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アウトサイダーが日本酒業界を変える!ドキュメンタリー『カンパイ!日本酒に恋した女たち』小西未来監督インタビュー

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ライター:#BANGER!!! 編集部
アウトサイダーが日本酒業界を変える!ドキュメンタリー『カンパイ!日本酒に恋した女たち』小西未来監督インタビュー
『カンパイ!日本酒に恋した女たち』© 2019 KAMPAI! SAKE SISTERS PRODUCTION COMMITTEE
BANGER!!!でハリウッドの監督や俳優のインタビューを届けてくれている、LA在住の映画ライター/映画監督の小西未来が手がける日本酒ドキュメンタリー第2弾!日本酒業界に新たな風を吹かせる女性3人を描いた本作について、小西未来監督に伺ってきた。

日本酒業界のアウトサイダーに共感し、ドキュメンタリー作りが始まった

日本酒コンサルタントのレベッカ・ウィルソンライ『カンパイ!日本酒に恋した女たち』© 2019 KAMPAI! SAKE SISTERS PRODUCTION COMMITTEE

小西未来監督の日本酒ドキュメンタリー『カンパイ!世界が恋する日本酒』(2015年)の待望の続編『カンパイ!日本酒に恋した女たち』が2019年4月27日より公開される。前作では日本酒に魅せられた外国人初の杜氏、アメリカ人の日本酒伝道師、岩手老舗酒蔵の蔵元の3人のアウトサイダーの挑戦と葛藤を伝える物語を届けてくれた。最新作『カンパイ!日本酒に恋した女たち』では、長らく「女人禁制」と言われていた日本酒の世界で活躍する老舗酒蔵の女性杜氏、ニュージーランド出身の日本酒コンサルタント、そして多彩なフードペアリングで話題を呼ぶ日本酒ソムリエの女性3名が織り成す感動の物語となった。監督の小西未来さんに映画を撮影をしようと思ったキッカケや、最新作についてお話を伺ってきた。

-映画ライターとして活躍する小西さんが映画を撮ろうと思ったキッカケは?

実は、若いころに映画の撮影を学ぶためにアメリカの映画学校に入りました。ただ、留学中にお金がなくなってきて、運良くライターの仕事が見つかって、食い繋ぐために始めたはずが、気づけば本職になっていました。2011年頃には、ゴールデン・グローブ賞を決めるハリウッド外国人記者クラブ会に入ることができて、ある種選ばれた立場になってライターの仕事が確立していったんです。ライターとしても、ありがたいことに色んなお仕事を頂いていて、今だからこそ映画を作りたいという昔からの夢を実現できると思い、前作『カンパイ!世界が恋する日本酒』から映画作りを本格的に始めました。

-ドキュメンタリーを選んだ理由は?

現実的な理由としては、ドキュメンタリーは予算をかけずに自分の手の届く範囲で出来るからです。空いている時間で撮影ができるので、ライターの仕事と両立が出来ることが大きい。前作から引き続きドキュメンタリーが続いていますが、いつか劇映画にも挑戦してみたいと思っています。

今田酒造本店の取締役/杜氏・今田美穂『カンパイ!日本酒に恋した女たち』© 2019 KAMPAI! SAKE SISTERS PRODUCTION COMMITTEE

-前作から引き続き、日本酒をテーマに撮影されました。

アメリカに長年住んでいますが、自分のルーツでもある日本文化がテーマであれば、内容的にもより深いものを描けると思いました。ただ、日本酒に関しては、ドキュメンタリーを作る前までほとんど日本酒を飲んだことがなく、正直まったく詳しくなかったです(笑)。昔、アメリカ人の友人と日本食レストランに行った際に、その友人から日本人だから日本酒に詳しいと思われて、日本酒を選んで欲しいと言われました。その頃はまったく日本酒のことがわからなかったので、恥ずかしい思いをしました。そのような苦い経験もあったので、日本酒をいつか勉強したいと思っていて、ドキュメンタリーを通じて自分自身も日本酒を知ることが出来たら一石二鳥だと考えていました(笑)。

-日本の食をテーマにしたドキュメンタリーといえば、『二郎は鮨の夢を見る』が海外でヒットしました。

『二郎は鮨の夢を見る』(2011年)は、特にアメリカ市場で日本の食をテーマにしたドキュメンタリーが受け入れられることを証明してくれた作品です。直接的ではないにせよ、市場を知ることが出来たという意味では影響を受けた作品だと思います。

-続編を作ろうと思った理由を教えてください。

前作から日本酒業界に携わる方々の取材をしていく中で、「この人の物語も伝えたい!」と思うような魅力的な人と出会うようになりました。前作でお客さんが楽しんで下さったこともあり、また違う人を取り上げたいと思っていたので、続編を作ることができて良かったです。

日本酒BAR「GEM by moto」店長・千葉麻里絵『カンパイ!日本酒に恋した女たち』© 2019 KAMPAI! SAKE SISTERS PRODUCTION COMMITTEE

-今回は、3人の女性を選びましたね。

前作でフォーカスしたのは、日本酒業界に携わる外国人、つまり伝統的な業界の中ではアウトサイダーの人たちを選びました。私がアメリカに住んでいて誤解を受けやすいマイノリティでもあるので、アウトサイダーに共感することが多いです。日本酒業界は保守的なイメージがあったので、そこで活躍する外国人は凄いな!と思って選ばせて頂きました。続編でも“アウトサイダー”という軸は継続して、男性のイメージが強い日本酒業界で果敢に挑戦をしている女性に目を向けることにしました。

-このドキュメンタリーで観客に伝えたいことは?

前作の撮影を始めたときには、少し語弊がありますが、日本酒業界は外から見ていて“苦しくて辛い”というイメージを抱いていました。だから、日本酒に関わる人に取材をすれば、色んな人間ドラマが撮影できると考えていました。ただ、撮影を始めてわかったのが、当事者たちは苦しいなど一切口に出さないんです。皆さん仕事に打ち込んで、楽しまれていて、ある種肩透かしを食らったというか、もっと不幸な話とか苦労話が聞けると思っていたので驚きました。そんな、イキイキと働く姿を見ていて、ドキュメンタリーのトーンも明るいものに変えたんです。

続編に出演していただいた3人の女性は、新しいことにチャレンジしていて、日本酒業界でも名の知れた素晴らしい方々です。真剣に仕事に打ち込む3人の姿を見て、少しでも勇気を貰って頂けたら嬉しいです。最近では女性や若い才能が日本酒業界に加わったことで多様性が生まれ、日本酒がより魅力的なものに変わってきています。日本酒に興味がなかった人も、今の日本酒は種類が豊富なので、是非ドキュメンタリーを観て、気になった日本酒をどんどん試してみて下さい。

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『カンパイ!日本酒に恋した女たち』

広島に百年以上続く酒蔵を酒造りごと継いだ女性杜氏、日本酒の魅力を世界へと発信するニュージーランド出身の日本酒コンサルタント、そして多彩なフードペアリングで日本酒の世界に新たな旋風を吹き起こしている日本酒ソムリエ。生き生きと日本酒の世界で躍動する女性たちのストーリーを追うことで、伝統ある日本酒の世界の、新しい時代の到来を目の当たりにすることができる。

制作年: 2019
監督: