アニメ『アバター:伝説の少年アン』(原題『The Legend of Aang: The Last Airbender』)の新作映画をネット上に流出させたとして、26歳の男が逮捕された。容疑者は最大で懲役7年の実刑を科される可能性が報じられているが、ファンの間では作品の扱いを巡るパラマウント社の決定への反発も背景にあるようだ。
『アバター:伝説の少年アン』新作アニメ流出
海外の複数メディアの報道によると、今年4月16日、SNS上で公開前の新作アニメ映画のクリップが拡散されているとの通報を受け、捜査が進められることに。すると、同月24日に26歳の男が容疑者として特定・逮捕された。
容疑者は、映画のデータが保管されていたメディアサーバーにリモートで不正アクセスし、高画質な本編ファイルをダウンロードした疑いが持たれている。その後、映像の一部をSNS上にアップロードし、一時は全編が視聴可能な状態になっていたという。警察は容疑者の自宅から複数の電子デバイスを差し押さえ、流出した映画のコピーを回収した。
この事件により、男は「メディアサーバーへの不正アクセス」および「著作物の違法アップロード」の罪に問われることに。有罪判決が下った場合、最大で7年の懲役、あるいは5万ドル(約780万円)の罰金、もしくはその両方が科される可能性があるという。
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声優変更、劇場公開中止…高まっていたファンの反発
今回のリーク事件の背景には、制作・配給を担うパラマウント社に対するファンの根強い不信感もあったようだ。
当初、本作は2025年10月に大規模な劇場公開が予定されていた。しかし、公開日は2026年初頭、さらには同年秋へと相次いで延期。最終的にパラマウント社は劇場公開を断念し、2026年10月9日に自社のストリーミングサービス<Paramount+>での独占配信に切り替えることを決定した。
この決定に対し、ファンからは「名作はスクリーンで観るべきだ」といった批判が噴出。さらに、主要キャラクターの声優陣を一新したことも物議を醸した。主人公アン役に韓国系歌手のエリック・ナム、脇を固めるキャストにデイヴ・バウティスタやスティーヴン・ユァンといった著名人を起用したが、オリジナル版のキャストを支持する層からは、「作品の魂が失われた」などと反発が強まっていた。
また一部のファンからは「パラマウントの不誠実な対応が、このような事態(リーク)を招いた」という過激な意見も上がっている。とはいえ、当然アニメ制作はスタジオだけのものではなく、その背景には多くのアニメーターやスタッフの貢献があり、かれらの生活がある。どんな理由があっても故意の流出は厳しく罰せられるべきだろう。
『NARUTO』みたいなアニメ?『伝説の少年アン』の魅力とは
今回被害に遭った『アバター:伝説の少年アン』最新作は、その内容を説明する際に『NARUTO -ナルト-』を引き合いに出されることが多い。
2000年代初頭に米ニコロデオンなどで放送された同作は、東洋的なファンタジー世界を舞台に、火・水・土・気の四元素を操る「ベンダー」たちの戦いを描いた。主人公の少年アンが、平和を取り戻すために四つの能力を極めていく成長物語や術を駆使したバトル描写は、たしかに『NARUTO』など日本の少年漫画/アニメの影響を色濃く感じさせる。
日本では広く知られていない同シリーズだが海外人気は高く、過去にも様々なメディア展開が行われてきた。しかし、その道のりは控えめに言っても平坦ではなかった。
2010年にはM・ナイト・シャマラン監督による実写映画版が『エアベンダー』として公開。日本でもカルト的人気を誇る作品の本格上陸ということで期待値はすこぶる高かったが、蓋を開けてみれば商業的にも批評的にも非常に厳しい結果に。本国でもボロクソに叩かれ、辛口で知られる某レビューサイトでは5%というスコアを叩き出している。
とはいえ本筋のアニメ人気は根強く、2024年にはNetflixが実写ドラマ版を製作。巨額の制作費を投じて全8話が配信され、映像美やアクションで一定の評価を得た。シーズン2は6月25日より独占配信される。