巧妙なマーケティング戦略
『バービー』の大ヒットには、当然ながらマーケティング戦略も大きく寄与している。映画公開前からピンクを基調としたファッション“バービーコア”がSNSを中心に話題となり、その熱狂は日本にも伝わってきた。それが劇映画としての注目度にも繋がったと言えるだろう。
『バービー』©︎2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
また、100以上のブランドとのコラボレーションや映画のテーマに合わせた商品展開が行われ、映画ファンに留まらない幅広い層にアピール。こうしたマーケティング活動は、作品の持つファンシーな世界観を日常生活に浸透させる効果を生んだ。
もちろん公開前のトレーラーやティザー映像も視覚的な魅力にあふれていたし、SNSキャンペーンでは参加型の企画を取り入れ、さらにメインキャストがインタビューやイベントに多数露出することで話題性を持続的に高めていた。これらは映画プロモとしては珍しくない手法だが、“観客の体験そのものをデザインする”という趣旨が『バービー』と非常に親和性が高かった結果とも言えるだろう。
『バービー』© 2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
レトロな魅力と現代的なメッセージ
本作はジェンダー平等や自己実現といった普遍的なテーマを扱い、世代や性別を問わず多くの観客の共感を呼んだ。“フッションドールのバービー”というキャラクターが持つどこかノスタルジックな魅力をベースに、現代的なメッセージが融合することで単なるコメディではないインパクトを与えた。
また、映画全体のビジュアルや印象的なオリジナルソング、そしてマーゴット・ロビーやライアン・ゴズリングら豪華キャストのハジけた演技は、いつ観ても新たな発見がある。こういった要素も、本作が単なるエンタメ大作として以上の存在として受け入れられた大きな要因の一つだろう。
『バービー』©︎2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
日本公開前にはマーケミスによる騒動もあったが、それも含めて今こそ本作を鑑賞し、その魅力を再確認する絶好のタイミングだ。
『バービー』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2025年4~5月放送