もうすぐお盆の季節。亡くなった大切な人や、ご先祖様に思いを馳せる時期がやってきます。
「夏だし幽霊の映画でも観ようかな……でも怖いホラーは絶対に無理!」という方、ご安心ください。映画に登場する幽霊たちは、恐怖を与える存在ばかりではありません。残された人を想い、愛を伝え、時にはクスッと笑わせてくれる、優しくて愛おしい幽霊たちもたくさんいるのです。
今回はお盆前に観たい、心がじんわり温まる「怖くない幽霊映画」を5本厳選しました。観終わったあと、あなたの大切な人に今すぐ会いたくなるような優しい物語たちです。
夢を信じる心と父への想い。トウモロコシ畑に現れる愛しき亡霊たち
『フィールド・オブ・ドリームス』(1989年)
監督:フィル・アルデン・ロビンソン
出演:ケヴィン・コスナー、エイミー・マディガン、ギャビー・ホフマン ほか
【あらすじ】
アイオワ州のトウモロコシ農家レイは、ある日「それを作れば、彼が来る」という不思議な“声”を聞きます。家族の理解と暖かな支えのもと、周囲から狂気扱いされながらも畑を潰して小さな野球場を建設するレイ。するとそこへ、かつて大リーグを追放された伝説のプレイヤー「シューレス・ジョー」をはじめ、歴史に名を残す名選手たちの幽霊が現れ、プレーを始めます。彼らと交流を深めるうち、レイは自分自身が抱えていた亡き父との心の傷と向き合っていくことに……。
【おすすめポイント】
アメリカ映画史に燦然と輝く、愛と奇跡のファンタジー。「幽霊」と聞いてイメージする恐怖は一切なく、信じる心の尊さと詩的なノスタルジーに満ちています。夕暮れのグラウンドで交わされる言葉とキャッチボールの場面は、映画史に残る屈指の涙腺崩壊シーン。お盆に亡き家族を想う人にこそ、ぜひ観てほしい至高の一作です。
事故で幽霊が見える身体に!? わんぱく少年とゴーストたち
『花田少年史 幽霊と秘密のトンネル』(2006年)
監督:水田伸生
出演:須賀健太、篠原涼子、西村雅彦 ほか
【あらすじ】
小さな田舎町で暮らす、やんちゃで元気いっぱいの少年・一路(いちろ)。ある日、自転車の交通事故で九死に一生を得た彼でしたが、その事故をきっかけに幽霊たちの姿が見えるようになってしまいます。成仏できずに悩みを抱える幽霊たちが次々とお願いごとを持ちかけてきてパニックになる一路。そんな彼の前に、なんと「自分の本当の父親だ」と名乗る見知らぬ男の幽霊が現れて……。
【おすすめポイント】
大人気コミックを実写化した、どこか懐かしく温かいファンタジーコメディ。ハチャメチャなわんぱく少年と、未練を残した幽霊たちとのやり取りがクスッと笑えて、次第に家族の絆や切ない真実へと繋がっていく構成が見ごとです。昭和の匂いが残る田舎町の美しい風景と、ノスタルジックな人情味に心がじんわり癒やされます。
孤独な青年に取り憑いた4人の幽霊! 衝撃のラストに涙が止まらない
『ハロー!?ゴースト』(2010年)
監督:キム・ヨンタク
出演:チャ・テヒョン、コ・チャンソク、チャン・ヨンナム ほか
【あらすじ】
身寄りがなく孤独に生きてきた青年サンマンは、絶望のあまり自殺を図るものの失敗。その直後から、なんと4人の個性的な幽霊(ヘビースモーカーのおじさん、泣き虫の女性、スケベなおじいさん、食いしん坊の少年)に取り憑かれてしまいます。彼らを成仏させるため、言われるがままに1人ずつ願い事を叶えてあげる羽目になったサンマン。そのドタバタな過程で彼は美しい看護師と出会いますが……。
【おすすめポイント】
韓国コメディの巨匠チャ・テヒョン主演のハートフルコメディ。前半はわがままな幽霊たちに振り回されるサンマンのドタバタ爆笑劇ですが、後半の伏線回収とラスト数分の怒涛の展開は絶対に前情報なしで観てほしいところ。タイトルの本当の意味が明かされる瞬間、あたたかい涙が洪水のように溢れ出し、家族の愛おしさが胸いっぱいに広がる屈指の名作です。
原爆で逝った息子と母の愛しい対話。山田洋次が手掛ける絆の物語
『母と暮せば』(2015年)
監督:山田洋次
出演:吉永小百合、二宮和也、黒木華 ほか
【あらすじ】
1948年の長崎。助産婦の伸子は、夫と長男を戦死で失い、次男の浩二も3年前の原爆で亡くし、たった一人で慎ましく暮らしていました。そんな伸子の元へ、ある日突然、死んだはずの浩二が幽霊となってひょっこり姿を現します。それ以来、浩二は度々現れては母と思い出話を咲かせますが、会話はいつしか浩二の残された恋人・町子の未来へと及んでいき……。
【おすすめポイント】
日本映画界の巨匠・山田洋次監督が、吉永小百合と二宮和也を主演に迎え描くヒューマンドラマ。戦争の悲劇を背景に持ちながらも、母と息子の軽妙で愛らしい掛け合いには温かな笑いと情愛が溢れています。亡くなった人が今も姿を変えて傍で見守ってくれているような感覚を与えてくれる、お盆の時期にじっくりと噛みしめたい名作です。
シーツ姿の幽霊がただ見守る。時の流れと愛を描いた詩的な最高峰
『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』(2017年)
監督:デヴィッド・ロウリー
出演:ケイシー・アフレック、ルーニー・マーラ ほか
【あらすじ】
アメリカ・テキサス州で仲良く暮らしていた若い夫婦のCとM。しかしある日、夫のCが突然の交通事故で不帰の客となってしまいます。病院でシーツを被せられたCの遺体は、そのまま静かに起き上がり、シーツ姿の幽霊となって愛する妻の待つ我が家へと戻っていきます。妻には自分の姿も見えず声も届かない中、ただ静かに彼女の悲しみや日常生活を見守り続けるのですが……。
【おすすめポイント】
古典的な「白いシーツをかぶった幽霊」の姿で、時間と愛の深遠さを描き世界中で絶賛された最高にロマンチックで切ないファンタジー。ホラーのような恐怖は一切なく、ただそこにある静かな孤独と愛おしさが美しく流れていきます。残された側の時間と、去った側の記憶が交錯するラストは、言葉にならない静かな感動と余韻を残します。
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幽霊映画といえば「恐怖」を連想しがちですが、本来は「もう会えない大切な人」とスクリーンの中で再会させてくれる優しいジャンルでもあります。
今年のお盆は、怖がるためではなく「誰かを想う温かい気持ち」を感じるために、これらの映画を開いてみてはいかがでしょうか。