なぜ『バービー』は<10億ドル映画>になったのか?巧みなマーケティングと時代を捉えたストーリー

なぜ『バービー』は<10億ドル映画>になったのか?巧みなマーケティングと時代を捉えたストーリー
『バービー』© 2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
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映画『バービー』早くもテレビ放送!

映画『バービー』(2023年)の快進撃は、ここ数年のハリウッド作品でも目を見張るフィーバーぶりだった。世界興収は10億ドルを超え、映画界に新たな旋風を巻き起こしたと言っても過言ではない作品だ。その世界的な成功の背景には革新的なストーリーテリングだけでなく、巧妙なマーケティング戦略、そして観客の心を掴むテーマ性があった。

この春そんな『バービー』がCSにてテレビ放送されるので、劇場公開時に未鑑賞の人も改めて観たいという人も、本作の魅力と世界的ヒットの理由を振り返っておこう。

『バービー』©︎2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

すべてが完璧で夢のようなバービーランドで、連日パーティーやドライブ、サーフィン三昧の日々を楽しんでいるバービーとボーイフレンドのケン。だがある日、バービーの身体に異変が! 原因を探るため現実の人間世界へと足を踏み入れた2人は、そこで驚くべき“世界の秘密”を知ってしまい……。

『バービー』© 2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

時代性を捉えたストーリーテリング

俳優としても活躍しているグレタ・ガーウィグ監督は、バービーというキャラクターを単なる子ども向けの玩具から、深い社会的メッセージを持つ象徴へと昇華させた。多くの人がご存知の通り、本作はバービーが平和でキラキラした“理想的”な<バービーランド>を離れ、現実世界で自己発見の旅をする物語だ。

『バービー』©︎2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

その過程で劇中、ジェンダー平等や自己実現といったテーマが巧みに描かれる。ガーウィグ監督の過去作『レディ・バード』や『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』で培ったストーリーテリングの技術が存分に発揮されたことは、多くの海外メディアでも言及されている。

ガーウィグ監督は本作の成功により、興収10億ドル超えを記録した初の女性(単独)監督となった。過去に興収10億ドル超えの映画は50本あるが、そのうち女性が共同監督を務めた作品は3本だけだという。

『バービー』©︎2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

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