定。
※2026年10月8日時点の報道に基づきます。