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松坂桃李、仕掛け人・仲野太賀の“トラップ”にドキドキ!?『あの頃。』が描くハロヲタ青春物語の撮影舞台裏を語る

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ライター:#SYO
松坂桃李、仕掛け人・仲野太賀の“トラップ”にドキドキ!?『あの頃。』が描くハロヲタ青春物語の撮影舞台裏を語る
(左)仲野太賀(右)松坂桃李 『あの頃。』

松坂桃李&仲野太賀、ハロヲタ憑依演技で魅せる

“推し”に出会って、“仲間”ができた――。「ハロー!プロジェクト」に熱狂するアイドルファンたちの姿を描いた『あの頃。』が、2021年2月19日(金)より劇場公開。劔樹人(つるぎ みきと)の自伝的コミックエッセイ「あの頃。男子かしまし物語」を実写映画化した本作のメガホンをとるのは、『愛がなんだ』(2018年)の今泉力哉監督。脚本を『南瓜とマヨネーズ』(2017年)の冨永昌敬が手掛ける。

『あの頃。』©2020「あの頃。」製作委員会

大学院受験に失敗し、バイトで疲弊し、バンド活動も上手くいかない劔(松坂桃李)。毎日に活力を見出せなかった彼は、松浦亜弥の「♡桃色片想い♡」のミュージックビデオを観たことで、一気に<ハロー!プロジェクト>のファンに。コズミン(仲野太賀)、ロビ(山中祟)、西野(若葉竜也)、ナカウチ(芹澤興人)、イトウ(コカドケンタロウ)といった仲間たちと出会い、青春を謳歌していく。

今回は、本作で実にチャーミングな演技を披露している人気実力派ツートップ、松坂桃李仲野太賀の対談インタビューをお届けする。気心の知れたふたりが、『あの頃。』の舞台裏や、「コメディの難しさ」をざっくばらんに語ってくれた。

(左)仲野太賀(右)松坂桃李 『あの頃。』

お互い“役へのアプローチ方法”は見せない

―おふたりは共演も多いですが、お互いの役作りなどについては、普段あまりお話されないそうですね。

仲野:桃李くんには、役へのアプローチを絶対に見せない美学がありますからね。

松坂:いやぁ、単純に恥ずかしいんですよ(笑)。

仲野:確かに、自分も人に見せられるものじゃないかもしれません(苦笑)。

『あの頃。』©2020「あの頃。」製作委員会

松坂:でも、太賀がどうやって役作りをしているのかは本当に知りたい(笑)。

仲野:いや、俺もそうですよ! どうやって脚本を読んでるんだろうとか、全体をどう捉えたうえでこの役を組み立ててるんだろう、とか……。でもきっと、アプローチは違う気がするんですよね。

松坂:そうかもしれないね。

仲野:役者同士で「この人とはアプローチが似てるな」と思う人って、やっぱりいるんですよ。技術的な部分もそうだけど、精神的な面でも。桃李くんとは異なっているからこそ、ずっと気になっています(笑)。

松坂桃李 『あの頃。』

アクシデントをライブ感に変える今泉監督の現場

―『あの頃。』は今泉監督らしい、役者の自主性に任せた空気感が絶妙でした。あの“間(ま)”やおかしみは、どのようにして生まれたのでしょう?

松坂:基本的にはそこまで指示が細かくなく、スムーズにできましたね。あとは、ときどき面白いサプライズが起こりました。例えば、劔があやや(松浦亜弥)の握手会に当選したシーンで、コズミンが封筒を破ったら、中の当選通知も破れていますよね。あれ、実はアクシデントなんです(笑)。

仲野:勢いをつけすぎちゃいました(苦笑)。

松坂:今泉監督も止めることなく長回しを続けていて(笑)。そういった絶妙なライブ感が、あの空気感を作ったのかもしれません。

『あの頃。』©2020「あの頃。」製作委員会

―最初に脚本を読んだ際の印象は、いかがでしたか?

松坂:“真ん中”を行かない感じで、ちょっと屈折していて、でもちゃんと愛情が伝わる男同士の関係性がすごく心地よかったですね。できあがったものを映像で観ていても、そう感じました。みんなでののしり合ったり、毛嫌いしたりという瞬間はあれど仲いいよな、と思えるような、日常生活でよく見る光景をすごくナチュラルに描いています。無理せず、背伸びもせず、という感じがよかったですね。

仲野:確かに、肩ひじを張っていないですよね。冨永(昌敬)さんならではの「真ん中じゃない、端っこで繰り広げられるわちゃわちゃ感」があって、でもその中で起こるドラマにはちゃんと普遍性があって……。脚本自体も面白かったですし、今泉監督が冨永さんをすごくリスペクトされているのが、現場でも伝わってきました。脚本を尊重したうえで、演出で拡張していく過程が気持ちよかったですね。

仲野太賀 『あの頃。』

人を泣かせるより、笑わせるほうが難しい

―本作はクスッと笑えるシーンも多いですが、おふたりにとって「笑える」「笑わせる」演技は、いかがですか? やりやすいのか、苦労するのか……。

松坂:台本の時点で笑っちゃうと、現場で緊張しますね。読んでいて面白いのが、演じるときは一番大変なんですよ(苦笑)。

仲野:わかります。スタッフさんも「ここは面白いシーンだもんね」というテンションで見てくるんですよ。それで段取りを観たときとかに、「あれ、そうでもない……?」って空気になっちゃったときはもう……きっつい(苦笑)。

松坂:プレッシャーがね。「これはもう、読んでもらったほうが早いわ」って思う(笑)。

仲野:確かに!(笑)

『あの頃。』©2020「あの頃。」製作委員会

―観ている側としては「自然体で素晴らしいな」と思っていましたが、演じる側からすると緊張感があったのですね。

仲野:ありましたね。コメディシーンを撮るときは、張り詰めたものがあります。

松坂:人を泣かせるよりも、笑わせるほうが難しい。芸人さんってすごいなと思います。

松坂桃李 『あの頃。』

―今回は対話シーンも多いため、相手がどう仕掛けてくるかが見えない部分もありますよね。

松坂:いやぁ、本当に。太賀が、段取りで急に関係性を変えてきてびっくりしました。

仲野:(笑)。

松坂:本番に行くまでのストロークの中で、今泉監督ともセッションしながら作っていったのですが、太賀が色々な引き出しを出してくるんです(笑)。何が来るかわからないから、緊張感もあるし鮮度が保たれていましたね。ある意味、そこでみんなでの一体感が生まれたところもありました。他の人はどういう感じで来るんだろう? というドキドキ感というか。そこが面白いところでもありましたね。

『あの頃。』©2020「あの頃。」製作委員会

―“仕掛ける”側として、仲野さんはいかがでしたか?

仲野:楽しかったです(笑)。自由度もすごくありましたし、こっちが仕掛けていくと見せかけて裏で若葉(竜也)くんが仕掛けたり、さらにその奥で芹澤(興人)さんが仕掛けていたり……桃李くんからしたら、色々なところにトラップが仕掛けてある感じだったと思います(笑)。

松坂:今回は受ける側だったから、同じ画角の中にみんなが収まって色々と仕掛けてきて、僕の中で情報が渋滞していました(笑)。

(左)仲野太賀(右)松坂桃李 『あの頃。』

取材・文:SYO

撮影:町田千秋

『あの頃。』は2021年2月19日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか公開

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『あの頃。』

バイトに明け暮れ、好きで始めたはずのバンド活動もままならず、楽しいことなどなにひとつなく、うだつの上がらない日々を送っていた劔(つるぎ)。そんな様子を心配した友人・佐伯から「これ見て元気出しや」とDVDを渡される。何気なく再生すると、そこに映し出されたのは「♡桃色片想い♡」を歌って踊るアイドル・松浦亜弥の姿だった。思わず画面に釘付けになり、テレビのボリュームを上げる劔。弾けるような笑顔、くるくると変わる表情や可愛らしいダンス……圧倒的なアイドルとしての輝きに、自然と涙が溢れてくる。すぐさま家を飛び出し向かったCDショップで、ハロー!プロジェクトに彩られたコーナーを劔が物色していると、店員のナカウチが声を掛けてきた。ナカウチに手渡されたイベント告知のチラシが、劔の人生を大きく変えていく――。

ライブホール「白鯨」で行われているイベントに参加した劔。そこでハロプロの魅力やそれぞれの推しメンを語っていたのは、プライドが高くてひねくれ者のコズミン、石川梨華推しでリーダー格のロビ、痛車や自分でヲタグッズを制作する西野、ハロプロ全般を推しているイトウ、そして、CDショップ店員で劔に声を掛けてくれたナカウチら個性豊かな「ハロプロあべの支部」の面々たち。劔がイベントチラシのお礼をナカウチに伝えていると、「お兄さん、あやや推しちゃう?」とロビが声を掛けてくる。その場の流れでイベントの打ち上げに参加することになった劔は、ハロプロを愛してやまない彼らとの親睦を深め、仲間に加わることに――。

夜な夜なイトウの部屋に集まっては、ライブDVDを鑑賞したり、自分たちの推しについて語り合ったり、ハロプロの啓蒙活動という名目で大学の学園祭に参加するなど、ハロプロに全てを捧げていく。西野の知り合いで、藤本美貴推しのアールも加わり、劔たちはノリで“恋愛研究会。”というバンドを組む。「白鯨」でのトークイベントで、全員お揃いのキャップとT シャツ姿でモーニング娘。の「恋ING」を大熱唱。彼らは遅れてきた青春の日々を謳歌していた。

ハロプロ愛に溢れたメンバーとのくだらなくも愛おしい時間がずっと続くと思っていたが、それぞれの人生の中で少しずつハロプロとおなじくらい大切なものを見つけていく。そして、別々の人生を歩みはじめ、次第に離ればなれに――。

制作年: 2020
監督:
出演: