世界中で高い評価を得たゾンビパニック映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016年)から、前日譚的アニメ『ソウル・ステーション/パンデミック』(2016年)を経て、待望のシリーズ最新作『新感染半島 ファイナル・ステージ』が2021年1月1日(金)より、ついに日本公開!
過去作を遥かに上回るスケールで描かれるこの最凶ウイルス終末映画は、いかにして生まれたのか? 韓国映画界の新鋭ヨン・サンホ監督が、続編制作のきっかけや影響を受けた作品、コロナ禍の製作状況について語ってくれた。
「希望のない人間こそがゾンビ」
―続編としてのアイデアはどこから生まれたのでしょうか?
前作『新感染 ファイナル・エクスプレス』を製作するときに、ロケーションで色々なところを回りました。そこで廃家を見たときに、世界観としてアイデアを思いついたんです。製作会社に話したところ「ぜひやってみよう」ということになって、『サイコキネシス -念力-』(2018年)という作品の公開後に企画を立ち上げました。
―本作は感染者よりも人間同士の対決に比重が置かれていますが、そこに込めた意図はなんでしょうか?
『ファイナル・エクスプレス』で描かれたのはアポカリプスの初期段階でした。でも本作の舞台は、感染爆発が半島を襲ってから4年後の世界。なので、ゾンビも変種のゾンビになっていると考えたわけです。希望のない人間こそがゾンビだと思い、このような構図になりました。
「特に参考にした作品の一つに大友克洋さんの『AKIRA』があります」
―本作を作る上で影響を受けた作品はありますか?
色々な作品がありますが、特に参考にした作品の一つに大友克洋さんの「AKIRA」があります。アニメではなく、漫画の方です。漫画の方ではポスト・アポカリプスを背景とした「ネオ・トウキョウ」にアメリカの特殊部隊が潜入してくるエピソードがあるんですが、そういったところを今回の作品に取り入れていますね。
―『新感染』三部作がどれも手触りの異なる作風になっているのはなぜでしょうか。
『ソウル・ステーション/パンデミック』は、寓話的で残忍なブラックコメディを作ろうという気持ちで取り掛かりました。『ファイナル・エクスプレス』はそれとはまったく違うものを作ろうと考え、結果的にこの二つの作品はカラーも規模も異なる作品となり、周囲からとても驚かれました。今回も続編と言えど、まったく異なる作品に仕上げようと思ったんです。結果的に独特なシリーズになり、個人的にも満足しています。
「本作は“孤立した絶望的な世界の中で、どんな希望を見つけられるか”がテーマ」
―現在のコロナ禍の状況について監督はどうお考えでしょうか?
この作品を作っているときは、まさか世界がこのような状況になるとは思っていませんでした。本作のテーマは「孤立した、絶望的な世界の中で、どんな希望を見つけられるか」です。そう考えると、今の時代に適したテーマなのではないかと思います。クリエイターとしては幸運と言えるかもしれません。
―今後の活動予定について教えて下さい。
まず、私が去年シナリオを書いたドラマ「謗法~運命を変える方法~」の続編の台本を書いています。そちらは、このドラマを演出されたキム・ヨンワン監督が撮る予定です。私自身はNetflixが企画している、韓国タイトルだと『地獄』、英題は『Hellbound』という作品があるんですが、この撮影に入っています。2021年の下半期にNetflixオリジナル作品として、おそらく皆さんに観ていただけると思います。
『新感染半島 ファイナル・ステージ』は2021年1月1日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
『新感染半島 ファイナル・ステージ』
パンデミックが半島を襲ってから4年後。香港に逃げ延びていた元軍人のジョンソクは、ある任務を遂行するために半島に戻ってくる。任務とは、チームを組み3日以内に大金が積まれたトラックを回収して半島を脱出すること。チームはウイルスにより凶暴化した人間たちから逃れ、順調にトラックを手に入れるも、突如とし631部隊と呼ばれる民兵集団に襲われてしまう。トラックも奪われ、危機一髪となったジュンソクを救ったのはミンジョン母娘。そして、彼らはともに半島を脱出するために協力することになり……。
制作年: | 2020 |
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監督: | |
出演: |
2021年1月1日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開