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「全スパイダーマン」に狙われる!? 基本解説『アクロス・ザ・スパイダーバース』は色んな“アース”が楽しいビジュアル・エンタメ大作

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ライター:#杉山すぴ豊
「全スパイダーマン」に狙われる!? 基本解説『アクロス・ザ・スパイダーバース』は色んな“アース”が楽しいビジュアル・エンタメ大作
『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』
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様々な“アース”のスパイダーマン増量でスケールUP

前作『スパイダーバース』は、ある世界(バース)でスパイダーマンとなったマイルス・モラレスのところに別バースのスパイダーマンたちがやって来る、という設定でした。今回の『アクロス』は、“アクロス=横断して”というタイトルが示す通り、マイルスが別バースを旅するお話です。それ故、表現されるバースも増えました。

※以下、物語の内容に一部触れています。ご注意ください。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』

まずマイルスのいるアース1610、スパイダーグウェンの住むアース65、インドのスパイダーマン、スパイダーマン・インディアことパヴィトル・プラパカールが活躍するアース50101、そしてスパイダーマン2099ことミゲル・オハラが拠点を構えるアース928です。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』

マイルスとグゥエンはNYですが、それぞれの世界観に合わせグウェンのNYは水彩画のようなカラートーン、マイルスのそれはアメリカン・コミックならではのカラーリング。スパイダーマン・インディアの活躍するNY的な世界はムンバッタンとよばれ、インドのムンバイとマンハッタンが融合したようなエキゾチックな世界。そしてミゲル・オハラのヌエバヨークは未来のNYであり、『ブレード・ランナー』に出てくる未来都市を明るくした感じ。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』

そして、それぞれのキャラの設定を活かしたアクションが炸裂。要は、異なるアート&アクションが楽しめるので、ビジュアル・エンターテインメントとしてスケールUPしています。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』

スパイダーマンに“なってから”を描きドラマ性もUP

しかし、視覚的な面白さだけではありません。今回の『アクロス』は、よりドラマチックになりました。

前作がヒーローとしての覚醒の物語であるならば、今回は試練のストーリー。例えて言うなら、『スター・ウォーズ』から『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』になった途端、ルークをめぐる状況が大きく変わってしまったように、マイルスに大変なことが起こります。

前作には“どのバースにも自分と同じような仲間がいる”という救いがありました。しかし、今回は“仲間と同じようになるためには愛する者を失う過酷な運命を受け入れなければならない“という究極の選択が突きつけられます。当然、マイルスは拒否する。その結果、すべてのバースのスパイダーマンを敵にまわす……という驚愕の展開となります。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』

そもそもスパイダーマンは“ヒーローになるまで“よりも、“ヒーローになってからの悩み”を描くコミックでした。したがって、マイルスがスパイダーマンになるまでの『スパイダーバース』よりも、ヒーローになったマイルスが悩む『アクロス』の方が、よりスパイダーマンらしいドラマと言えるかもしれません。

かなりショッキングでシリアスなストーリーですが、先にも言ったように、痛快アクションとスパイダーマンならではのユーモア、そして描き分けられた世界観の素晴らしさで楽しめます。実は、本作は『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』同様、次回作につながるところで終わります。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』

次回作は『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース(原題)』。しかし、すごい情報力&ネタがいっぱいの映画なので、続きが持ち越されたとしても、この『アクロス』1本で十分すぎるぐらい見応えがあるのです。

なお本作はスパイダーグウェンの視点で語られており、事実上、彼女がこの映画の主役と言えるでしょうか?

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』

次ページ:実写版スパイダーマン映画とのリンクあり!?
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『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』

“救うのは、愛する人か、世界か――。”
かつてのスパイダーマンたちが受け入れてきた哀しき定め。
今初めて、その<運命>に抗うひとりのスパイダーマンが現れる。

ピーター・パーカー亡きあと、スパイダーマンを継承した高校生マイルス。共に戦ったグウェンと再会した彼は、様々なバースから選び抜かれたスパイダーマンたちが集う、マルチバースの中心へと辿り着く。

そこでマイルスが目にした未来。それは、愛する人と世界を同時には救えないという、かつてのスパイダーマンたちが受け入れてきた<哀しき定め>だった。

それでも両方を守り抜くと固く誓ったマイルスだが、その大きな決断が、やがてマルチバース全体を揺るがす最大の危機を引き起こす…。

監督:ホアキン・ドス・サントス
   ケンプ・パワーズ
   ジャスティン・K・トンプソン
脚本:フィル・ロード&クリストファー・ミラー
   デヴィッド・キャラハム

声の出演:シャメイク・ムーア ヘイリー・スタインフェルド ジェイク・ジョンソン
     イッサ・レイ ジェイソン・シュワルツマン ブライアン・タイリー・ヘンリー
     ルナ・ローレン・ベレス ヨーマ・タコンヌ オスカー・アイザック
声の出演(日本語吹替版):小野賢章 悠木碧 宮野真守 関智一

制作年: 2023