ディズニー界の“極悪人”が主人公『クルエラ』 ストーン×トンプソンの“Wエマ”競演! ミュージカル化必至!?

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ライター:齋藤敦子
ディズニー界の“極悪人”が主人公『クルエラ』 ストーン×トンプソンの“Wエマ”競演! ミュージカル化必至!?
『クルエラ』© 2021 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

極悪ディズニーヴィラン、クルエラのプリクエル

クルエラとは、映画『101匹わんちゃん』(1960年)に登場する女性の悪役キャラ。ディズニー作品の悪役を集めたディズニーヴィランズの中でも、最凶の部類に属する。なにしろ可愛いダルメシアン犬を捕まえて、皮でコートを作ろうという、動物愛護精神のひとかけらもない、ディズニー界の“極悪人”である。

けれども、さすがディズニー。そんな悪人にも悪人になった理由があるはず、と、博愛精神に基づいて作られたのが映画『クルエラ』である(というのは、私の勝手な想像)。クルエラは実写版『101』(1996年)、『102』(2000年)で名女優グレン・クローズが演じているが、今回は前日譚なので、エマ・ストーンにぐっと若返った。ディズニーヴィランズの女性キャラを主人公にした映画には、すでに『マレフィセント』(2014年)があるが、今回はおとぎの世界ではなく、人間界。70年代のロンドンが舞台でファッショナブルだ。

『クルエラ』© 2021 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

ストーン×トンプソンの“Wエマ”競演に注目

クルエラことエステラ(エマ・ストーン)の髪は生まれたときから黒白で、見かけが人と違うために友達が出来ず、いじめに反発するうちに手に負えない問題児になった。ファッションデザイナーを夢見てロンドンに出て、カリスマ・デザイナーのバロネス(エマ・トンプソン)の下で働き始めるが、超サディストで身勝手なバロネスに徹底的にいじめられたクルエラは、自分の才能を認めさせようと密かに機会をうかがうが……。

主演はエマ・ストーン。『ラ・ラ・ランド』(2016年)で第89回アカデミー賞主演女優賞受賞、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014年)と『女王陛下のお気に入り』(2018年)で同助演女優賞に2度ノミネートという若き実力者で、今回は制作総指揮も担当。クルエラのキレキレのファッションと着こなし、奇抜な髪型からメイクまで、惚れ惚れするほど決まっている。

『クルエラ』© 2021 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

対するエマ・トンプソンも負けてはいない。『ハワーズ・エンド』(1992年)で第65回アカデミー賞主演女優賞、『いつか晴れた日に』(1995年)で同脚色賞(第68回)を受賞した他、『父の祈りを』(1993年)『日の名残り』(1993年)『いつか晴れた日に』で主演および助演女優賞に3度ノミネートしたイギリスの誇る大女優だ。私は『ウォルト・ディズニーの約束』(2013年)で彼女が演じた『メリー・ポピンズ』(1964年/2018年)の原作者、トラヴァース夫人が忘れられない。バロネス役には高飛車で自分勝手なトラヴァース夫人な部分と、『プラダを着た悪魔』(2006年)の鬼編集長ミランダを彷彿とさせるところがある。

ミュージカル化必至!? 豪華サウンドと隅々まで気の利いたビジュアル表現

見どころは、もちろんコンサバなバロネスとパンクなクルエラのファッション対決。ミュージックビデオっぽい見せ方が今風である。中盤、オーソドックスなバロネスのファッションショーが、クルエラの先導で広場の噴水をショーの舞台にしてしまう場面は、ファッションと音楽とダンスがあいまって夢のように楽しい。目先の利く人なら、絶対にミュージカル化を考えるだろう(いや、もうしているかも)。そして、ザ・ビートルズ、ザ・ローリング・ストーンズ、ザ・クラッシュ、クイーンなどなど、70年代のヒット名曲をずらりと揃えたサウンドトラックも聴きごたえがある。

監督は、『ラースと、その彼女』(2007年)や『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年)のクレイグ・ギレスピー。グラフィックデザインを勉強し、CM制作から映画に入った人だけあって、ビジュアル表現に優れ、ファッションが舞台の『クルエラ』は、まさにぴったり。

盛りだくさんで、目と耳に楽しい映画だが、『クルエラ』を今の時代に合わせて映画化することに、ディズニーがいかに心を砕いたかにも注目したい。1956年に刊行されたドディ・スミスの原作「ダルメシアン 100と1ぴきの犬の物語」とアニメ『101匹わんちゃん』では、人も犬も白かった。それが、今回はアニータやロジャーが非白人に変わっただけでなく、日本人の俳優もキャストに加わるなど、絶妙に多様化されている。

『クルエラ』© 2021 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

動物の扱いにも慎重で、撮影で虐待されることなどない(巧みにCG処理されている)のはもちろんだが、さらに、ラストクレジットで“ペットを飼うときは保護動物施設から”という表示が出たのにはびっくりした。ダルメシアン犬は純血種なので、他の犬たちにも気を遣っているんだろうか。そうだとしたら素晴らしすぎる。

『クルエラ』© 2021 Disney

文:齋藤敦子

『クルエラ』は2021年5月27日(木)より公開、5月28日(金)ディズニープラス プレミア アクセス公開

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『クルエラ』

パンクムーブメントが吹き荒れる70年代のロンドン。親を亡くした少女エステラは、反骨精神と独創的な才能を活かし、ファッション・デザイナーになることを決意。ロンドンで最も有名な百貨店リバティに潜り込む。

そんなある日、伝説的なカリスマ・デザイナーのバロネスとの出会いによって、エステラはファッショナブルで破壊的かつ復讐心に満ちた“クルエラ”の姿へ染まっていく──。なぜ少女は悪名高き“ヴィラン”に変貌したのか?

制作年: 2021
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