エル・ファニング&ピーター・ディンクレイジ主演!『孤独なふりした世界で』は柔らかい光に包まれた優しい終末映画

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ライター:BANGER!!! 編集部
エル・ファニング&ピーター・ディンクレイジ主演!『孤独なふりした世界で』は柔らかい光に包まれた優しい終末映画
『孤独なふりした世界で』© 2018MARKED LAWNS LLC.
ありそうでなかったエル・ファニングと「ゲーム・オブ・スローンズ」ティリオン役のピーター・ディンクレイジ共演!予想を超える不思議な世界観でサンダンス映画祭で審査員賞を獲得した話題作が「未体験ゾーンの映画たち 2019」で日本初上陸!

人類最後の生き残りが……ピーター・ディンクレイジ!?

『孤独なふりした世界で』© 2018MARKED LAWNS LLC.

エル・ファニングとピーター・ディンクレイジがディストピア映画で共演! と聞いて興味を抑えられない映画ファンは多いはず。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの2人が主演する『孤独なふりした世界で』は、その期待を裏切らないどころか大きく上回る素晴らしい作品だった。

物語の主な舞台は、主人公デル(ディンクレイジ)以外の住民がすべて死に絶えてしまった田舎町。かつては1600人ほどが暮らしていたようだが、今ではデル以外に生きている人間は見当たらない。ってことは生存者を探して旅に出るディストピアものかな? と思いきや、自分が人類最後の生き残りだと考えている様子のデルは特にうろたえるわけでもなく、なんと住民たちの遺体を毎日せっせと埋葬しているのだ。

『孤独なふりした世界で』© 2018MARKED LAWNS LLC.

そもそもデルは、異変が起こる前からこの世の中に何の希望も未練も感じていなかったように見える。住民の遺体を弔い、ボートに乗って食料を確保し、ときにはラップトップで映画を観たり図書館の蔵書を読んだりと、地味なルーティンで黙々と残された人生を過ごすデル。人類最後の生き残りがよりによってこんな分厚い殻に閉じこもっている地味な男じゃあ、ドラマチックな展開なんて起こるわけがないよ!

人間に絶望した男には「世界に美女と二人きり!」な神展開も悪夢でしかない

『孤独なふりした世界で』© 2018MARKED LAWNS LLC.

そこで登場するのがエルたん演じるグレースである。あるとき(打ち上げる人がいるはずもない)花火の音で目を覚ましたデルが外に出てみると、1台の乗用車がクラッシュし路肩に乗り上げていた。運転席にいたのは見知らぬ若い女性。デルは驚きながらも部屋へ連れ帰って傷の手当をするが、目を覚ましたグレースに「出ていってくれ」と告げる。しかし彼女は「ここにいたい」と懇願するのだった。

こんな状況でもなければおそらく一生絡むことはなかったであろう、若く美しい女性の登場。思わず「エルたんと二人きりの世界なんて最高かよ!」などと邪な妄想を膨らませてしまうところだが、この世界にむしろ安らぎを得ていたデルにとって他の生存者なんて鬱陶しいだけ。しかし結局、異常な状況下でも屈託なく振る舞うグレースに根負けする形で、渋々ながら共に生活していくことになる。

『孤独なふりした世界で』© 2018MARKED LAWNS LLC.

このまま孤独なディストピア世界で凸凹コンビが愛情を育んでいくのかな? なんてベタな予想は禁物だ。ポール・ジアマッティとシャルロット・ゲンズブールというキャスティングは、ゆるふわハッピーな展開はありえないぞ! ということを暗示しているのだから(※個人の偏見です)。

柔らかな光に包まれた美しく優しい映像で終末世界を描く

『孤独なふりした世界で』© 2018MARKED LAWNS LLC.

一体なぜこんな世界になってしまったのか? 何らかの大規模な感染爆発があったことは予想できるものの、直接的な原因が描かれることはない。低予算映画ならではの工夫という側面もあるとは思うが、自然光を多用した柔らかくもリアリスティックな映像は不思議な世界観を醸成し、かつ限られた演出で最大限の説得力をもたらしている。撮影監督として豊富なキャリアを持ち、近年ではHuluオリジナルシリーズ『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』の複数エピソードで監督も務めたリード・モラーノ監督には今後注目しておいたほうがよさそうだ。

しかも主演は、登場するだけで映画が100倍エキサイティングになる男ことピーター・ディンクレイジである。彼が終始画面に映り続け、上映時間のほとんどを使ってあの仏頂面を堪能させてくれるのだから、それだけで観る価値があると言っても過言ではない。そこに可憐なエルたんが合流してくるという状況は、もはやフォアグラでフカヒレを挟んでキャビアを乗せるようなもの……とはちょっと言い過ぎだが、優れた役者たちを正しくブッキングすれば限られた予算でも優れた映画が作れるという好例だろう。

『孤独なふりした世界で』© 2018MARKED LAWNS LLC.

余談だが、本作の原題「I Think We’re Alone Now」は1960年代にTommy James and the Shondellsがリリースし、その後1980年代に当時16歳のシンガー・Tiffanyがカバーし世界中で大ヒットしたシングル曲(邦題:ふたりの世界)と同じタイトルだったりする。1組のカップルの視点で歌われる「手をつないで逃げよう 他には誰もいない♪」という歌詞は、まるで本作のテーマソングのよう。ちなみにNetflixオリジナルシリーズ『アンブレラ・アカデミー』でも同曲が印象的に使われており、おそらく音楽配信サービスでは同曲の再生回数が跳ね上がっているに違いない。

音楽といえば、本作では劇中曲としてカナダの国民的ハードロックバンドRUSHの「Finding My Way」がたびたび挿入される。序盤はデルの境遇とミスマッチな印象を受けるのだが、卑屈気味ながらも「これからやったるぞ!」と行動を起こそうとしているかのような歌詞は、終盤のシーンとはばっちりハマって実にグッとくるのだった。監督か誰かの個人的な趣味かもしれないけど!

『孤独なふりした世界で』は「未体験ゾーンの映画たち 2019」で2019年4月5日(金)より公開

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『孤独なふりした世界で』

他人と関わることが嫌いな“孤独を愛する男”と、誰かと一緒にいたい“孤独を嫌う女”。互いに違った“孤独”を抱える男と女が、終末世界で出会う……。

制作年: 2018
監督:
出演:
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