驚異の4時間超え! ファン待望の『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』は監督が“やりたいこと全部”ぶち込んだ超大作!!

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ライター:傭兵ペンギン
驚異の4時間超え! ファン待望の『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』は監督が“やりたいこと全部”ぶち込んだ超大作!!
『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』
2021年 初夏 デジタル配信&ブルーレイリリース
(c)2021 Warner Media Direct, LLC All rights reserved.
HBO MAX(R) is used under license.

観たぞ!『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』

ついに日本でも2021年初夏にブルーレイ発売とデジタル配信が決まった『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』。本国で開催されたオンライン・プレミアでひと足お先に鑑賞させていただいたのだが、これがなんとまぁ……すごい映画だった。

今作は2017年に公開された映画『ジャスティス・リーグ』の、いわゆるディレクターズ・カット版。2017年の公開版ではカットされたシーンに加え再撮影まで行い、本来120分だった映画を242分というとんでもない長さにして、監督が本当にやりたかったことを全力でやりきったというものだ。

様々なバージョンが存在し、完全版の後にディレクターズ・カット版が二度も出ている『ブレードランナー』(1982年)や、何度も何度も手が加えられディズニープラスでの配信の際ですら新たなセリフが加えられた『スター・ウォーズ』(1977年)の「特別編」などを思い起こさせるが、それらと比べても大規模な変更が加えられている。

しかし、その4時間もの長さの本編もすごいのだが、なんといっても今作がすごいのは、ファンの熱い要望によって生まれたものだというところ。何なら映画本編以上に、映画の歴史に残ることをやってのけた作品なのかも。といったわけで、まずはこの映画が改めて作られるようになった経緯を簡単に振り返っておこう。

まさに紆余曲折! ファンの声で作られた完全版

ザック・スナイダー監督の『マン・オブ・スティール』(2013年)、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016年)の続編として制作された映画『ジャスティス・リーグ』。DCコミックス原作の映画群「DCエクステンデッド・ユニバース」の軸であり、スナイダー監督の前2作の集大成的な作品としてファンからは大きな期待を集めていた。

そして2016年には撮影が終わったものの、翌2017年の5月に追加撮影の途中で急遽スナイダー監督とその妻でプロデューサーのデボラ・スナイダーが、家族の不幸により降板。そこで、残りの追加撮影と編集などのポストプロダクションを『アベンジャーズ』シリーズ(2012年~)で知られるジョス・ウェドン監督が引き継ぎ、劇場公開に至ったのだった。その映画は、スナイダー監督の前作『バットマン vs スーパーマン』に比べると良い評価を得たものの、映画の興行成績としては若干赤字だったと捉えられている。

その内容は、スナイダー監督の前2作に比べると明るくコミカルなシーンが多く、明らかにジョス・ウェドン監督の他作品のような、もっと言ってしまえばマーベルの映画に寄ったような雰囲気が感じられるものだった。

個人的にはその『ジャスティス・リーグ』も楽しめたのだが、スナイダー監督の過去作品のファンの中にはその出来に満足ができなかったという人も多く、公開直後からスナイダー監督が本来撮ろうとしていたはずの「スナイダーカット(スナイダー版)」の公開を求める動きが始まり、ソーシャルメディアで「#ReleaseTheSnyderCut」というハッシュタグと共に、署名運動へと発展した。

この運動が凄まじいのは、そもそもファンは「スナイダー版」と呼べるようなものが実際に存在するかはわかっていなかったはずなのに、18万もの署名を集めたところだ。ただ、『バットマン vs スーパーマン』ではソフト版で発売された「アルティメット・エディション」が存在し、30分以上の映像が追加され、再編集されたことがわかりやすくなっており高評価だったため、過去の例からの期待もあったのだと思われる。

このファンの運動は『ジャスティス・リーグ』の関係者だけではなく、他の映画やコミック関係者の目にもとまり支持を集めつつ、さらにクラウドファンディングを行って「スナイダーカット」の公開を求める広告を出しながら、さらに全米自殺予防財団への200万ドルの寄付を行うまでに発展した。

ただ、この「スナイダーカット」に対して批判的な発言をSNS上でした人物を攻撃する有害なファンも多く現れてしまった。その対象は今作への批判だけにとどまらず、例えばコミックの編集者であるヘザー・アントスはスナイダー監督の次回作に対してのジョークをTwitterで投稿したところ、脅迫のコメントを受けたとNBCの記事の中で語っている。

若干時系列が前後してしまうが、2019年3月に「スナイダーカット」のフィルムが存在することをスナイダー監督自らがSNS上で明らかにし、当初は1本の映画ではなく別の形でリリースされるかと思われていたが、2020年に入ってから『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』の制作が開始。そして、このコロナ禍において再撮影などを行いながら完成し、劇場公開ではなくワーナー系列の配信サービスHBO Max(ないしはその系列サービス)での配信となった。

結果的に「スナイダーカット」はどんな作品になったのか?

仕上がった映画は、とにかくザック・スナイダー監督味マシマシで、なんでもかんでも山盛りの映画となっていた。スナイダー監督の、色彩の抑えられた画面で繰り広げられるド派手でスローモーション多めのアクションというビジュアル面でのスタイルが好きなら、たまらないものがあるだろう。コーヒー屋から出てくるシーンにすら若干のスローモーションがかかるというこだわりっぷり。本当にスナイダー監督が好きなようにやっているのがよくわかる。

特に、ダークサイドの軍勢と地球の神々/超人たちの過去のバトルのシーンはザック・スナイダー監督の得意な要素が満載で、もはやこれを単独の映画にしてくれないかと思ったほど。また、フラッシュやサイボーグといった今作で実質的には初登場となるキャラクターの紹介と掘り下げが時間をかけて行われており、彼らの活躍がもっと見たかったというファンには満足できるものとなっているだろう。

特に、サイボーグはほとんど主人公のような扱いで、ヒーローチーム「ジャスティス・リーグ」と悲劇のヒーロー「サイボーグ」が誕生するストーリーの、二本立て映画を見ているような雰囲気さえ感じられる。そして結果として、全体のストーリーがわかりやすくなったとも感じられる。

キャラクターの面でいえば、劇場公開版ではほとんどキャラクター像がわからなかったヴィラン、ステッペンウルフの行動の動機もより明確に語られ、彼が仕える悪の親玉ダークサイドが、スナイダー監督の構想の上ではDCEUのメインの悪役であることがわかるようになっている。

このダークサイドは、マーベルでも様々なキャラクターを生み出した伝説的クリエイターであるジャック・カービーが1970年代に生み出した宇宙のヒーローチーム「フォーエバー・ピープル」の敵として登場させたキャラクター。地球が存在する宇宙のみならず、あらゆる多元宇宙の征服を目論む悪の神であり、知的生命体の意志を支配できる「反生命方程式」を探求しているという、DCコミックス最強にして最悪のヴィランの一人だ。

MCUで言えば『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年)に登場する前のサノスくらいの扱いで、あくまで顔見せ程度ではあったが、DCコミックスのファンとしては、ついにその姿が映画に登場するということで盛り上がるポイントとなっている。

これ以上はネタバレになるので言及は避けておくが、とにかくザック・スナイダー監督が(今のところ作られる予定はない)今後の自分の作品で出そうとしていたであろうDCコミックスのキャラクターが続々登場する。ファンの要望によって生まれただけあって、とにかくスナイダー作品のファン、DCコミックスのファンなどに対してのサービスが盛りだくさんの作品だ。

ただ、それがいい事ばかりだったかというと意見も分かれるところだろう。まず、4時間はとにかく長く感じられるはずだ。もちろんファンとしては、いろんなキャラクターの活躍や会話がたくさん見られるのは嬉しいところだが、それにしたって各シーンが長い。主人公たちとその敵のキャラクターがしっかりと描かれることでストーリーがわかりやすくなったのはすごく良いのだが、それは4時間もかければ当たり前なので、ここは編集を頑張ってキャラクターの掘り下げはしつつも、3時間あたりにまとめてくれたほうがよかったかも。もちろんこの辺りは劇場公開ではなく、また映画が章で区切られているので途中で止めて休むのもありかもしれない。

また、ザック・スナイダー節と言ってしまえばそうなのだが、戦いがより派手になった一方でアクションシーンのCGっぽさも増していて、実写映画というよりCGアニメを見ているかのように感じられた(コロナの影響などで大規模な追加撮影が難しかった部分もあるだろう)。

なお、劇場公開版で描かれたヒーローたちが一般市民と絡むいくつかのシーンやコミカルなシーンはほとんど消え去り、かなり暗いトーンになっている。ザック・スナイダー監督のヒーロー観においてスーパーパワーを持つヒーローは神であり、スーパーヒーロー映画は神々の戦い、善と悪の対立を描くものであるということはわかる。しかし、スーパーヒーローが神だとするならば、それでも彼らが常人とともに地上を歩いているということを、もうちょっと面白く描いて欲しかった。

とにかく、今までのザック・スナイダー監督の作品が好きならば楽しめる映画となっているのは確実であり、まさにファンの要望で生まれたファンのための作品なのだ。

ファンが起こした現象としても要チェックな作品

こうしてファンの要望に答える形で、映画が作り直されるというのは本当に興味深いことであり、映画史に残ることであり、今後の映画というものに影響を与えるかもしれない。

実際、この「スナイダーカット」がHBO Max等で大きく成功を収めた場合、ワーナーや他の配給会社が似たようなことを別の作品でするかもしれない。実際、ファンが様々な映画の別バージョンのリリースを求める動きは起こっている。もしかすると、これが一大ブームとなるかもしれない。それが面白いものになるかどうかはケース・バイ・ケースだろうが、とにかく興味深いことにはなることだろう。

また、映画としては続編がありそうな作りにはなっており、監督も三部作の構想を明らかにはしているものの、今のところザック・スナイダー監督のDC映画は一旦これで終わりとなっている。だが、それもまたファンの声次第なのかもしれない。何にせよ、これからどうなるかも含め注目しておいて欲しいし、ファンにはぜひ一度見てもらいたい作品だ。

文:傭兵ペンギン

『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』は2021年初夏、デジタル配信&ブルーレイリリース

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『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』

2017年に公開され、全米NO.1大ヒットを記録した『ジャスティス・リーグ』の製作中に降板したザック・スナイダー監督が、初期構想に基づき追加撮影・再編集の上で製作。ジャレッド・レト演じるジョーカーの登場シーンが追加されるなど、約4時間の超大作に仕上がっている。

制作年: 2021
監督:
出演:
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