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ソ・イングク演じる極悪人は日本の不良ドラマが元ネタ!? 韓国発“超残虐”アクション『オオカミ狩り』監督が明かす制作秘話

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ソ・イングク演じる極悪人は日本の不良ドラマが元ネタ!? 韓国発“超残虐”アクション『オオカミ狩り』監督が明かす制作秘話
『オオカミ狩り』©︎2022 THE CONTENTS ON & CONTENTS G & CHEUM FILM CO.,LTD. All Rights Reserved.
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「死ぬか、殺すか」の地獄

「人間ってのは、力いっぱい殴ると壊れるんだな」――常軌を逸した暴力によって、為す術もなく人が“バラされて”いく様を観て思う。

「死ぬか、殺すか」の謳い文句どおり、『オオカミ狩り』は殺さなければ瞬殺されてしまう無茶苦茶な映画だ。

『オオカミ狩り』©︎2022 THE CONTENTS ON & CONTENTS G & CHEUM FILM CO.,LTD. All Rights Reserved.

普通に護送できない凶悪な囚人たちを乗せた船。なぜ“普通に”護送できないのか? 彼らは多くの人々に恨まれており、一歩外に出ただけで被害者家族がこぞって命(タマ)を取りにやってくるのだ。だから輸送船を使い、秘密裏に護送することになったのである。

万全を期し、多くの警官を乗せて臨んだ輸送だったが、出港して間もなく極悪人パク・ジョンドゥが脱走。囚人全員を解放し船を乗っ取ろうと、警官はもちろん乗組員も血祭りに上げていく。だがこの輸送船、凶悪犯よりも恐ろしい正体不明の怪物も運んでいた。

『オオカミ狩り』©︎2022 THE CONTENTS ON & CONTENTS G & CHEUM FILM CO.,LTD. All Rights Reserved.

薬によって眠りについていたその怪物は、「人間の加虐性」と「血臭」に反応する戦闘マシーンだった! 囚人たちの蛮行に呼応して目覚めてしまった怪物は暴走し、囚人も警官も全く区別なく、目に入るもの全てを虐殺。こうして輸送船は「殺すか、死ぬか」の地獄と化していくのであった。

『オオカミ狩り』©︎2022 THE CONTENTS ON & CONTENTS G & CHEUM FILM CO.,LTD. All Rights Reserved.

『オオカミ狩り』は死体が多すぎる映画だ。ボディカウントが好きな映画ファンも多かろうが、途中で挫折すること必至。映画が始まり、ジョンドゥの脱走まで10分程度、そこから延々と人が殺され続ける。

単純に撃ち殺す、刺し殺すだけならまだいい。その殺し方たるや文字通り残虐非道。鈍器でボコボコに殴り、耳を食いちぎり喰い、小便をかける。腕を引きちぎり、そのちぎった腕で殴り殺す。拳で死ぬまで強打し、喉笛を剥ぎ取り、首の骨を捻る。

「この調子だと、皆死んでしまうのでは?」と思うも、しっかりと“おかわり”が用意されている。

『オオカミ狩り』©︎2022 THE CONTENTS ON & CONTENTS G & CHEUM FILM CO.,LTD. All Rights Reserved.

怪物は「人間の5倍強い」設定なのだが、それを上回るパワーインフレが爆裂する極悪仕様。もはや漫画の世界。登場人物に深みを持たせるために導入される回想シーンでもゴリゴリと人が殺される徹底ぶりだ。息をするように人が死ぬ。もはや命に対する陵辱である。

キム・ホンソン監督が明かす「“落ち着いて”撮った」の意図

ここまで暴力に注力した作品は希有だろう。殺しのバリエーションが豊かなうえ、とにかく血の量が多い。いや、多すぎる。血が多すぎて、常にスクリーンが真っ赤なのだ。

『オオカミ狩り』©︎2022 THE CONTENTS ON & CONTENTS G & CHEUM FILM CO.,LTD. All Rights Reserved.

一方、囚人や警官にある程度ドラマのある設定を用意し、感情移入を試みているのが通常の残酷ホラーと一線を画しているところだ。「この人には死んで欲しくないなあ」と思わせておいて、ボッコボコに殺す意地悪さも堪らない。

なかでも極悪人パク・ジョンドゥの極悪さが目を引く。少し気に食わない態度をとっただけで、サクッと人を殺してしまう暴力性。それに似合わぬ整った容姿と格好いいタトゥー。イイッ! 彼は良いッ!

ちなみに筆者のお気に入りは、緊急時にだらだらとビールを呑んでいる看護師さんである。

『オオカミ狩り』©︎2022 THE CONTENTS ON & CONTENTS G & CHEUM FILM CO.,LTD. All Rights Reserved.

監督のキム・ホンソンは、韓国映画界では尖ったジャンル映画を撮り続けている先鋭。前作『メタモルフォーゼ/変身』(2019年)は、比較的穏やかなオカルトミステリーであったが、今回の壊れっぷりはどうしたというのか。そんなキム・ホンソン監督にお話を伺う機会を得た。

『オオカミ狩り』キム・ホンソン監督 ©︎2022 THE CONTENTS ON & CONTENTS G & CHEUM FILM CO.,LTD. All Rights Reserved.

次ページ:キム・ホンソン監督インタビュー!
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『オオカミ狩り』

2022年、フィリピン マニラ。現地で逮捕された犯罪者たちを乗せた貨物船“フロンティア・タイタン号”が釜山港に向けて出航した。長年、凶悪犯罪を担当してきたベテラン刑事の約20人が護送官として乗船。釜山では、海上交通管制センターで海洋監視システムを設置。万全な体制により、韓比共同護送計画(プロジェクト名:オオカミ狩り)が進められた。監獄化した貨物船には、13名に対する殺人および殺人教唆、強姦罪に問われ第一級殺人犯として国際手配されたジョンドゥ(ソ・イングク)、特殊暴行17件で赤手配者のドイル(チャン・ドンユン)など極悪非道な犯罪者たちが収容されていた。その夜、密かに脱走を企てていたジョンドゥと刑事として紛れ込んでいたジョンドゥの一味により暴動が勃発。船上は武器を手にした犯罪者たちで溢れかえる。仲間以外は誰であろうと容赦なく殺める犯罪者たちと彼らに立ち向かう警察。そこに、眠っていた“怪人”が目を覚まし、熾烈な戦いが幕を開ける。地獄の航海から生き残るのは誰か……。

監督・脚本:キム・ホンソン

出演:ソ・イングク チャン・ドンユン
   ソン・ドンイル パク・ホサン チョン・ソミン
   コ・チャンソク チャン・ヨンナム チェ・グィファ

制作年: 2022