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「詩を生き、映画を生きた」監督・福間健二が最後に遺した“この世界への希望の贈りもの” 『きのう生まれたわけじゃない』

「詩を生き、映画を生きた」監督・福間健二が最後に遺した“この世界への希望の贈りもの” 『きのう生まれたわけじゃない』
『きのう生まれたわけじゃない』© 2023 tough mama
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「どうしたら変わることが出来る?」

予告編は、「七つの海って書いて七海、どうぞよろしく」と七海の自己紹介から幕を開ける。続けて、母親との生活、公園で楽しげに持ち寄り宴会をしている老人たちと出会う七海。寺田と仲良くなった七海 が、寺田についていく中で様々な出会いを遂げていく姿を垣間見ることができる。「どうしたら変わることが出来る?」と悩む七海に、寺田は「ゴロゴロするんでも、ちゃんとゴロゴロできると、いいかな」と自身がやっている不思議なゴロゴロ体操を披露するというユーモラスなシーンも。

七海と心を通わせる「夫を亡くしたばかり」の岬と、若くして亡くなった寺田の妻綾子の二役を、福間監督の『秋の理由』にも出演した正木佐和が演じている。寺田の「唯一の親戚」の次郎を演じるのは、映画監督でもあり俳優の守屋文雄。いまおかしんじ、城定秀夫監督の作品などに出演している守屋を福間監督が観て、いつか自作に出てもらいたいと考えていたことが、今回実現。

また、ピンク映画を中心に100作品以上に出演し、自身も監督でもある今泉浩一や、『ふゆうするさかいめ』(20)を監督し、『夢の涯てまで』 (23/草野なつか)に出演もしている住本尚子らも出演。福間映画ならではの独特のキャスティングも見どころのひとつだ。

『きのう生まれたわけじゃない』© 2023 tough mama

『きのう生まれたわけじゃない』© 2023 tough mama

『きのう生まれたわけじゃない』© 2023 tough mama

『きのう生まれたわけじゃない』© 2023 tough mama

『きのう生まれたわけじゃない』© 2023 tough mama

2023年3月、この作品を完成させて3日後に、福間監督は脳梗塞で倒れ、療養中に肺炎を起こして4月26日に74歳で亡くなった。本作は、「詩を生き、映画を生きた」福間健二監督の最後の作品に。予告編では、福間監督の映画企画時の言葉も使用されている。「人は人に出会い、何かを受け取り、与えあうことで、小さな希望をつかむことはできる」。

メインビジュアルは、街角に立つ七海の正面ショットが採用された。これから生きていくことへの不安を感じながらも、世界と対峙するかのようなまっすぐで強い表情は観るものを惹きつける。下方には、寺田と七海が土手を歩くロングショットと共に「この地上で、もうすこし生きてみる」という寺田の言葉を思わせるコピーが添えられている。

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