バズるために“殺人生配信”⁉『ストレンジャー・シングス』のスティーブが殺人鬼に!!『スプリー』は狂気の“配車アプリ”スリラー

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
バズるために“殺人生配信”⁉『ストレンジャー・シングス』のスティーブが殺人鬼に!!『スプリー』は狂気の“配車アプリ”スリラー
『スプリー』© 2020 Spree Film Holdings, LLC. All Rights Reserved.

#殺るだけ殺ってバズりたい

映画『スプリー』の主人公、カートくんのソーシャルメディア歴は10年以上。もはや古参だ。さまざまなネタ動画をアップするものの、一度も10回以上再生されたことはない。そこで彼は思いついた。

「もっと刺激的な動画を撮れば、バズるんじゃね?」

だが、カートの取った行動は常軌を逸していた。タクシー配車アプリ<スプリー>で生活費を稼いでいる彼は、乗客を片っ端から殺害。その状況を生配信することでフォロワー数を増やそうというのだ。なぜカートはそこまでしてバズりたいのか? 何が彼を追い詰めたか?

『スプリー』© 2020 Spree Film Holdings, LLC. All Rights Reserved.

#ソーシャルメディアという麻薬

映画は、彼の凶行を「“殺人生配信でバズった伝説の男、カート”の動画を寄せ集めたファウンドフッテージ」という形式で展開させ、彼が如何に孤独で馬鹿で矮小な存在であったか? をしだいに明かしていく仕組みとなっている。

『スプリー』© 2020 Spree Film Holdings, LLC. All Rights Reserved.

ソーシャルメディアがもたらす麻薬的な快楽はとても恐ろしい。昨日まで普通の生活を送っていた人間が、ワンクリックで何気なく発信した情報。それが世界を掛けめぐり、人生をガラリと変えてしまうことがある。人生が変わるといっても、その根元にあるのはただの自己顕示欲だ。しかし、注目され有名になったことによりもたらされる効果。これこそ脳が大量のドーパミンで満されるがごとく、快楽を与えてくれる非常に危険な麻薬なのだ。

『スプリー』© 2020 Spree Film Holdings, LLC. All Rights Reserved.

この快楽をたったワンクリックで得られることが今、世界中の人々を魅了している。いわゆるインフルエンサーとなることは、有名願望のある人間にとっては抗うことができない魅力なのだ。

#ソーシャルメディアと人間の価値とは

カートの犠牲者には、さまざまな人間がいる。差別主義者、嫌みな不動産屋、ナンパ師、ぶっ飛んだパリピ。誰もがイラっとさせてくれる連中で「まぁ、殺られてもいいか」と思わせる。しかし、とあるお客を乗せたことによりカートは“ソーシャルメディアに頼ることが如何に馬鹿らしいことか”と気がついてしまう。「いいね」やフォロワー数は人間性の高さを示すものではないのだと。しかし、さんざん殺ってきた彼に後戻りはできない。もはや暴走するほか道がないのだ!

『スプリー』© 2020 Spree Film Holdings, LLC. All Rights Reserved.

フォロワー数や「いいね」の数が多い発信者をみると、彼らの言っていることが正しいことのように思える。実際、それを盾に「俺様が正しいのだ!」とシレっと言ってのける輩も多い。だが、そんなことを言う輩に限ってロクな人間ではない。自分が何を信じているのか? 何をすべきなのか? を理解していないと、ソーシャルメディアに踊らされるだけになってしまう。

『スプリー』© 2020 Spree Film Holdings, LLC. All Rights Reserved.

『スプリー』は、そんなソーシャルメディアの現状に一石を投じる作品だ。ちなみにタイトルの“Spree”とは“やりたい放題”という意味。さらに“Spree Driver”とは酔っ払い運転のこと。まったく、そんな名前の配車アプリ誰が使うというのか!

#皮肉の効いた配役にニヤリ

主人公カートを演じているのはジョー・キーリー。『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シリーズ(2016年~)では、意地悪なジョックスから頼れる兄貴分へと成長を遂げる役柄だったが、本作ではアホな兄ちゃんに逆戻り。だが、ほとんど自棄っぱちとも思える芝居は注目に値する。

『スプリー』© 2020 Spree Film Holdings, LLC. All Rights Reserved.

また、パリピ役に人気YouTuberフランキー・グランデ(アリアナ・グランデの兄貴)&ミーシャ・バートン、また物語の要となるカートが憧れているインフルエンサー役に実在の人気YouTuberジョシュ・オバージェを起用。ソーシャルメディア批判のためにソーシャルメディアで活躍する人々を起用するというのは、なんともピリッと嫌みの効いた配役だ。もちろん、本作の宣伝でソーシャルメディアに大活躍してもらうことになる。本当に皮肉な話だ。

『スプリー』© 2020 Spree Film Holdings, LLC. All Rights Reserved.

文:氏家譲寿(ナマニク)

『スプリー』は2021年4月23日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

Share On
  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

『スプリー』

フォロワーを増やしたい一心のライドシェアドライバー、カート・カンクル(ジョー・キーリー)はSNSをバズらせて人生の一発逆転を狙うために、乗客を手にかけ、その様子をライブストリーミング配信するという恐ろしいアイデアを思いつく。

絶対バズると意気込むカートだったが、「フェイクだ」「退屈だ」というネガティブな反応ばかりで全く盛り上がらない。怒りの矛先は乗客だけでなく、拡散させないインフルエンサーにまで向けられ狂気は加速していく……。

暴走するカートに立ち向かうコメディアンを「サタデー・ナイト・ライブ」のサシーア・ザメイタが演じるほか、デヴィッド・アークエット、ミーシャ・バートン、ララ・ケント、アリアナ・グランデの兄でシンガー・ダンサー・パーソナリティなど幅広く活躍するフランキー・グランデら実力派から個性派まで幅広いキャストが顔をそろえる。

制作年: 2020
監督:
出演:
  • BANGER!!!
  • 映画
  • バズるために“殺人生配信”⁉『ストレンジャー・シングス』のスティーブが殺人鬼に!!『スプリー』は狂気の“配車アプリ”スリラー