マーベル・シネマティック・ユニバースの真打? ついに『キャプテン・マーベル』が降臨!

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ライター:杉山すぴ豊
マーベル・シネマティック・ユニバースの真打? ついに『キャプテン・マーベル』が降臨!
『キャプテン・マーベル』©Marvel Studios 2019 All rights reserved.
アベンジャーズ結成のはるか以前、地球に一人の女性が堕ちてきた。その名はキャプテン・マーベル。並み居る男性ヒーローを凌ぐ能力を持つ、マーベルが誇る最強ヒーローの誕生だ!

キャプテン・マーベルがMCU新章の狼煙を上げる!

『キャプテン・マーベル』©Marvel Studios 2019 All rights reserved.

いよいよ『キャプテン・マーベル』が公開です。アベンジャーズを核とする<マーベル・シネマティック・ユニバース>(MCU)の1本です。

いまMCU映画は2つの課題をクリアしなければなりません。一つはこれだけヒーロー映画が多い中、それらと差別化できるユニークさを持っているか? もう一つは壮大なMCUというサーガで、どれだけ重要なパーツを担うのか?

『キャプテン・マーベル』は、これらの課題を見事にクリアしています。まず、女性ヒーローというのが差別化のポイント。このキャラのユニークさを知る上で欠かせない、マーベルでの誕生背景をお話ししましょう。

1978年に、日本でマーベル・コミックの翻訳本が出版されたことがあります。当時は映画『スーパーマン』の公開が近づいており、東映がスパイダーマンを原案とする日本版=特撮TVドラマ版「スパイダーマン」の放送を開始した年でもあります。さらに『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977年)のヒットでSF系の書籍が店頭に並ぶなど、日本において海外のコミック作品がクローズアップされた時期でもありました。その翻訳本のラインナップに、後々キャプテン・マーベルとなる「ミズ・マーベル」が含まれていました。

光文社版の他のタイトルは「スパイダーマン」「ファンタスティック・フォー」「マイティ・ソー」「キャプテン・アメリカ」「ハルク」。いずれもマーベルを代表するヒーローたちですが、いま思うとアイアンマンやX-MENを押しのけて「ミズ・マーベル」だったわけです。珍しい女性ヒーロー物だからバラエティ感が出るとの理由でチョイスされたのかもしれませんが、当時のマーベルがこのキャラクターに力を入れていたことがわかります。

女性解放運動に呼応した、世の中が求めるヒーロー

『キャプテン・マーベル』©Marvel Studios 2019 All rights reserved.

マーベルは十代のイケてない若者をスパイダーマンに、ファルコンやブラックパンサー、ルーク・ケイジといった黒人をヒーローに、X-MENのプロフェッサーXやデアデビルなどハンディキャップのある人を超人に、という風に、それまでの“ヒーロー=白人の男”という図式を崩してきました。いまでいうダイバーシティ的な発想をいち早く取り入れたのです。

しかし、意外なことに女性ヒーローが主役の作品はあまりなかった。グループのメンバーに女性がいるとか、アントマンのパートナーであるワスプのように男性ヒーローのバディみたいなパターンはあったのですが、ソロで活躍する超人女子はいなかったのです。

そこで1977年にミズ・マーベルという女性ヒーローをデビューさせるわけです。“ミズ”というのはミスターと対になる、女性への敬称。男性は結婚していようがしていまいがミスターなのに、なぜ女性はミスとミセスなのか? ということでどちらにも使える“ミズ”という敬称が生まれました。これは1960年代後半から起きた女性解放運動、ウーマン・リヴの精神とも合致しており、“ミズ”が積極的に使われるようになったということです。

ちなみにマーベルは第二次世界大戦中に女性ヒーロー物を出版していますが、そのタイトルは「ミス・アメリカ」でした(なお、この「ミス・アメリカ」に由来するヒーローが、東映の特撮ヒーロー「バトルフィーバーJ」に登場します)。マーベルが高まる女性解放運動 ― すごく簡単に言えば、社会における女性差別をなくす運動 ― その精神に呼応して生み出されたのがミズ・マーベルだったのでしょう。

ミズ・マーベルの正体は、<ウーマン・マガジン>という雑誌の編集者。しかし出版界に来る前は空軍にいてNASAに勤めていた、というバリバリのキャリアウーマンです。なお、彼女が勤めていた出版社はスパイダーマンことピーター・パーカーが勤めている新聞社デイリー・ビーグルの出版部門という設定。従って、ピーターをどなりちらす編集長のジェイムソンと彼女が言い合っている、みたいな描写もありました。

そしてNASAにいた時にある男性と恋に落ちるのですが、その彼は“クリー人”というエイリアンで、地球の偵察に来ていたスパイでした。しかし、地球を愛した彼はクリー人戦士としての能力を使って、地球の人々を守る“キャプテン・マーベル”というヒーローになります。そう! 最初のキャプテン・マーベルは男でした。しかし敵との戦いの最中に爆発にまきこまれ、その時の衝撃でキャプテン・マーベルのパワーと彼女のDNAが融合したことで超人となってしまうのです。やがてミズ・マーベルと呼ばれるヒーローになった彼女は、後にキャプテン・マーベルの名を襲名します。

今回の映画は、このオリジン(誕生秘話)をベースにMCUならではの解釈で映像化しています。“偶発的に宇宙のパワーを得た女性”という表面的な部分だけではなく、女性解放運動を背景に生まれたという要素も忘れていない。なので、この映画の時代設定は1995年です。今よりも“男社会”だった時代。そこでがんばっていた女性がヒーローとなるのです。

つまり映画『キャプテン・マーベル』はとてもセンシティブなテーマを取り込んでおり、そこが議論の対象にもなっています。

『アベンジャーズ』の前座にあらず! 堂々たるソロ・ヒーロー映画

『キャプテン・マーベル』©Marvel Studios 2019 All rights reserved.

・武力こそ平和への道と信じていたアイアンマンことトニー・スターク
・戦いこそ勇士の証と信じていたマイティ・ソー
・自国ファーストで国際社会から目を背けていたブラックパンサーことティ・チャラ
・自由の国アメリカを愛しすぎていたキャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャース
・エゴの塊だったドクター・ストレンジ

振り返ってみれば、MCUのキャラはこういう部分を引きずっていて、そこを乗り越えてヒーローになっていきます。彼女は何を乗り越え、真のヒーローとして覚醒するのか? そこがドラマチックです。

……と理屈っぽいことを書きましたが、とても楽しく、キャプテン・マーベルの無敵の強さを活かして今までのMCUになかったスペースアクションで楽しませてくれます! そしてMCUのリンクという意味では、彼女が『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年4月26日(金)公開予定)で活躍することを感じさせてくれます。

しかし、決して『~エンドゲーム』の“前座”には終わっていません。むしろ他のMCU映画とあまりリンクしない(1995年という時代設定は、まだ他のヒーローがいない。強いて言えばキャプテン・アメリカはまだ発見されていないし、初代アントマンが引退してましたから)。堂々たるソロ・ヒーロー映画の誕生です。

また、ブリー・ラーソンがキャプテン・マーベルをとても愛らしく演じていて、応援したくなること必至! 彼女はほぼコスチューム姿なのですが、ブリー・ラーソンはアカデミー賞女優! なんと贅沢な使い方でしょう(笑)。

文:杉山すぴ豊

『キャプテン・マーベル』は2019年3月15日(金)より全国公開

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『キャプテン・マーベル』

記憶を失ったヒーロー、キャプテン・マーベル。彼女の過去に隠された “秘密”が、恐るべき戦いの引き金となってしまう。自在に姿を変える正体不明の敵に狙われ、孤独や不安に打ちのめされても、彼女は不屈の精神で何度も立ち上がる。果たして彼女は記憶を取り戻し、この戦いを終わらせることができるのか? そして、最後につかむ“衝撃の真実”とは……?

制作年: 2019
監督:
出演:
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