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歴史的“男女平等”裁判で差別に一石!『ビリーブ 未来への大逆転』は86歳アメリカ最高裁判事のリアル・ストーリー

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ライター:#BANGER!!! 編集部
歴史的“男女平等”裁判で差別に一石!『ビリーブ 未来への大逆転』は86歳アメリカ最高裁判事のリアル・ストーリー
『ビリーブ 未来への大逆転』© 2018 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC.

1970年代のアメリカで、不条理な女性差別に立ち向かった一人の弁護士がいた。彼女の名はルース・ベイダー・ギンズバーグ。『ビリーブ 未来への大逆転』は米最高裁判所の最高齢判事であり、人々から“ノトーリアス・R.B.G.”の愛称で親しまれているギンズバーグ判事の若かりし頃を描いた伝記映画だ。

史上初“男女平等裁判”に挑んだ女性弁護士RBGの真実の物語

『ビリーブ 未来への大逆転』© 2018 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC.

物語の舞台は1970年代、まだまだ人種/性差別が根強く残っていたアメリカ。夫マーティンとともに弁護士を目指すルース・ベイダー・ギンズバーグは名門ハーバード大学のロースクールに入学したが、マーティンが病に倒れてしまう。

家事育児を一手に引き受けつつ、必死で勉学に勤しんだルース。やがて病を克服し、就職も決まったマーティンを支えるためNYで就職先を探すも、成績優秀な彼女を雇う弁護士事務所は皆無だった。“女性だから”という理由だけで……。

冒頭、学長のおっさんに「ところで、男子学生を押しのけてまでキミたちが入学した理由はなんだね?」というクソみたいな嫌味をぶつけられるシーンはめちゃくちゃに腹立たしい。昨今、女性の人権が踏みにじられる凶悪な事件(しかも加害者が罪に問われない)が多発している国で暮らしている我々にとっても、単なる“大昔の仰天エピソード”とは思えないシーンだ。

主人公ルース・ベイダー・ギンズバーグはそういった根深い女性差別やマイノリティの権利のために長年戦ってきた人物であり、この『ビリーブ 未来への大逆転』は史上初の“男女平等裁判”に挑んだ彼女の物語である。

どんなにクソみたいな時代でも、必ず変化は訪れる

『ビリーブ 未来への大逆転』© 2018 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC.

1993年に女性として2人目の最高裁判事に指名されたルースは、2019年3月に86歳を迎えた。女性解放運動をけん引し、弁護士時代から女性やマイノリティの権利のために長年にわたって戦ってきた、控えめに言ってもリビング・レジェンドな御仁だ。

リベラル派の判事として民衆からの支持も厚く、ドキュメンタリー映画『RBG 最強の85才』(日本公開2019年5月10日)が多くの映画賞を獲得し、ドキュメンタリーとしては異例の大ヒットを記録したことからも彼女の人気が伺える。

本作『ビリーブ 未来への大逆転』でも、病に伏したマーティンに代わり家事・育児・勉学・看病をこなすルースは、まるでワンダーウーマンのように見えるかもしれないが、その苦労は我々の想像を絶するものだったはずだ。そして、この時代の男性としては珍しく女性に敬意を持って接するマーティンもまた、生涯に渡って彼女を愛し支え続けた。

『ビリーブ 未来への大逆転』© 2018 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC.

性差別によって弁護士として働くことを諦めざるを得なかったルースは大学教授職に就くも、やがて弁護士への夢をぶちまける。すると、ある男性が介護費用の控除を認められなかったという判例をマーティンから紹介され、訴訟提起することを決めるのだった。

ここで興味深いのは、女性への直接的な差別等ではなく、独身というだけで母親の介護費用控除の申請すらできなかった男性が、その歴史的裁判の発端になったことだ。つまり“女性差別は男性差別にもなり得る”ということであり、こういった事例を生んでしまう古くさい法律の矛盾を突いたのである。

その道程は容易ではなかったが、あるとき「よう、ねーちゃん!」とストリートハラスメントをしてきたおっさんに対し、反抗期まっさかりだった愛娘が堂々とブチ切れる姿を目の当たりにしたルースは確信する。女性が抑圧される社会はもうすぐ終わるはず、時代は着々と変化しているんだ……! と。

怒れ! 抗え! 未来を担う若者のために私たちができること

市民生活における正義や公平が次々と踏みにじられていく現代社会に、不安を超えて恐怖を感じる人も少なくないだろう。政府の相次ぐ不祥事や不当な弾圧に倫理観が麻痺させられていくような感覚は、まさにディストピア映画さながらだ。それでも我々は諦めず、怒り、戦っていかなければならない。未来の社会を担う若い世代が負の遺産に苦しめられることがないよう、生涯をかけて抗い続けることが我々の最低限の責務なのだから。

ちなみに本作の監督ミミ・レダーは日本では有名じゃないかもしれないが、ディザスター映画の金字塔『ディープ・インパクト』(1998年)を大ヒットさせたスゴい人。ルースを演じたフェリシティ・ジョーンズを含め、本作はがっつり女性が活躍している映画でもあるのだ。

『ビリーブ 未来への大逆転』は2020年9~10月CS映画専門チャンネル ムービープラスにて放送

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『ビリーブ 未来への大逆転』

女性は仕事を選べない。男性は専業主夫になれない。50年前のアメリカで弁護士ルース・ギンズバーグが100%負けるはずの裁判に挑んだ爽快な逆転劇とは……。

制作年: 2018
監督:
出演: