今年8月に全米で劇場公開された映画『Buddy(原題)』が、思わぬ波紋を呼んでいる。
本作は、子ども向け番組に欠かせない存在である「着ぐるみキャラクター」をテーマにした、バイオレンス満載のホラー映画。しかし、その徹底した“子ども向け番組感”のせいか、作品の対象年齢や内容をよく確認しなかった保護者たちが子どもを連れて劇場を訪れてしまった。
この“うっかり親子鑑賞”の結果、多くの保護者から「子どもがトラウマになった」などと批判やクレームが相次ぐ騒動に発展しているというのだ。
子ども番組の“着ぐるみ”が凶暴化!? 映画『Buddy』とは
『Buddy』は、“シットコムあるある”なオープニング映像が次第に狂気的な事態に発展していくパロディ系短編作品『Too Many Cooks(原題)』で知られるキャスパー・ケリー監督の最新作である。
90年代から続く子ども向け番組『バーニー&フレンズ』を彷彿とさせる架空の番組「It’s Buddy!」を舞台にした『Buddy』は、魔法の力を持つオレンジ色のユニコーン「バディ」(声:キーガン=マイケル・キー)や子どもたち、しゃべる郵便ポストなどのキャラクターが楽しく歌って踊る世界が描かれる。
この投稿をInstagramで見る
しかし、バディの機嫌を少しでも損ねると彼は凶暴化し、番組の共演者たちを次々と血祭りにあげていく……という不条理なスラッシャー展開が描かれる模様。これはネタ元の『バーニー&フレンズ』が過剰にポップで明るい反面、そのダークサイドについて言及されることも多いことに由来していると思われる。
ともあれ『Buddy』が映画メディアや批評家からの評価は非常に高く、あのロッテン・トマトで88%/76%の支持を獲得。各メディアでも「子ども向けエンタメのベタ展開から、ポップカルチャーの狂気に引きずり込む」といったレビューのほか、風刺とユーモアの好バランス、キーガンのほかマイケル・シャノンやパットン・オズワルトなど声優陣の豪華さにも好意的な評価が寄せられている。
この投稿をInstagramで見る
なぜクレーム多発の事態に? その理由と背景
こうした高い評価の一方でクレームが相次いでいる最大の理由は、本作が「子ども向け番組のフォーマット」をあまりにも完璧に再現しすぎたからだろう。
ポップでカラフルな色彩や明るい歌、愛らしいマスコットといったビジュアルは、一見すると完全にファミリー向け作品である。そのため、そんなパロディが存在するとは思いもしないライト層のファミリーが「子どもが喜びそうな映画」と誤認してしまう例が後を絶たなかったようだ。
この投稿をInstagramで見る
実際劇中では、表面上のポップさからは想像できないほどのスラッシャー描写が繰り広げられるという。過去の監督インタビューでは、ある残酷なシーンに対しプロデューサーからストップが入りカットせざるを得なかったと語っており、尋常ではない過激さがうかがえる。
確かにそんなシーンを子どもと一緒に観てしまった親からすれば、クレームは不可避だろう。とはいえ、そもそもR指定を見落としたことに責任があるとも言えるし、なぜ劇場側から説明がなかったのか不可解な点も多く、そういった意味でも都市伝説的な出来事ではある。
本国ではスマッシュヒットを記録し、色んな意味で話題の『Buddy』。日本のホラー映画ファンの期待も高そうなので、いち早い劇場公開/配信に期待したいところだ。