「爆弾見つけた!→お前が置いたんだろ」「妻が誘拐された!→お前が犯人だろ」不憫すぎる男たちはどう戦った?
爆弾を発見した警備員に「お前が怪しい」の不条理!
もしあなたが警備員として働いていて、公共施設に仕掛けられた爆弾を見つけたら、とっさの判断で人々の避難誘導や爆弾への正しい対処ができるだろうか? 世の中には優れた判断能力を持った警備員がいるもので、米バージニア州で暮らしていたリチャード・ジュエルは、そんな勇気ある警備員の一人だった。
『リチャード・ジュエル』© 2019 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
リチャードが爆弾を発見したのは1996年。アトランタ夏季オリンピックに合わせて作られた公園のベンチに、手作りのパイプ爆弾が仕掛けてあったのだ。すぐさま警察に通報し、先んじて避難指示を出したことで多くの人命を救ったリチャード。控えめに言っても<英雄>だが、FBIは彼を“第一容疑者”としてマークしていた……。
『リチャード・ジュエル』© 2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
「地元のヒーロー」報道から一転、リチャードはメディアの過熱報道もあって「爆弾魔」扱いされてしまう。気の強い方ではない彼は執拗な家宅捜索や押し寄せるマスコミに狼狽し次第に疲弊していくが、無実を信じてくれた弁護士ワトソンの助力もあって形成を覆すことに成功。容疑者候補から外された後、真犯人も捕まり終身刑を宣告されている。
『リチャード・ジュエル』© 2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
――そんなウソみたいな本当の話を、タイトルもズバリ『リチャード・ジュエル』として2019年に映画化したのが巨匠クリント・イーストウッド。警察にもマスコミにも近所の人にも怪しまれて絶望し、それでも諦めず戦った超・一般人男性の物語を、サスペンスフルな陰謀劇のように仕上げてみせた。
妻の誘拐犯を自力で追跡! 犯人よりも押しが強い夫が大暴れ
成功したビジネスマンのウィルは妻のリサを実家に送る途中、立ち寄ったガソリンスタンドで彼女を見失ってしまう。本能的に誘拐だと悟った彼は警察に通報。だが粗暴な態度のせいで、逆にウィル自身のDVや犯行を疑われてしまう。
妻を心配してイラつくほど関与を疑われ、警察へのストレスがMAXに達してしまうウィル。防犯カメラの映像でリサに親しく話しかけていた男を自力で追跡し、怪しい奴は問答無用でボコボコにするウィル。悪人コネクションをたどり、ついに突き止めた犯人たちと銃撃戦を繰り広げるウィル……。その行動力は凄まじく頼もしいが、法もクソもあったもんじゃないウィルは果たして妻と再会できるのか?
『CHASE/チェイス 猛追』© 2022 CHASE FILM NEVADA, LLC ALL RIGHTS RESERVED
――と、まるで1988年の映画『ザ・バニシング -消失-』のエグいストーリーに耐えられなかった人が冒頭だけ拝借してブチギレ・アクションに仕立て上げたかのようなお話だが、こちらは当然ながらフィクション。その名も『CHASE/チェイス 猛追』の主人公ウィルを演じるジェラルド・バトラーの瞬間湯沸かし器ぶりが印象的だが、「こいつが犯人じゃね?」と疑われても同情の余地がない、じつに気持ちの良い暴れん坊ぶりを見せてくれる。
『リチャード・ジュエル』『CHASE/チェイス 猛追』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2025年6~7月放送