『アンツ・パニック 巨大蟻襲来』はバディものとしても“アリ”なモンスター・パニック

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ライター:知的風ハット
『アンツ・パニック 巨大蟻襲来』はバディものとしても“アリ”なモンスター・パニック
『アンツ・パニック 巨大蟻襲来』
価格:¥3,800(税抜)
発売・販売元:ギャガ
© 2018 It Came From The Desert Oy
超巨大なアリ、頭が弱いイケメン兄&優秀なオタク弟というステレオタイプの登場人物、そして要所要所ではさみ込まれる青春成長物語。B級映画の三大要素がそろう、とても優秀なモンスター・パニック映画が本作である。

でかいアリ(じゃなくてもいいが)的作品が好物なら…本作は食指に合う

『アンツ・パニック 巨大蟻襲来』© 2018 It Came From The Desert Oy

藪から棒に申し訳ないが、あなたは長い人生の中で、「なんだか今日はデカいアリが人類を襲う作品が観たいなー」と思った経験があると仮定する。更に言うなら、「なんだか今日はデカいアリを相手に、ウブなナードとアホなジョックが戦う、青春モンスター・パニック映画が観たいなー」と思った経験があると仮定する。
そこまで希望が具体的でなくても構わないが、そういう趣向の作品は大好物だと主張するあなたに、十中八九ヒットするパニック映画が存在するのだ。『アンツ・パニック 巨大蟻襲来』(2017年)である。
というわけで今回は、『アンツ・パニック 巨大蟻襲来』の魅力について紹介していきたい。

内容について語る前に、解説として一つ触れておかなければならないことがある。本作は、「It Came from the Desert」という1989年に発売されたゲームを原作に持つ作品である。とはいえ原作を知らなければ内容が伝わらない作品というわけでもないので、何か過剰に警戒する必要はない。
また、「It Came from the Desert」は『放射能X』(1954年)という巨大生物映画をリスペクトした作品である。こうなってくると『アンツ・パニック 巨大蟻襲来』は『放射能X』の遠い親戚と言えないわけでもないが、徹頭徹尾シリアスなムードの『放射能X』に比べると、本作はコメディ色の強いバディ物だという差異がある。
もちろん『放射能X』を知らなくても『アンツ・パニック~』は楽しめるが、一応トリビアとして覚えておくといい。

メカニックとして優秀なオタクのブライアンと、頭は悪いが運動神経と顔は良いライダーのルーカス。チームを組んでモトクロスバイクの大会で優勝した二人は、ガールフレンドのリサを連れて、砂漠で開催されるパーティーに出席する。
リサに恋心を抱くブライアンは、会場で彼女にアプローチを試みるが、元来の内気な性質から告白を諦めると、意気消沈してパーティーから逃走。
傷心のブライアンと、酒を片手に相棒の後を追ってきたルーカスは、偶然にも会場から離れた場所で、謎の研究施設を発見。軽いノリで建物を探索すると、内部には軍需企業の実験で異常に成長した、巨大なアリの大群が……。
果たしてブライアンとルーカスの凹凸タッグは、アリの猛攻から生き延びられるのだろうか、というのがアンツ・パニックの概要である。

ただのモンスター・パニックではない。互いへのリスペクトに溢れ、成長してゆくバディ・ムービーだ

『アンツ・パニック 巨大蟻襲来』© 2018 It Came From The Desert Oy

本作の見所としては、主人公であるブライアンと、ルーカスの関係性が挙げられるだろう。
ブライアン自身は別段斬新なキャラクターというわけでもない。主人公としては典型的な、「普段は軟弱だが、ヒロインを守るために頭脳を駆使してモンスターと対決する、我等が理想のナード」である。ルーカスも同様に、「ハンサムで運動神経も抜群だが、単純馬鹿なジョック」……と脇役としては定番のキャラクターだ。
だが、上記の通り性格の対照的なナードとジョックが、「最初から最後までお互いリスペクトを捧げている」というのが、同系統のモンスター・パニックには比較的希少な特徴である。
ブライアンは社交的で自信家なルーカスを、「自分と違って本当にクールな男子の理想像」だと思っている。一方でルーカスは、頭脳明晰なブライアンを、「自分にはできないことが普通にできるマジで凄い奴」として、本音で認めているのだ。そういった二人がときに励まし合い、ときに罵り合い、ときに認め合って成長していく本作は、「デカいアリが出てくるモンスター・パニックにしては素直に気持ち良い展開」に満ちている。ブライアンとルーカスを除いた、ヒロインのリサや二人のライバルも良い味を出しているので、本作の登場人物の描写については、十分に満足の行く内容だと強調しておきたい。
もちろん本作の顔役であるデカいアリの方も、決して出来が悪いわけではない。というより、いわゆるB級映画というカテゴリーに位置する作品としてはCGの質が良い部類である。加えてアリの巣穴や研究施設のセットにはレトロチックな特撮を使っているので、単純にチープの一言では済ませられない独特の空気が本編には漂っている。映像面の雰囲気も、好きな方は気に入るだろう。

……と他にも話しておきたい点は残っているが、ネタバレと原稿の文字数に配慮して一旦は抑えておく。以上が、『アンツ・パニック 巨大蟻襲来』の簡単な紹介だ。
はっきり言って本作は面白い。別に予算数十億円の超大作なんてことはないが、シンプルに見やすくて、ゆえに薦めやすく、かつ話しやすいという、気心の知れた友達みたいなパニック映画だ。少なくとも“アリ”な作品ではあるので、これを機会にぜひとも一度鑑賞して頂きたい。

文:知的風ハット

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『アンツ・パニック 巨大蟻襲来』

トラウマ級の超巨大アリが襲来!人々に襲い掛かる巨大なアリの恐怖の中、モーターサイクルが駆け巡るモンスター・パニック・アクション。

制作年: 2017
監督:
出演:
  • BANGER!!!
  • 映画
  • 『アンツ・パニック 巨大蟻襲来』はバディものとしても“アリ”なモンスター・パニック