• BANGER!!! トップ
  • >
  • 映画
  • >
  • ガキ大将が高校で浴びた最強野球部の洗礼! 坂口拓が『狂武蔵』で魅せる“絶対に敵わない”強者の壮絶殺陣

ガキ大将が高校で浴びた最強野球部の洗礼! 坂口拓が『狂武蔵』で魅せる“絶対に敵わない”強者の壮絶殺陣

ガキ大将が高校で浴びた最強野球部の洗礼! 坂口拓が『狂武蔵』で魅せる“絶対に敵わない”強者の壮絶殺陣
『狂武蔵』©2020 CRAZY SAMURAI MUSASHI Film Partners

ガキ大将が高校で浴びたヤンキーの洗礼

恥ずかしながら私は幼い頃からヤンチャ坊主で、近所でも有名なガキ大将だった。小学校に入ると一丁前に、子分を数人いつも引き連れて遊んでいた。小学4年生になると、クラスの男子は全員子分。その頃は相手が5年生だろうが6年生だろうが、喧嘩で負けても引いた事がなかった。

中学に入ると、不良マンガの影響もあり徒党を組むのがカッコ悪く思えて、そこからはヤンチャなグループは幼稚園からの幼馴染がリーダーになり、私は一匹狼を気取って徒党を組まなくなっていった。しかし、いざ喧嘩になったら自分が一番強いとも思っていた。そして先生たちに幾度か怒られながらも3年間の中学生活を終え、無事に高校にも入学できた。

入学式の数日前に母親と学校説明会に行くと、生活指導の先生が大きい机の上に何着かの学生服を並べて、「お母さん、これが短ラン、中ラン、そしてこの太いズボンがボンタン。全て変形学生服です。本校ではこの様な学生服は一切認めておりませんので、お子さんの制服もしっかりとした服装をよろしくお願いします!」と説明を受けた。家に帰って母親は、しっかりした先生方でちゃんとしている学校で良かったと喜び、私は変形学生服で登校しないように念を押された。

ところが入学式当日、いざ登校してみると7割以上の上級生の皆さんが変形学生服を着用していて、短ラン中ラン、ボンタンのオンパレード。中には引きずるような長いスカートの女生徒もいた。あの説明会は何だったのか……。

屈強な先輩と「デコピン」対決!? その結果は……

そして私は野球部に入ろうとグラウンドに見学に行くと、これまた怖そうな顔をしたヤンチャ坊主軍団の先輩方。初日からとんでもないところに来てしまったと思った。あの頃の野球部の先輩方は皆さんガタイも良く、各学年のケンカの強さベスト5が野球部にそろっていた。おかげで校内で不良に絡まれても、野球部の生徒には誰も手を出さないという暗黙のルールによって守られていた。

そんな野球部の一つ上の先輩に、Tさんと言う方がいた。この方は1年生でレギュラーになり、最後はエースで4番を任されるチームの中心選手なのだが、ケンカもめっぽう強かったのだ。通っていた中学では西中四天王と呼ばれた一人で、初めは怖くて口も聞けなかった。しかし、持ち前の明るさと天性の後輩気質を発揮し始めた私は、だんだん先輩たちにも可愛がられるようになり、T先輩とも仲良くしていただけるようになっていった。

ある雨の日の練習終わり、このT先輩が私を呼び止め、デコピン合戦をやろうと言ってきた。もちろん遊びの延長なのだが、野球でもケンカでも絶対に勝てないT先輩に、デコピンを打ち込めるかもしれない! 私も中学までは腕っぷしにも自信があったし、こんなチャンスはまたとない! と、私はデコピン合戦に臨むことにした。

初戦、ジャンケンに負けた私はT先輩の強烈なデコピンをおでこに食らった。痛い! かなり痛い! こんなに痛いデコピンは人生で初めてだ! それでも何とか我慢して次戦に臨むも、そこから私はまさかの7連敗。合計8発の強烈なデコピンを食らうことになるのだった。すると私のおでこはみるみるうちに腫れ上がり、真ん中がタンコブの様にこんもり膨れ上がってしまった。キツい、もう限界だ。しかし、まだ1発もT先輩にデコピンを打ち込めていない。このままやられっぱなしでは引き下がれない!!

そう思い、腫れ上がったおでこのまま、もうひと勝負!……渾身の想いで出した私のチョキは無常にもT先輩のグーの前に敗れ、まさかまさかの9連敗。そしてニコニコした表情で、T先輩は私のおでこにデコピンを打ち込んだ。すると、私のおでこからピューッと鮮血が噴き出した!! ……完敗だった。さすがT先輩、デコピンも強烈だった。世の中には絶対に勝てない強者がいるのだということを教わった気がした。

そんな強者の先輩の思い出から、今回は戦国時代から江戸時代にかけて最強と称された剣豪、宮本武蔵が主役の映画、『狂武蔵』(2020年)をオススメしたい。

『狂武蔵』
Blu-ray(2枚組)税抜価格:¥5,800
DVD 税抜価格:¥3,800
発売:ニューセレクト株式会社

日本古来の戦闘術を彷彿! 坂口拓が『狂武蔵』で見せる狂気の殺陣!

『狂武蔵』は2020年8月に公開された作品で、物語は宮本武蔵の戦歴の中でも有名な、京都の名門・吉岡道場との戦いを描いた作品。<宮本武蔵 対 吉岡一門400人>という、普通に考えたら勝てるわけがないのだが、そこが武蔵のすごいところで、強者の剣豪400人を相手にガンガン戦うのだ。これはもう決闘と言うより、ちょっとした戦さである。

『狂武蔵』©2020 CRAZY SAMURAI MUSASHI Film Partners

そしてこの作品で度肝を抜かれたのが、武蔵が吉岡一門400人に一人で立ち向かうシーンが、なんと「77分のワンカット」で展開されるところ。こんなに長時間にわたって展開される殺陣、見たことがない!

『狂武蔵』©2020 CRAZY SAMURAI MUSASHI Film Partners

次々に襲いかかる吉岡道場の剣士たちを、最小限の太刀筋で次々に倒していく様は、まるで不死身のゾンビを倒すが如く。見ていて正直疲れてくるのだが、映画と分かっていても、本当に殺しにかかってくるかのような臨場感と緊張感が、ひしひしと伝わってくる。

『狂武蔵』©2020 CRAZY SAMURAI MUSASHI Film Partners

この宮本武蔵を演じているのが、坂口拓さん。この方の殺陣が本当にすごい! 剣先で相手の太刀を払うやいなや、脳天に一撃! 時には踏み込んできた相手を前蹴りや足を払って倒し、剣を突き刺す。これぞまさしく戦さ場での剣術。グレイシー柔術でお馴染みの日本古来の柔術のルーツは、戦国時代の戦場で、お互い武器がなくなった時の組み手が元なのだが、そんな戦場での戦い方を感じさせてくれる坂口さんの殺陣は見事である。

『狂武蔵』©2020 CRAZY SAMURAI MUSASHI Film Partners

しかも坂口さん、この長い戦闘シーンの撮影開始5分で指を骨折。中盤で肋骨を骨折。撮影終了後には奥歯が折れていた……といった逸話の数々は、この戦闘シーンのすさまじさを物語っている。『狂武蔵』というだけあって、撮影そのものもクレイジーだったのだ。

相手の吉岡一門の中に、山﨑賢人さん演じる忠助なる侍がいる。大勢で武蔵一人を倒そうとしている吉岡一門が卑怯に見えてもおかしくないはずなのだが、なぜか吉岡一門が“善”で宮本武蔵が“悪”に見えてくるのは不思議だった。坂口さんの狂気に満ちた表情がそう思わせるのかもしれないが、本当の宮本武蔵もあんな感じだったのではないか? とも思わされた。

『狂武蔵』©2020 CRAZY SAMURAI MUSASHI Film Partners

現代人も使ってる! 刀剣にまつわる言葉の数々

さて今回は、そんな宮本武蔵も腰に差していた“日本刀”の雑学を紹介しよう。最近の若い人の間でも舞台にもなったゲーム「刀剣乱舞」などで日本刀は人気だが、いわゆる刀用語は現代でもよく使われている。例えば、スポーツの実況で激しい攻防戦のことを指して言う「鍔迫り合い(つばぜりあい)」という表現だ。これは、まさに刀の鍔で相手と押し合いになってる状況を例えた用語である。

他にも、優秀な商品を開発するために「各社がしのぎを削っている」だとか、選挙期間中は「各政党がしのぎを削り有権者に演説する」などと使われる「しのぎを削る」という言葉も、刀にまつわる用語。この“しのぎ”とは、刀の側面の盛り上がった部分のことで、お互いの刀がぶつかり合う様子から、激しく争うことの例えとして用いられるようになったのだ。

さらに、例えば会社の同僚などに対して「あの人とは、どうも反りが合わない」なんて表現をしたことがあるかと思うが、これも刀用語から来たものである。日本刀は、刀鍛冶が丹精込めて鉄に焼を入れ、叩いて作られることは誰もが知っていると思うが、出来上がった刀は真っ直ぐではなく、少し反っている。刀は鞘に収めるものだが、この鞘は木で出来ているので徐々に劣化してくる。そこで、新しい鞘を注文して刀を納めてみたが、どうもしっくり収まらない。この時に出た言葉が「刀と鞘の反りが合わない」。これが、人間同士の相性の悪さを表すのに用いられたわけだ。そして結局、新しい鞘はやめて元の古い鞘を使うことを「元鞘」と言い、これは恋愛などで「別れたけれどまた付き合うことになった」時に用いられる。このように刀にまつわる言葉は少なくなく、語源を知らずとも多くの現代人に使われているというわけだ。

しかし、日本刀は美しくていい。いつも模造刀でいいから一振り欲しいと思っているのだが、妻からは「そんな物いらないでしょ!」と一蹴されてしまう。私はそのたびに「男の子はいくつになっても欲しいもんなんだよ。女の子がいくつになってもぬいぐるみが欲しいのと同じだよ」と言うのだが、まったく納得してもらえないのだった……。

文:桐畑トール(ほたるゲンジ)

『狂武蔵』はU-NEXTほかで配信中

Share On
  • Twitter
  • LINE
  • Facebook

『狂武蔵』

1604(慶長9)年、9歳の吉岡又七郎と宮本武蔵との決闘が行われようとしていた。武蔵に道場破りをされた名門吉岡道場は、既にこれまで2度の決闘で師範清十郎とその弟伝七郎を失っていた。面目を潰された一門はまだ幼い清十郎の嫡男・ 源次郎殿との決闘を仕込み、一門全員で武蔵を襲う計略を練ったのだった。一門100人に加え、金で雇った他流派300人が決闘場のまわりに身を潜めていたが、突如現れた武蔵が襲いかかる。突然の奇襲に凍りつく吉岡一門。そして武蔵 1人対吉岡一門400人の死闘が始まった――

制作年: 2020
監督:
出演: