本年度アカデミー賞ノミネート『メイ・ディセンバー ゆれる真実』
昨年のカンヌ国際映画祭でプレミア上映され話題をさらった、ナタリー・ポートマン×ジュリアン・ムーア豪華共演のトッド・ヘインズ監督最新作『メイ・ディセンバー ゆれる真実』が、2024年7月12日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国公開となる。
本作は90年代に実際に起こった、13歳の少年と36歳女性のスキャンダル(通称「メイ・ディセンバー事件」)の真相をベースに、様々な角度から見つめる心理ドラマ。ふたりの関係は犯罪だったのか、純愛だったのか、はたまた他に真実があったのか……。
過去と現在、真実と憶測が混ざり合う心理戦を描き出す唯一無二の脚本を手掛けたのは、本作でアカデミー賞脚本賞にノミネートされたサミー・バーチ。ヘインズ監督はもちろんオスカー女優2人も虜にした脚本の魅力について、キャストや監督、そしてバーチ自身が語ってくれた。
初長編ながら映画賞を席巻したサミー・バーチとは何者?
本年度アカデミー賞の脚本賞にて注目を集めた人物がいた。本作の原案、そして脚本を担当したサミー・バーチだ。サミーは、本作が自身初となる長編映画の脚本でありながら、センセーショナルな内容が高く評価され、アカデミー賞脚本賞へのノミネートをはじめ、インディペンデント・スピリット賞や全米映画批評家協会賞ほか、名だたる賞レースで脚本賞を獲得している。
本作が動き出したきっかけは、バーチの脚本に魅了されたナタリー・ポートマンが、この繊細な題材に興味を持つであろう監督、トッド・ヘインズに脚本を送ったことに始まる。
全米がかつてないほど騒ぎ立てた、13歳の少年と36歳の女性の不倫騒動<メイ・ディセンバー事件>そのものを描くのではなく、事件のその後を描いた脚本は、バーチの鋭い洞察力と、幾重にも重なる問いかけに満ちていた。
ヘインズ監督は脚本を夢中になって読んだ当時を振り返り、「数々の脚本を読んできたが、サミーの脚本は飛び抜けて印象的だった。道徳的には不確かな要素が多いが、だからこそ、あらゆる感情が渦巻いている脚本だったんだ」と語る。