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墓を掘り返すと、この国の傷が出てくる。『破墓/パミョ』を日本人が観るということ

墓を掘り返すと、この国の傷が出てくる。『破墓/パミョ』を日本人が観るということ
『破墓/パミョ』© 2024 SHOWBOX AND PINETOWN PRODUCTION ALL RIGHTS RESERVED.

※ 本ページはプロモーションを含みます。
※本記事の情報は2026年9月30日時点の情報です。最新情報は公式サイトにてご確認ください。

『破墓/パミョ』チャン・ジェヒョン監督の韓国オカルト映画をU-NEXT見放題で|キム・ゴウンの巫堂、チェ・ミンシクの風水師、そして後半で姿を現す「もの」

『破墓/パミョ』(2024年)とは、『サバハ』のチャン・ジェヒョン監督による韓国のオカルト映画で、巫堂(ムダン)のファリム(キム・ゴウン)、風水師のサンドク(チェ・ミンシク)、葬儀師のヨングン(ユ・ヘジン)、若い巫堂のボンギル(イ・ドヒョン)が、資産家一族の依頼で先祖の墓を掘り返し、恐ろしいものに行き当たる物語です。韓国で約1,200万人を動員し、青龍映画賞で監督賞・主演女優賞を含む4冠。134分、PG12。U-NEXTで見放題です。秋の夜に本気で怖い映画を観たい人、そして「日本人がこの映画をどう観るか」に興味がある人に向けて書きます。

前半は儀式の映画、後半は別の映画

『破墓/パミョ』を観た人の感想が割れるのは、この映画が途中で「別の映画」になるからです。

前半は、儀式の映画です。跡継ぎが謎の病に苦しむ資産家一族から高額の依頼を受けた四人が、江原道の山中にある墓を訪ねる。風水師のサンドクが土を口に含んで味を確かめ、「ここは人が埋まっていい場所ではない」と告げる。それでも依頼を受け、巫堂のファリムが「大殺」と呼ばれる祓いの儀式を執り行いながら、墓を掘る。豚を切り、刃物を振り、太鼓が鳴る中で、土の中から棺が現れる。このあたりまでの手続きの丁寧さは、オカルトというより民俗学の記録映像のようでした。

そして棺が開けられ、映画は一度、静かに終わったように見えます。私も初見のとき、「ここまでで一本の映画として成立している」と思いました。ところが、そこから第二幕が始まります。掘り返した墓の下に、もうひとつ何かがある。そこから先、この映画は儀式の映画であることをやめ、化け物の映画になります。

この転換を「失速」と受け取る人がいることは知っています。前半の抑制の効いた恐怖が好きだった人ほど、後半の直接的な描写に戸惑う。私はその戸惑いを理解したうえで、後半を支持します。理由は次の章で書きます。

キム・ゴウンの「大殺」の場面を、私は三度観た

この映画で最も語られているのは、キム・ゴウンが演じるファリムの儀式の場面でしょう。顔に墨を塗り、刃物を持ち、太鼓と鉦の音の中で、身体ごと何かに乗っ取られたように舞う。あの数分間を、私は三度巻き戻して観ました。

キム・ゴウンは『トッケビ』や『ユミの細胞たち』で、透明で軽やかな人物を演じてきた俳優です。その人が、ここでは重い。声の出し方、腰の落とし方、目の焦点の外し方。巫堂という職業の身体を、演技として「作った」というより、一時的に「借りてきた」ように見えました。青龍映画賞と百想芸術大賞の両方で主演女優賞を獲ったのは、この場面に対する評価だと思います。

チェ・ミンシクのサンドクは、対照的に静かな役です。『オールド・ボーイ』で15年間の監禁を演じた俳優が、ここでは土の味を舐め、山の気配を読み、若い二人の暴走を止める側にいる。イ・ドヒョンのボンギルは、その師匠であるファリムを守るために身体を差し出す若者で、百想の新人男優賞を受けました。ユ・ヘジンの葬儀師ヨングンは、四人の中で唯一、観客と同じ目線で怖がってくれる存在です。この四人の配置が完璧で、誰か一人が欠けても映画は成立しません。

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後半で姿を現すもの。日本人として、この映画をどう観るか

ここから先は、少し踏み込んで書きます。核心は避けますが、後半の敵が「何」であるかには触れます。未見の人は、この章を飛ばして構いません。

墓の下から現れるのは、日本と関わりのある存在です。この映画は、韓国の土地に打ち込まれた「何か」を、朝鮮半島の近代史に重ねています。日本の観客の中には、ここで居心地の悪さを覚える人がいるでしょう。私もそうでした。自分の国が、化け物の側として登場する映画を観る経験は、そう多くありません。

ただ、観終えて思ったのは、この映画が描いているのは「日本」というより「土地に打ち込まれた過去」だということです。サンドクは風水師として、土地の脈が断たれたことを問題にします。それを断ったのが誰であれ、断たれた脈をつなぎ直すのが自分たちの仕事だと、彼は考えている。この映画のクライマックスは、憎しみの発露ではなく、職人が土地を治す物語として組まれています。

チャン・ジェヒョン監督は、前作『サバハ』でも、宗教と歴史と怪異を一枚の布に織り込む人でした。『破墓/パミョ』でその布は、さらに大きくなっています。日本人がこの映画を観ることには、意味があると私は思います。娯楽として怖がりながら、隣の国がどんな記憶を抱えて土を掘っているのかを、画面越しに知る。それは、映画にしかできない種類の経験です。

ベルリン国際映画祭でワールドプレミアを飾り、世界133の国と地域で公開されました。娯楽と歴史を同時に成立させた作品として、韓国国内の動員約1,200万人という数字以上の重みを持っています。

秋の夜に、この映画が似合う理由

『破墓/パミョ』の舞台は、山と土と雨です。夏の映画ではありません。落ち葉の匂いがして、日が短くなり、部屋の中が少し寒くなってきた頃に観るのが、いちばん効きます。

この映画は、音で怖がらせる映画でもあります。太鼓と鉦。土を掘るスコップの音。棺の釘が抜かれる音。そして、後半に入ってから聞こえてくる、低い、人の声のようなもの。派手な効果音で驚かせる場面は少なく、生活の音と儀式の音が、そのまま恐怖の音になっています。できれば部屋の明かりを落として、音量を上げて観てください。

10月は、A24の『クリスタル・レイク/殺人鬼の母』がU-NEXTで独占配信を始め、劇場では『バイオハザード』が公開される、ホラーの季節です。西洋の恐怖と並べて、東アジアの土着の恐怖を一本観ておくと、この季節の楽しみが広がります。『破墓/パミョ』は、その一本として最も適した映画です。

この映画を観るべきなのは、こんな人

まず、『哭声/コクソン』で韓国のオカルト映画に打ちのめされた人。あの映画の「分からなさ」が好きだったなら、『破墓/パミョ』の前半は同じ場所に連れていってくれます。

次に、キム・ゴウンをドラマで好きになった人。『トッケビ』の彼女しか知らないなら、儀式の場面で別人を観ることになります。

そして、隣の国の歴史を、教科書ではなく物語で知りたい人。この映画は、怖がりながら学べる、稀有な一本です。

逆に、後味の軽いホラーを求める夜には向きません。この映画は、観終えたあとに土の匂いが残ります。

『破墓/パミョ』はU-NEXTで見放題、初回登録なら31日間無料(初回登録の方が対象)です。今夜、墓を掘ってください。掘った先に何があるかは、掘った人にしか分かりません。

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