災害時の“ペット放置”が重罪に
米フロリダ州で、災害時に犬を屋外に繋いだまま放置する行為を重罪として処罰する新法「トルーパー法(Trooper’s Law)」が施行された。背景には、ハリケーン接近中に鎖で繋がれたまま取り残された一匹の犬の救出劇がある。
この新法は上院法案150号として可決されたもので、自然災害や非常事態宣言下で「犬を屋外に繋いだまま放置する行為」を第3級重罪として扱うもの。違反者には最長5年の禁錮刑、およそ1万ドル(約150万円)の罰金が科される可能性がある。
法律が対象とするのは、「犬を屋外に残したまま避難する」、「鎖やケージなどで動きを拘束した状態で放置する」、「非常事態宣言下で救出の努力を怠る」といったケースで、災害時に逃げ場を失った動物が命の危険にさらされる状況を防ぐ狙いがある。
きっかけは“洪水に沈みかけた”ブルテリア犬
法案名の「トルーパー」は、2024年のハリケーン・ミルトン接近時、フロリダ州タンパ近郊で発見された雄のブルテリアに由来する。そのブルテリアは高速道路沿いのフェンスに繋がれたまま、増水した洪水の中で取り残されていた。
ブルテリアを発見した州高速警察(FHP)の隊員が救出し、のちに「Trooper(トルーパー)」と命名。飼い主は後に逮捕されたものの当時の法律では十分な処罰が難しく、こうした事例が繰り返されてきたことから州議会は動物保護の強化を目的に法整備を進めてきた。
フロリダ州では、ハリケーンや洪水の避難時に犬を屋外に残したまま立ち去るケースが後を絶たない。過去には鎖につながれたまま溺死、ケージの中で熱中症、屋外に放置され衰弱……といった悪質な事例が複数報告されてきた。州議会は、こうした“災害時の動物遺棄”を重大な虐待行為と位置づけ、ついに厳罰化に踏み切った形だ。
法律の適用範囲と例外は?
この新法は非常に限定的な状況を対象としており、以下のようなケースは適用外となる。
・犬が拘束されておらず、自力で避難できる状態
・非常事態宣言が出ていない時期の屋外飼育
・飼い主が病気や事故で避難できず、第三者に世話を依頼した場合
・救助活動中で犬が一時的に屋外にいる場合
ただし、これらに該当しない場合は、従来の動物虐待法で処罰される可能性がある。また、今回施行されたのは「トルーパー法」を含む3つの災害関連法で、「復旧作業にあたる電力会社作業員の保護」「住宅購入・賃貸時の洪水リスク開示義務」なども同時に導入された。
フロリダ州では、ハリケーン・イアン(2022年)、ヘレーネ(2024年)、ミルトン(2024年)など大規模災害が相次いでおり、災害時の人命・動物保護の強化が急務となっている。
人類の“よき友人”わんこに涙を搾り取られる映画
『僕のワンダフル・ライフ』(2016年)
ある夏の暑い日、ゴールデン・レトリバーの子犬・ベイリーは車に閉じ込められ苦しんでいるところを8歳のイーサンと彼の母親に助けられ、感激する。その後、イーサンのママが渋るパパを説得し、晴れてベイリーはイーサン家の一員になった。
『犬部!』(2021年)
獣医学部の大学生・花井颯太は子供の頃から大のイヌ好きで、周りから変人扱いされても、目の前の命を救いたいという一途な想いで保護活動を続けていた。そんなある日、颯太は1匹の実験犬を救ったことから、動物保護活動をサークルにした犬部を設立する。
『野性の呼び声』(2020年)
バックはカリフォルニア州でミラー判事のペットとして幸せに暮らしていたが、ある日、男にさらわれ高値で売り飛ばされてしまう。ゴールドラッシュに沸くカナダのユーコン準州でそり犬として働くことになったバックは、持ち前のリーダーシップで仲間の犬たちからの信頼を得ていく。だが再び売られてしまい、過酷な環境での重労働を強いられていたが、ひとり傷心の旅をする男ソーントンに助け出される。少しずつバックは心を開き、いつしかソーントンとの間に信頼と友情を育んでいく。