ラッパーと王女の恋 ~パリで交差した二つの世界~
モロッコ系アメリカ人ラッパー、フレンチ・モンタナ(本名:カリム・カーブーチ)が、ドバイ王女シェイカ・マーラ・ビント・モハメド・ビン・ラシッド・アル・マクトゥームとの婚約を発表。2025年6月のパリ・ファッションウィークでのプロポーズは、音楽業界と王室の境界を越える象徴的な瞬間となった。
モンタナは非ヒップホップ者にはあまり知りられていないかもしれないが、映画ファンとしては『デッドプール2』(2018年)の挿入歌「ウェルカム・トゥ・ザ・パーティー」への参加が記憶に新しいだろうか。
王女の素顔は? ギリシャ系の母を持つ国際派ロイヤル
シェイカは1994年にUAEで誕生。父はドバイ首長でありUAE副大統領のモハメド・ビン・ラシッド・アル・マクトゥーム、母はギリシャ系ソーシャライトのゾーイ・グリゴラコス。ロンドンで国際関係学を学び、2023年に卒業後は香水ブランド<Mahra M1>を立ち上げ、初作<Divorce>は自身の離婚経験を反映した挑発的な作品として話題を呼んだ。
2023年4月、シェイカはエミラティ実業家シェイク・マナ・ビン・モハメドと結婚し、2024年5月には娘を出産。しかし、そのわずか2ヶ月後にSNSで「あなたが他の女性に夢中なら、私は離婚を宣言します。離婚します、離婚します、離婚します」と投稿し、イスラム教の伝統的な離婚慣習“トリプル・タラーク”を女性側から逆手に取る形で話題を呼んだ。
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フレンチ・モンタナとの出会い~婚約指輪は1億円超のエメラルドカット!
二人が初めて交際の噂を呼んだのは2024年10月。シェイカ王女が自らモンタナにドバイを案内する様子をSNSに投稿したことがきっかけだった。その後、2025年夏のパリ・ファッションウィークで手をつないで登場し、交際が公に。モンタナは<3.PARADIS>のランウェイに初登場した直後、王女にプロポーズしたという。
モンタナが贈った婚約指輪は、ニューヨークのジュエラー<Eric the Jeweler>が手がけた11.53カラットのエメラルドカットダイヤモンドとのこと。価格は約105万ドル(約1億6千万円)と報じられており、二人はSNSで指輪を披露している。
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玉の輿かピュア恋か? 王室とヒップホップの融合
この婚約は、アラブ王室とアメリカのヒップホップカルチャーが交差する稀有な事例として注目されている。シェイカ王女は慈善活動にも積極的で、2021年にはドバイの福祉機関を訪問し、障がい児支援のための寄付を行っている。
一方、モンタナはこれまでにクロエ・カーダシアンやイギー・アゼリアとの交際歴があるが、結婚は今回が初めて。彼は過去のインタビューで「離婚を経験した女性との交際は感情的に繊細なものだが、時には犠牲を払ってでも愛を選ぶべきだ」と語っている。
この婚約については両家とも正式に認めており、結婚式の詳細は現在調整中とのこと。日程や場所は未定だが、王室と音楽業界の双方から祝福される一大イベントになることは間違いない。
そもそもモンタナも大成功しているラッパーなので玉の輿云々といったゴシップではなく、文化・宗教・ジェンダー・階級など複雑な要素が交錯する現代的な物語と言えるだろう。