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なぜ『エブエブ』ミシェル・ヨーのカンフーは“泣ける”のか? 壮絶・華麗なアクション遍歴を振り返る【前編】

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ライター:#ギンティ小林
なぜ『エブエブ』ミシェル・ヨーのカンフーは“泣ける”のか? 壮絶・華麗なアクション遍歴を振り返る【前編】
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』©︎ 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.
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『エブエブ』でブルース・リーもジャッキー・チェンも成し遂げていない偉業を達成

ここまででも充分すごいことだ。それなのに、ミシェルは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017年)、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021年)というMCU映画2作に出演し、まったく違う役を演じるというMCU出演俳優史上でも稀な快挙を達成。どちらもミシェルに似合う威厳と気品を兼ね備えた役だった。

それだけではない。さらにミシェルは、多くのSFファンがリスペクトする『スタートレック』シリーズの『スタートレック:ディスカバリー』(2017~2022年)にも出演。こうゴージャスな経歴が続くと、実際は出ていないんだが『スター・ウォーズ』シリーズのどれかにも、品があって画期的に強いキャラクターで出ていた気がしてくる……。

このようにわがまま極まりない経歴のミシェルだが、2023年3月3日より日本公開の主演最新作『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』ではゴールデングローブ賞を受賞し、アカデミー賞にも最多ノミネートされた。カンフー・ファイト・シーンを披露した作品で、ゴールデングローブ賞を受賞し、アカデミー賞にも選ばれたのだ。これはブルース・リーもジャッキー・チェンも、ジェット・リーもドニー・イェンも成し遂げていない偉業である。

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』©︎ 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

信じられないほど泣けるカンフー・シーン満載の感動作

『エブリシング~』のカンフー・ファイトは、物語的に意味のないアクション・シーンではない。劇中、ミシェルがカンフーを繰り出すたびにマルチバースの危機が回避できそうになるだけでなく、ミシェル演じる主人公が抱える移民の生きづらさ、夫婦のすれ違い、壊れかけた親子の絆といった問題も解決に向かい出す。嘘みたいな話だが本当だ。なんせ監督は、「この映画を作ったヤツの尿検査をした方が良いのでは……?」と観客に思わせてしまうほど不思議かつゴキゲンな映画『スイス・アーミー・マン』(2016年)を撮ったコンビ、ダニエルズだから。

ダニエルズは今回も、その俺ジナル極まりないスキルをスパークさせて、信じられないほど泣けるカンフー・シーン満載の感動作を作り上げた。そんな映画がアカデミー賞に選ばれたのだ。カンフーや中国文化の普及、そして中国人がナメられないために映画作りに尽力を注いだブルース・リーも、草葉の陰で泣いているかもしれない。

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』©︎ 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

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