「小説が映画化されまくり」「中毒者続出」な作家・染井為人の視線とは?北村匠海も魅了された『悪い夏』

「小説が映画化されまくり」「中毒者続出」な作家・染井為人の視線とは?北村匠海も魅了された『悪い夏』
©2025映画「悪い夏」製作委員会
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観てから読むか、読んでから観るか?原作と映画で異なる「クズとワル」たちの行く末

主演の北村匠海は先に原作小説を読んでいたが、その面白さに心惹かれていたという。そして城定監督も原作を読了後すぐさま「やりたい!」と思ったそうだ。

主人公の真面目で気弱な公務員・佐々木役については、製作陣は最初から北村匠海をイメージしていたという。原作での佐々木の小柄で華奢な身体描写とはやや異なるものの、真面目で気弱、そして事件をきっかけに闇堕ちしていく繊細なキャラクターを演じられるのは北村以外に考えられない、という理由から主演に決定した。

©2025映画「悪い夏」製作委員会

その言葉に呼応するように北村が見せる“闇堕ち演技”は、まさに佐々木守そのもの。原作者の染井は映画化にあたって、「わたしはイチ映画ファンとして、『悪い夏』がスクリーンに描かれるその日を、静かに待ちたいと思います。きっと、胸を熱くさせてくれることでしょう」とコメントしていたが、実際に試写を観て「見事に佐々木になっていた!」と感激。演じる北村と握手も交わしたという。

じつは映画版では、ラストの描写が原作とは異なっている。それぞれの結末は明かせないが、試写会後に観客から「ほんの少しの救いがちゃんと描かれていて映像化は納得」「悪ばっかなのに観終わった後はスッキリ」「 ラストの畳みかけがすごい」といった声があがっており、原作ファンも納得の様子だ。原作と映画、どちらから入るか? 異なるラストによって2倍楽しめるのも本作の魅力の一つと言えるだろう。

真面目に生きる気弱な公務員の破滅への転落と“今そこにある”恐怖を描く狂乱のサスペンス・エンターテインメント『悪い夏』は、3月20日(木・祝)より全国公開。

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『悪い夏』

市役所の生活福祉課に務める佐々木守(北村匠海)は「職場の先輩・高野(毎熊克哉)が生活保護受給者の女性に肉体関係を強要しているらしい」と同僚の宮田(伊藤万理華)から相談を受け、真相究明の手伝いを頼まれる。真面目で気弱な佐々木は、正義感に燃える宮田の頼みを面倒くさいと思いながらも断ることができず、その女性、育児放棄寸前のシングルマザー・愛美(河合優実)のもとを訪ねる。愛美は高野との関係を否定するが、実は裏社会の住人・金本(窪田正孝)、その愛人の莉華(箭内夢菜)、手下の山田(竹原ピストル)と共に、ある犯罪計画の片棒を担ごうとしていた。そうとは知らず、徐々に愛美へと惹かれてゆく佐々木。ふとしたきっかけで万引きを繰り返すようになってしまった生活困窮者・佳澄(木南晴夏)らを巻き込み、佐々木にとって悪夢のようなひと夏が始まろうとしていた……。
出演:北村匠海
   河合優実 伊藤万理華 毎熊克哉 箭内夢菜
   竹原ピストル 木南晴夏 / 窪田正孝

監督:城定秀夫
原作:染井為人『悪い夏』(角川文庫/KADOKAWA刊)
脚本:向井康介 音楽:遠藤浩二