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※本記事の情報は2026年9月30日時点の情報です。最新情報は公式サイトにてご確認ください。
劇団☆新感線『髑髏城の七人』U-NEXT特集|『1997』デジタルリマスター版が10月1日解禁、アカドクロ・Season花・Season月《上弦の月》が11月30日まで見放題
『髑髏城の七人』とは、中島かずき作・いのうえひでのり演出による劇団☆新感線の代表作で、1990年の初演以来、何度も配役と演出を変えて上演されてきた「いのうえ歌舞伎」の看板演目です。2026年11月14日に開幕する『髑髏城の七人 LAST STAND』を前に、U-NEXTでは10月1日から『髑髏城の七人 1997』のデジタルリマスター版がレンタル配信され、アカドクロ、Season花、Season月《上弦の月》の3作が11月30日まで見放題になっています。新感線を劇場で観てきた人、ゲキ×シネで出会った人、名前だけ知っている人に向けて書きます。
同じ台本を、何度も、別の顔で
『髑髏城の七人』の面白さを一言で言うなら、同じ物語が何度も生まれ直すことにあります。天正18年、織田信長亡きあとの関東。髑髏党を率いる天魔王に対して、かつて信長の側にいた男・捨之介と、無界の里に隠れた蘭兵衛、極楽太夫たちが立ち上がる。この骨格は1990年から変わりません。変わるのは、演じる俳優と、いのうえひでのりが毎回その俳優に合わせて組み替える演出です。
私は初めてこの作品を観たとき、捨之介と天魔王を同じ俳優が演じることに驚きました。影武者と本物、光と闇が、一人の身体の中に同居する。それが1997年版であり、古田新太が二役を引き受けた「アカドクロ」でした。ところが2017年のSeason花では、小栗旬の捨之介と成河の天魔王が別々の身体で対峙します。同じ台本なのに、まったく別の物語に見える。私はこのとき、演劇というものが「配役で書き換えられる文学」なのだと理解しました。
10月1日にレンタル配信が始まった『髑髏城の七人 1997』のデジタルリマスター版は、その原点に近い記録です。1997年、大阪の道頓堀中座、東京のサンシャイン劇場。古田新太、芳本美代子、高田聖子、橋本じゅん、粟根まことという顔ぶれ。特典として、いのうえひでのりと中島かずきのスペシャルトークが付いています。レンタルは1,200円で3日間。見放題ではありませんが、この一本は「最終決定版」を観る前に通っておくべき出発点です。
アカドクロ、Season花、上弦の月。11月30日までの3本
見放題の第1期に並んだ3作は、それぞれ違う時代の『髑髏城の七人』です。
「アカドクロ」は2004年の公演で、古田新太が捨之介と天魔王の二役、水野美紀が無界屋蘭兵衛、佐藤仁美が沙霧、坂井真紀が極楽太夫、橋本じゅんが兵庫、梶原善が贋鉄斎。160分。蘭兵衛を女優が演じたこの版は、無界の里の妖しさが最も濃く出た一本だと私は思っています。古田新太が天魔王として現れる場面の、あの声の低さ。同じ喉から捨之介の軽口が出るとは信じられません。
「Season花」は2017年、豊洲のIHIステージアラウンド東京で上演された、客席が回転する劇場での一本目です。小栗旬の捨之介、山本耕史の蘭兵衛、成河の天魔王、りょうの極楽太夫、青木崇高の兵庫、清野菜名の沙霧、近藤芳正の狸穴二郎衛門、そして古田新太が贋鉄斎に回りました。172分。客席ごと景色が動く劇場を、ゲキ×シネの映像がどう収めたか。それだけでも観る価値があります。
「Season月《上弦の月》」は同じ2017年から翌年にかけての公演で、福士蒼汰が捨之介、早乙女太一が天魔王、三浦翔平が蘭兵衛、須賀健太が兵庫、平間壮一が霧丸、高田聖子が極楽太夫、渡辺いっけいが狸穴二郎衛門。204分。早乙女太一の天魔王は、殺陣の速さと美しさで、この役の解釈を一段更新しました。
三本合わせて9時間ほど。11月30日までの二か月間、週末に一本ずつ観ていけば、十分に間に合います。
「アカドクロ」「Season花」「Season月《上弦の月》」はU-NEXTで11月30日まで見放題です。初回登録なら31日間無料(初回登録の方が対象)。『髑髏城の七人 1997』デジタルリマスター版はレンタル1,200円(3日間)で、10月1日から配信中です。
『LAST STAND』で、早乙女太一が捨之介になる
そして11月14日、新橋演舞場で『髑髏城の七人 LAST STAND』が開幕します。作は中島かずき、演出はいのうえひでのり。捨之介を演じるのは早乙女太一です。上弦の月で天魔王を演じた人が、今度は捨之介に回る。天魔王は弟の早乙女友貴、極楽太夫は柚香光、蘭兵衛は塩野瑛久と藤岡真威人のダブルキャスト、沙霧は桜井日奈子、狸穴二郎衛門は山口馬木也。新橋演舞場で12月25日まで、その後、長野、金沢、大阪を回ります。
「LAST STAND」という言葉に、私は少し身構えました。1990年の初演から36年。何度も生まれ直してきた物語が、最後の姿を取るという宣言です。それが本当に最後なのかどうかは、劇団だけが知っています。ただ、少なくとも、この演目を「これが完成形だ」と言い切る覚悟で作るという意思表示ではある。
だからこそ、U-NEXTの三期に分かれた見放題は、よく設計されていると思います。第1期(9月19日〜11月30日)がアカドクロ・花・上弦の月。第2期(12月1日〜2027年1月31日)がアオドクロ・鳥・下弦の月。第3期(2027年2月1日〜3月31日)が2011年版・風・修羅天魔。LAST STANDの上演期間と並走しながら、過去の全バージョンを順に観られる。劇場に行く人も行けない人も、この物語が36年かけて何を積み上げてきたのかを、映像で辿れます。
9月19日から配信中の特番「劇団☆新感線『髑髏城の七人』クロニクル〜いま明かされる!進化の歴史〜〈前編〉」も、この流れの入口です。いのうえひでのり、古田新太、早乙女友貴、柚香光の座談会を軸に、歴代の主演者たちが登場します。
ゲキ×シネという発明が、演劇を「観直せる」ものにした
演劇は、一度きりのものです。私はそう教わってきましたし、それは正しい。ただ、劇団☆新感線が始めた「ゲキ×シネ」は、その一度きりを、映画館のスクリーンと配信の画面で観直せるものに変えました。複数のカメラで舞台を撮り、映画として編集する。舞台の熱を損なわずに、客席の後方からは見えなかった俳優の表情を届ける。
『髑髏城の七人』のような、配役によって別作品になる演目は、ゲキ×シネと最も相性がいい。同じ場面を、古田新太で、小栗旬で、福士蒼汰で見比べる。この贅沢は、舞台をリアルタイムで追ってきた人にも、これから知る人にも、等しく開かれています。
この特集を観るべきなのは、こんな人
まず、新感線を劇場で観てきた人。LAST STANDのチケットを握っている人なら、上演前の二か月で過去の3版を観直しておくことが、11月の観劇を何倍にもします。
次に、小栗旬や福士蒼汰、早乙女太一といった俳優の名前で入ってくる人。演劇に馴染みがなくても、彼らが2時間半から3時間半、舞台の上で走り続ける姿は、映像作品としてそのまま面白い。
そして、演劇を「観直せないもの」だと思っている人。ゲキ×シネは、その前提を壊します。一度観て、別の配役で観て、また戻る。演劇の観方が変わる体験を、この秋に。
「アカドクロ」「Season花」「Season月《上弦の月》」は11月30日までU-NEXTで見放題、『髑髏城の七人 1997』デジタルリマスター版は10月1日からレンタル配信中です。初回登録なら31日間無料(初回登録の方が対象)。36年分の髑髏城を、LAST STANDの開幕までに。