JFK暗殺事件の真相解明に執念を燃やすオリヴァー・ストーン監督の新作ドキュメンタリー【カンヌ映画祭】

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ライター:まつかわゆま
JFK暗殺事件の真相解明に執念を燃やすオリヴァー・ストーン監督の新作ドキュメンタリー【カンヌ映画祭】

「『JFK』はフィクションではない。ファクトをドラマライゼイションした映画だ」と言うオリヴァー・ストーン。『JFK』の30年後、この間に明らかにされた情報や調査結果を加えてバージョンアップしたJFK暗殺についての真実を描くのが『JFK Revisited : Through The Looking Glass(原題) 』だ。今回はドラマ化ではなく、ドキュメンタリーになった。

アメリカのドキュメンタリーが得意とする手法として、映像フッテージや資料を駆使し、新旧関係者のインタビューを重ねていく方法がある。それぞれは“事実”の記録、もしくは記憶だが、その“事実”から監督たち作り手が“真実”とすることを読み取っていき、素材を取捨選択して構成し編集していくのである。アメリカでこの方法が好まれるのは、豊富な素材にアクセスしやすいこともあるが、なんといっても[記録は残すもの。一定期間のあとは公開されるもの]という前提がしっかりしているからだ。

陰謀説はみんな正しいと言い切るオリバーストーン監督。新作でその理由を証明する

映画『JFK』から30 年。この間に明らかになった事を大量に盛り込んだのが今回のドキュメンタリー。4時間の配信版を劇場用に再構成している。

映画『JFK』公開がきっかけとなり1992年「JFK暗殺記録収集法」ができ、関連文書は25年以内に全面的に公開されることになった。しかし25年後2017年当時の大統領はドナルド・トランプで、彼は全記録の公開をかなり渋っていたという。世論に押され渋々全面公開をすると発表したものの、約300点の記録が大統領権限によって公開延期にされた。ちなみにバイデン大統領は今年10月までに残りの記録を公表する判断を任されている。

「ベトナム戦争によってわたしの人生は変えられた」と公言し、ベトナム戦争に関する映画で監督として名をなしたオリヴァー・ストーンにとって、この仕打ちは腹にすえかねる出来事だった。そして、現在手に入る限りの証拠と資料を駆使してドキュメンタリーを作る。

4時間を超えた作品は、まず配信され、それをさらに編集して劇場用にしたのが『JFK Revisited : Through The Looking Glass(原題) 』である。1時間58分とほぼ半分にまとめられたとはいえ、その情報量は膨大なものだ。そしてこのドキュメンタリーが明らかにした事を、カンヌ映画祭でドビュッシー劇場の舞台挨拶に立ったオリヴァ―・ストーン監督は一言で言い切った。「JFK暗殺陰謀説は、真実である」と。

ストーン監督世代のアメリカ人にとってJFKは特別な大統領だ。ストーン監督は言う。「ケネディは平和をつくる大統領だった。冷戦・核戦争・人種差別・植民地の独立戦争を終らせようしていた。CIAや軍に逆らえるのは大統領だけであることを利用して世界を変えようとしたんだ。64年に再選していれば本当にその後の世界は変わっていたと思う」だから、殺された、とストーン監督は考える。

ウォーレン委員会が出したオズワルドの単独犯行と言うシナリオを覆す“証拠”をドキュメンタリーでこれでもかと提示してみせる。一発で2人を殺傷した“マジックボレット”、合成が疑われる“銃を持つオズワルドの写真”をはじめ、消された証人、疑惑の委員会メンバーetc. おなじみのものから新しいものまで、畳みかけるように提示していく。

「調査に携わった第一世代の人たちはだいぶ亡くなってしまった。若い歴史家が調査に加わり始めているが、多くの若い人たちはJFKのことをちゃんと知らない。そんな彼らにこのドキュメンタリーをみてほしい。そして世界は変えることができるのだと知ってほしいんだよね」

ストーン監督、執念の一作である。

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