『プレデター』濃厚解説! ディズニープラス『プレデター:ザ・プレイ』鑑賞前に知っておきたいシリーズAtoZ【前編】

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ライター:ギンティ小林
『プレデター』濃厚解説! ディズニープラス『プレデター:ザ・プレイ』鑑賞前に知っておきたいシリーズAtoZ【前編】
『プレデター:ザ・プレイ』© 2022 20th Century Studios

1987年『プレデター』の衝撃

『プレデター』(1987年)を劇場で観た時の衝撃はいまでも色あせない。公開前の宣伝では、プレデターの姿は一切明かされなかった。その代わり、アーノルド・シュワルツェネッガーの雄姿を前面に打ち出した宣伝を展開したことによって、当時の友人の中には『コマンドー』(1985年)チックなアクション映画だと思って観に行ったら、宇宙人が登場して心底驚いていたやつもいたぐらいだ。

僕は、シュワルツェネッガー率いる精鋭ぞろいの特殊部隊が、ジャングルでの任務中に宇宙から来たハンターに襲われる、というあらすじを知っていたので、「どんなデザインのクリーチャーなんだ!?」と期待に胸がパンパンにしていた。当時は『エイリアン2』(1986年)、『ザ・フライ』(1986年)、『リトルショップ・オブ・ホラーズ』(1986年)などクリーチャー特撮の進歩を見せつけるような作品が続々と公開されていたSFXの高度成長期。

そんな時期に『ターミネーター』(1984年)、『コマンドー』(1985年)で人智をフライングした無敵ぶりをアピールして、アクション映画ファンのハートをガッチリ掴んだシュワルツェネッガーが、宇宙人ハンターと戦う映画が作られた! きっと『ザ・フライ』のクライマックスに登場するクリーチャーのような人間離れしたボディの、いかにもアメリカの特殊メイクアップ・アーティストが気合を入れてデザインしたような感じのデザインに違いない! と思っていた。

それだけに、遂にプレデターが姿を現した時には、あまりに予想を超えすぎたデザインだったので一瞬、違う作品のキャラが紛れ込んできたのか……!? と動揺した。凄すぎる! まるで、日本の戦隊ものに出てくる幹部怪人のようなデザインじゃないか……。ハリウッド映画に、こんなチャイルデッシュでカッコいいキャラクターを出して大丈夫なの!? と多いに困惑し、猛烈に感動した。

ちなみに『プレデター』の半年後に公開された、『宇宙刑事ギャバン』(1982~1983年)に影響を受けてデザインされたといわれる『ロボコップ』(1987年)を観た時も似たような衝撃を受けました。

そんなプレデターの誕生から35年経った2022年の8月5日、ディズニープラスでプレデター登場作としては7作目、プレデター単独作では5作目となる最新作『プレデター:ザ・プレイ』が配信された。すでに多くの方が視聴し、歴代『プレデター』映画の中でもトップクラスの高い評価を得ている。本作の見どころは、『プレデター』映画の中で最も古い時代、18世紀を舞台にしたこと、『エイリアンVSプレデター』(2004年)以来二度目、プレデター単独作品では初の女性が主人公であること、ネイティブ・アメリカンのコマンチ族を描いたことなどたくさんある。が! そのあたりの魅力は、すでに配信から1か月以上が経ち、多くのサイトで解説されているので、ここでは『プレデター:ザ・プレイ』に初登場した新種のプレデターについて徹底解説をしたいと思います!

『プレデター:ザ・プレイ』© 2022 20th Century Studios

オリジナル版の“中の人”はヴァン・ダムだった!?

まずは、おさらいとして1作目『プレデター』に登場したジャングルハンター・プレデターが如何にして誕生したか解説したい。ジャングルハンターに、すべてのプレデターの基本が詰まっているので。

1作目の物語を生み出した脚本家ジム・トーマスジョン・トーマス兄弟が最初に考えたプレデターは、小柄で、ジャングルを俊敏に移動できる猿のようなエイリアンだった。そのルックスに関しては、映画でシュワの部下マック役で出演したビル・デュークが「原案の段階では全身の色が赤く、ひとつ目だった」と証言している。しかし、シュワと戦う相手が小柄で猿のようなエイリアンでは貧弱すぎるだろ……という判断で、もっとアグレッシブなデザインのクリーチャーに変更されることになる。

最初のデザイン案は、本作の監督ジョン・マクティアナンの意向を反映させた。彼が考えたのは、脚が逆関節で、長身の昆虫チックな見た目のエイリアン。このデザイン案を基に、ボス・フィルム・スタジオがスーツを制作する事になった。造形を担当したのが『ゴースト・バスターズ』(1984年)のスライマーや後に『スピーシーズ』(1995年)でH・R・ギーガーがデザインしたシルを作ったスティーヴ・ジョンソン。彼はマクティアナン案のプレデターのスーツを造型しながら「こんなデザインで大丈夫か……」と悩み続けていたという。

それでも依頼通りに作ったスーツが完成すると、すでにプレデター登場シーン以外の撮影ははじまっているロケ現場に送られた。そのスーツを見た、マクティアナン監督は思った。

「間抜けなデザインだ……俺の理想とかけ離れている!」

どう考えても自分のせいなのに……。とにかく「できちゃったものは仕方ない」と撮影に使うことにした。が、数カット撮影した後、マクティアナン監督は「ごめん! やっぱ無理……」とデザインの変更を要求……。有名な話だが、このボツになったバージョンのスーツアクターをしていたのがジャン=クロード・ヴァン・ダムだった。

プレデターを最初からデザインし直してスーツを制作するために、撮影を6週間中断することに。その間に新たなプレデターを作らなければいけない。どうしよう……誰に頼めば良いんだ? とマクティアナン監督たちは頭を抱えた。そんな時、シュワルツェネッガーがこんな提案をしてきた。

「『ターミネーター』で特殊メイクをやったスタン・ウィンストンのスタジオに発注する、ってのはどうだい?」

そして皆さんが知る、ジャングルハンター・プレデターと呼ばれるプレデター第1号が誕生した。

デザインに関しては、「スタン・ウィンストンが、ジャマイカの戦士の絵からインスパイアされた」説と、「当時、スタン・ウィンストン・スタジオで仕事をしていてスティーヴ・ワンが、ゴリゴリの日本の特撮やアニメのファンで、『電撃戦隊チェンジマン』(1985~1986年)の敵キャラ、宇宙海賊ブーバを基にデザインした」説の2つがある。ちなみに僕は、スティーヴ・ワンがデザインの方向性を作ったんだろうな、と思っています。

当時、無双ぶりをスパークしていたシュワルツェネッガーを徹底的に苦しめ、圧倒的な存在感をアピールしたプレデターは人気キャラとなり、映画はシリーズ化。ついにはエイリアンの天敵に任命される、という異例の出世を遂げることになる。

プレデターのトレードマーク!「バイオマスク」よもやま話

プレデターは地球上で狩りをする時、バイオマスクと呼ばれるマスクを装着する。このマスクはプレデターがどんな環境の惑星でも狩りが楽しめるように、サーモグラフィ等の視覚モードやレザーサイト、呼吸装置など、我々人類には計り知れないスペックを兼ねえている。そもそもプレデターがバイオマスクを装着することになったのは、1作目の撮影時に素顔の口元や表情を動かすシーンを少なくするためだった。プレデターの素顔マスクの表情を動かすために、約10人のオペレーターが操作しなければいけないという。そんな節約魂によって誕生したバイオマスクは、プレデターのトレードマークになった。

バイオマスクの機能といえば、まず浮かぶのがサーモグラフィ。1作目では、バイオマスクから見たサーモグラフィ映像を撮影するため、本物の装置を使って撮影した。しかし、撮影場所であったメキシコのジャングルの気温が30度以上あり、人物と周囲の温度差がなく人の姿が浮かび上がらなかったため不採用となった……。

そして『AVP』では、バイオマスクから見たサーモグラフィを撮影するために軍事用カメラを借りたところ、あまりの精度の良さにスタジオの裏にいたスタッフまで写り込んでしまい使用を中止したという……。

今回の『プレデター:ザ・プレイ』に登場するプレデターは、メカの上に獲物の頭蓋骨を被せたバイオマスク、通称ボーンマスクを装着している。これは本作の監督ダン・トラクテンバーグのアイデア。「従来のプレデターよりも野性的かつ原始的な本作のプレデターにとって、骨は食事としてだけでなく、文化的にも重要なアイテムになっている」という理由からだ。そのためマスクだけでなく、両腕に装着しているリストガントレットも骨で装飾している。ちなみにボーンマスクに決定する前は、1作目のジャングルハンター・プレデターがしていたバイオマスクの試作品チックなデザインのものを装着することも検討された。

 

【後編<新たな戦闘狂宇宙人誕生!『プレデター:ザ・プレイ』がもっと面白くなるキャラ造形&ウェポンこってり解説>に続く!】

文:ギンティ小林

『プレデター:ザ・プレイ』はディズニープラス「スター」にて2022年8月5日(金)より独占配信中

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『プレデター:ザ・プレイ』

300年前のコマンチ族の世界が舞台。大平原をさすらう伝説のハンターの元で育った、勇猛で高い技術を有する若き女性戦士ナルの物語。

監督:ダン・トラクテンバーグ
脚本:パトリック・アイソン

出演:アンバー・ミッドサンダー
   ダコタ・ビーヴァーズ デイン・ディリーグロ
   ミシェル・スラッシュ

制作年: 2022

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