・津田さんにとってミニシアターはどのような存在ですか?
違う次元に連れていってくれる場所です。なぜ人はミニシアターに行くのかと思うと、そこでしかかからない映画があるからだと思うんです。でも本当にそれだけかなというのもあるんです。というのも、小屋付きのお客さんというのもいて、そこでかかるんだったらなんでもいいからその小屋に行きたいというお客さんがいる。ということは、そこにちょっと次元が違う空間ができているんだろうなと思って。やっぱり、その空間と作品のコラボというのもあるのが大きい魅力かと思います。
・小屋付きのファンがいるというのもご存知だから、本作の主人公の珠みたいな、ミニシアターを居場所と思ってくれる人の気持ちもわかるんですね?
すんなりと腑に落ちました。僕にとっても映画館というのは逃げ場でもあったんですけれど、今思い返してみると、あれだけさんざん学校をサボってまで一人で行っていたのに、何がかかっていたかはあまり覚えていなかったりするんです。それ以上に、佇まいを覚えているんです。ソファはこんな感じだっただとか、売店のおばちゃんはいつも本を読んでいただとか。上映が始まるまで座って待っていた時のことほど覚えていたりするんですよね。
・映画館のシーンは、大阪の第七藝術劇場で撮影したそうですが、ナナゲイは過去に舞台挨拶などで行ったことがあったのでしょうか?カウンターの後ろに立つと、また違うものですか?
舞台挨拶で行って、その合間に映画を観たりしていたと思います。カウンターの後ろに立つのは、ミニシアターの懐に入った感じがして良かったです。「ここが自分の行き場所なんだ」という感じは誰に説明されることもなく、ふぁーっと入り込んできました。
・追撮したシーンでは、新宿K’s cinemaの前での撮影もありましたが、K’sは何か思い出がありますか?
2004年にできてから、あれよあれよという間に存在感が大きくなっていって。それはやっぱり何はさておき、ラインアップだと思うんです。何をそこでかけるのかというのがしっかりしているからこそ、存在感が大きくなった映画館だと思うので、これから先も期待が大きいです。
・岡本監督とは本作の撮影前にどのような話をしましたか?
未完成の台本を送ってくれて、「修正点はありますか」と聞かれた時に、「珠が二人の神様の間を行き来している感じがちょっと薄いですよね、二つの世界に融合性があった方が、二つがあって珠がいるという感じがもう少しあった方がいいんじゃないですかね」という話をした記憶があります。
・津田さんにとって音楽はどのような存在ですか?
僕はリラックスしたい時にピアノソロだとかを聴くことが多いです。癒されるツールというところがあります。
・伊集院香織さんやぽてさらちゃん。など、本業が音楽の方々とのお芝居はいかがでしたか?
めちゃくちゃ良かったです。特にぽてさらちゃん。は岡本監督の短編映画によく出ているんですけれど、どれも違う面を見せていて、すごい女優さんだなと思っています。本作でもすごくいいです。生っぽさが違うというのが大きくあります。芝居に命を懸けていないというのが俳優にとって実は大事だと見てて思いました。かといって抜いている感じはなくて。みんな一生懸命なんですよね。変な小芝居はしないし、見ていると、俳優の鏡みたいな感じがします。余計なことはしないで、常に自分の全てを出したいと思ってやっているのかな。素晴らしかったです。