『女は二度決断する』(17)でゴールデングローブ賞外国語映画賞を受賞し、世界中を熱狂させてきたドイツの名匠・ファティ・アキン監督最新作『白パンと独裁者(原題:AMRUM)』が、8月7日(金)より公開される。このたび、ポスタービジュアルと予告編が解禁となった。また、『女は二度決断する』での来日以来、ファティ・アキン監督と深い親交を築いてきたゲームクリエイターの小島秀夫より、熱い応援コメントが到着した。
小麦粉、バター、はちみつ、ヒトラー?
1945年、第二次世界大戦末期のドイツ北部・アムルム島は、本土へ向かう爆撃機が上空を飛行しながらも、どこか楽園のような静寂を保っていた。疎開してきた12歳の少年・ナニングは、戦地から戻らぬ父に代わり、農作業を手伝い妊娠中の母ら家族を支えている。しかし、ヒトラーに心酔する母・ヒレが彼の訃報を受けて心身ともに崩壊してしまうと、ナニングの日常も一変していく。生気を失い、食事を拒むヒレが唯一欲したのは、たっぷりのバターとはちみつが塗られた白パンだった—。
ファティ・アキンの恩師でありドイツ映画界の重鎮であるハーク・ボームが、自らの幼少期の体験を綴った自伝的小説を、愛弟子であるアキンが映画化した渾身の一作。「第78回カンヌ国際映画祭」カンヌ・プレミア部門への正式出品をはじめ、ドイツで最も権威ある「第47回バイエルン映画賞」にて最優秀作品賞を受賞。「第76回ドイツ映画賞」では6部門ノミネートされているほか、ドイツ国内で興行収入800万ドルを突破する大ヒットを記録するなど、国内外で熱い喝采を浴びている注目作が満を持して日本へ上陸する。
「少年の瞳に刻まれた、崩壊しゆくナチス・ドイツの悲劇と重圧(VARIETY)」と評される本作は、1945年第二次世界大戦末期のドイツ・アムルム島にて、主人公である12歳のナニングが母の願いを叶えるために奔走する冒険の中で終戦の時代を経験し、家族の秘密を知りゆく物語。「ファティ・アキン史上最も美しく、最も残酷な最高傑作(SCREEN DAILY)」など世界中のメディアが絶賛する、必見の一作だ。
ポスタービジュアルでは、アムルム島の広大な海岸線と透明な海、そして真っ青な空が溶け合う地平線を背景に、ヒトラー青年団の制服を纏った12歳の少年ナニングが、自転車とともに佇む印象的な一枚が収められている。砂浜に浮かび上がる『白パン』の文字に対し、無機質なグレーで記載された『独裁者』という対照的なタイトルロゴ。さらに、ナニングの真っ直ぐな眼差しを境に、地元のナチス党指導者と、荷車に仁王立ちする農場主のテッサ(ダイアン・クルーガー)が対峙するように並び、1945年という時代の緊張感が伝わるビジュアルに仕上がった。
予告編は、主人公のナニング、親友のヘルマン、農場主のテッサらが、轟音とともに本土へ向かう爆撃機を緊張の面持ちで見つめる衝撃的なシーンから幕を開ける。食卓で「ドイツは負ける」と口にしたナニングを、「誰がそんなことを言ったの?」と激しく叱責する、ヒトラーに心酔する母・ヒレ。しかし、ラジオがヒトラーの訃報を伝えると、彼女は絶望のあまり生気を失い、寝込んでしまう。母が唯一口にしたいと願ったのは「たっぷりのバターとはちみつが塗られた白パン」。そのひときれを求めて奔走するナニングの姿を通し、崩壊しゆく時代の転換点を瑞々しく描き出した、壮大な旅路を予感させる映像となっている。
アムルム島の美しい風景、生き物たち、島で暮らす人びと。終戦へと向かう小さな世界。
母親のために奮闘する少年は、“干潮”と“満潮”との狭間で“人生”を知る。
戦争と終結、少年と成長、信仰と真実。ラストでそれら全てが見事に結実する。
既に“満潮”を迎えていた巨匠ファティ・アキン。
師匠の意志を継いで撮影に挑んだ本作は、更なる“上げ潮”となる特別な作品だ。
(ゲームクリエイター・小島秀夫)
『白パンと独裁者』は8月7日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開