「大統領でも逮捕される国」「過去には拉致監禁も?」社会派“実録”映画で学ぶ激動の近代史
日本とも深く繋がる『キングメーカー 大統領を作った男』
現在CS放送中の『キングメーカー 大統領を作った男』(2022年)は、『偽りの隣人 ある諜報員の告白』(2020年)のモデルでもあった第15代大統領・金大中(キム・デジュン)の素顔(?)を描いた作品。大中をベースにした政治家をソル・ギョングが、その参謀を故イ・ソンギュンが好演している。
『キングメーカー 大統領を作った男』© 2021 MegaboxJoongAng PLUS M & SEE AT FILM CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
長期独裁政権の打倒を目指す政治家キム・ウンボムと、その理想に共鳴した影のブレーン、ソ・チャンデ。カネも人脈もないウンボム陣営のために、チャンデは大胆な戦略に打って出る。それはネガティブキャンペーンから詐欺まがいの贈賄工作まで、勝つためにはどんな手段も辞さない汚いやり口だった――。
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金大中といえば「日本で拉致られた政治家」として有名である。これは朴正煕大統領の命を受けたKCIAによるものとも言われたが、いまだ未解決のまま。そして本作は、これまた前述の『南山の~』と大きく重なる部分があるという、(史実なので当たり前なのだが)無限ループが楽しめる韓国社会派映画の魅力が詰まった作品だ。
『キングメーカー 大統領を作った男』© 2021 MegaboxJoongAng PLUS M & SEE AT FILM CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
韓国では1980年代に全斗煥と盧泰愚、2000年代には李明博(イ・ミョンバク/第17代)と朴槿恵(パク・クネ/第18代)が退任後に逮捕されている。“大統領経験者が軒並み逮捕される国”というイメージ自体は間違いではないが、現職大統領でも“悪さをしたらブタ箱行き”という事実が民主化を実現したこと、真に法治国家であることを証明してもいる。
『キングメーカー 大統領を作った男』© 2021 MegaboxJoongAng PLUS M & SEE AT FILM CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
『キングメーカー 大統領を作った男』はCS映画専門チャンネル ムービープラス「今月の韓国映画」で2025年2~3月放送