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ニコラス・ケイジを100倍好きになる! 主演最新作『マッシブ・タレント』監督が明かす“リスペクト必至”の撮影秘話

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ライター:#BANGER!!! 編集部
ニコラス・ケイジを100倍好きになる! 主演最新作『マッシブ・タレント』監督が明かす“リスペクト必至”の撮影秘話
『マッシブ・タレント』®, TM & © 2022 Lions Gate Ent. Inc. All Rights Reserved.
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名優ニコラス・ケイジが自らの分身的な主人公ニック・ケイジを“メタメタ”に演じ、その輝かしいキャリアと改めて向き合ったアクションコメディ『マッシブ・タレント』が2023年3月24日(金)より全国公開。

冒頭から5秒に1度は笑わせてくれるうえに、しっかりスリリングなサスペンス展開もあり、最後には胸がじんわり暖かくなる本作。ケイジとペドロ・パスカルとの相性も抜群だが、決してキャストの知名度頼りではない傑作に仕上がっている。

監督・脚本を務めたのは、ザック・エフロン、マイルズ・テラー、マイケル・B・ジョーダン豪華共演のロマコメ『恋人まで1%』(2014年)ぶり、本作が2本目の長編となるトム・ゴーミカン。大事に温めてきた渾身の企画を憧れのスターと共に大成功に導いたゴーミカン監督が、爆笑必至の撮影秘話や知られざるケイジの素顔を語ってくれた。

トム・ゴーミカン監督『マッシブ・タレント』®, TM & © 2022 Lions Gate Ent. Inc. All Rights Reserved.

「ペドロ・パスカルが『この役を僕にください!』って(笑)」

―落ち目の俳優が大富豪のパーティーに呼ばれて……という本作の物語を思いついた最初のきっかけは何だったんでしょうか? また、最初からニコラス・ケイジありきのアイデアだったのでしょうか。

コンセプトはニコラス・ケイジありきだった。ケイジが自分自身を助くために、かつて演じていた1990年代後半から2000年代初頭のヒーローに実際にならなければいけなくなる――というね。この映画は、あまり印象がよろしくない主人公ニックから始まり、徐々に良い人になっていくわけだけど、なにしろ本人に会ったこともなければ、もちろん彼も僕のことを知らなかったので、かなりチャレンジングな企画だったよ。

『マッシブ・タレント』®, TM & © 2022 Lions Gate Ent. Inc. All Rights Reserved.

―そんな本作への出演オファーに対するケイジの反応は?

当時、ケイジとやり取りしていたプロデューサー経由でメッセージが届いたんだけど、脚本を読んだケイジの反応は「うーん、これはどちらにも転びうる作品だぞ」という感じだった(笑)。おそらく一番の懸念点は「自分を“からかう”ような作品なのでは?」という部分だったんだと思う。もちろん2時間もかけて誰かをおちょくるようなことはしたくないし、そこに意図があるわけじゃない。僕が考えていたのは、キャリアにおいても私生活においても自分の置かれている状況に納得できていない男を描く、ということだったんだ。

『マッシブ・タレント』メイキング ®, TM & © 2022 Lions Gate Ent. Inc. All Rights Reserved.

―ケイジとペドロ・パスカルの相性の良さにも驚きました。彼が演じるハビの存在は物語の原動力になっていますし、少し変わったバディ・ムービーとしても楽しめます。パスカルにオファーした理由と、彼が出演を決めた理由をご存知でしたら教えてください。

むしろペドロのほうからアプローチがあって、一緒にディナーをしたときに「この役を僕にください!」と懇願されたんだ(笑)。「僕は世界一のニコラス・ケイジのファンなんだ! 役者としても、すごく彼に影響を受けているし」なんて熱弁されたよ。

共同脚本のケヴィン(・エッテン)と話していたんだけど、ペドロが演じるハビという役は、彼自身がそのまま活かされているところが多々ある。ペドロはとても映画愛に溢れていて、スウィートで愛嬌のある人なんだ。

『マッシブ・タレント』メイキング ®, TM & © 2022 Lions Gate Ent. Inc. All Rights Reserved.

「キャリアの“頂点”をオマージュしたシーンで“どん底”を演じている」

―本作では『フェイス/オフ』(1997年)や『ザ・ロック』(1996年)などの直接的な引用以外に、たくさんのオマージュも隠されていますよね。プールのシーンは『リービング・ラスベガス』(1995年)を想起させますし、『アダプテーション』(2002年)は“もう一人の自分の存在”だけでなく、ストーリー自体にも似ている部分があると感じました。もちろん『マルコヴィッチの穴』を思い出す人もいるでしょう。引用する作品を選んだ基準は?

色んな要素を散りばめてはいるんだけれど、それらは諸刃の剣でもあるんだ。あまりニッチなところを突いてしまうと、観客は「何のことだろう?」となって離れてしまうから、そのへんのバランスをとるのが難しかった。当初はもっとケイジの出演作のオマージュを入れていたんだけど、最終的には調整しなきゃいけなくなって、削ったり差し込んだり色々と調整しながら進めたよ。

『マッシブ・タレント』®, TM & © 2022 Lions Gate Ent. Inc. All Rights Reserved.

『リービング・ラスベガス』に関してはストーリー的にも欠かせない要素で、こだわったポイントでもある。劇中、ニックが人生のどん底を味わうシーンは、あえて珍しいタイミングに挿れてあるんだ。第一幕目の終盤に主人公のどん底を見せる映画なんて、あまりないよね。自身のキャリアの“頂点”であるオスカー受賞作をオマージュしたシーンで、その本人が“どん底”を演じている……という重なり具合は我ながら面白いなと思う。会話に出てくるオマージュはもちろん、あのプールのシーンなどビジュアル的にも色々なこだわりがあるんだ。

ひとつ面白いエピソードがあるよ。本作のプレミアをSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト:米テキサス州で開催されているエンタメ見本市)で行ったんだけど、観客がやたらと盛り上がることでおなじみのパラマウント・シアターで上映されたんだ。本作も大いに盛り上がったんだけど、その様子が劇中のあるシーンと完全にシンクロしていて、まさに映画が人生を模しているかのようだった。今回の映画製作を通じて一番楽しい瞬間だったよ(笑)。

『マッシブ・タレント』®, TM & © 2022 Lions Gate Ent. Inc. All Rights Reserved.

次ページ:ケイジの突飛アイデアに現場はてんやわんや
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『マッシブ・タレント』

ハリウッドスター、ニック・ケイジは悩んでいた。多額の借金を抱え、心から望んでいた役は得られず、妻とは別れ、娘からは愛想をつかされていた。

「かつて栄華を極めた俺の人生はもう取り戻せないのか――」

悲観する彼の下に、スペインの大富豪の誕生日パーティーに参加するだけで100万ドルが得られる高額のオファーが舞い込む。借金返済のため渋々受け入れ、スペインへ飛んだニックを、彼の熱狂的なファンだという大富豪ハビが待ち受けていた。最初は乗り気ではなかったニックだが、映画の趣味が合うハビと意気投合し、友情を深めていく。ところがある日、CIAのエージェントがニックに接近する。ハビの正体は国際的な犯罪組織の首領で、彼の動向をスパイしてほしいというのだ。ハビとの友情をとるか、それとも国家のために働くのか。ニック・ケイジの俳優人生を懸けた一世一代の大仕事(ミッション)の幕が上がる。

監督:トム・ゴーミカン
脚本・トム・ゴーミカン ケヴィン・エッテン

出演:ニコラス・ケイジ ペドロ・パスカル
   シャロン・ホーガン アイク・バリンホルツ
   アレッサンドラ・マストロナルディ ジェイコブ・スキーピオ
   ニール・パトリック・ハリス ティファニー・ハディッシュ

制作年: 2022