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玉袋筋太郎の「フェイバリット悪役」はあの連続殺人犯!? その凶行よりも異常な精力絶倫ぶりにド肝を抜かれる『復讐するは我にあり』

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ライター:#玉袋筋太郎
玉袋筋太郎の「フェイバリット悪役」はあの連続殺人犯!? その凶行よりも異常な精力絶倫ぶりにド肝を抜かれる『復讐するは我にあり』
『あの頃映画 the BEST 松竹ブルーレイ・コレクション 復讐するは我にあり』
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発売・販売元:松竹
価格:Blu-ray ¥3,300+税
© 1979 松竹株式会社・株式会社今村プロダクション

玉袋刑事の捜査線上に浮かび上がってきた男、榎津巌

BANGER!!!編集部から「フェイバリット悪役」原稿を頼むというリクエストがあった。プロレスと一緒で悪役(ヒール)がいるからこそ正義(ベビーフェイス)が成り立つんだから、映画の世界にも強烈な悪役なんてのは星の数ほどいる。だから選んでも選びきれないっていう状態でモヤモヤしていた。映画の中の悪役なのか? それとも悪役が出ている映画なのか?

オレの頭の中では、後者の「悪役が出ている映画」の方が選びやすいんだよな。直近でいえばピエール瀧や伊勢谷友介、伊藤健太郎などなど、実際に逮捕された奴が出ている映画を引っ張ってくればいいんだから。ちなみに伊藤は<犯罪の健太郎業界>における清水健太郎に継ぐ新たなるニュースター誕生の瞬間だったね。逮捕記録を更新している先輩・清水健太郎の記録(逮捕歴8回)を今後、抜けるかどうかに注目である。しかし、とんかつアゲる前に出演者が二人もアガっちゃったんだから笑ってしまった(もう一人の共演者のモラハラ不倫はカウントしないでおこう)。

 

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そんな時、実際の事件でお縄になった犯罪者をモデルにした悪役がパッと思い浮かんだ。それは『復讐するは我にあり』(1979年)の榎津巌だ。思い浮かんだというよりも、俺の捜査線上に浮かび上がってきた悪役が、5人殺しで逃亡生活をしていた「連続殺人マシーン・榎津巌」だったってことか。

改めて説明する必要はないだろうけど、連続殺人マシーン・榎津巌が炸裂する『復讐するは我にあり』の詳しい説明を編集部さんヨロシク!

『復讐するは我にあり』
日本を震撼させた<西口彰事件>を題材にした同名ノンフィクションをベースに、5人を殺害し全国を逃亡した男の生い立ちや女性たちとの情事を描く、今村昌平監督による実録サスペンス。緒形拳が実在の犯人をモデルにした主人公・榎津巌を熱演。

とにかく榎津巌の人並み外れた精力絶倫さに驚いた。専売公社の職員を最初に殺す時に、ハンマーで頭をカチ割ってからの千枚通し攻撃でフィニッシュ。犯行に使われた千枚通しは、榎津と別れたがっていたが最後までしつこく身体を求められていた情婦が、榎津の金玉を刺してやろうと用意していたもの。とにかく女の身体を求め続ける榎津の下半身が千枚通し状態だ! 情婦との行為でフィニッシュを迎えることができず、自分に刺さるかもしれなかったその千枚通しを使って殺人というフィニッシュを迎える榎津、恐るべし。

榎津と関係があった子持ちのストリッパーも榎津の絶倫ぶりを語る。そのストリッパーは1日3ステージで華麗に舞い、戻った楽屋では子守をしている、ただでさえ大変な日々。その上、朝晩と榎津に身体を求められてノイローゼになったことを刑事に証言している。ちなみに楽屋での子守はオレの妄想! そういう現場を実際に観てきてるんだ。榎津級のヒモもいたなぁ~。生板ショーで1日四人のお客としなくちゃいけないフィリピンのストリッパーが「アソコがイタイよ~」と泣いてると、ヒモが「コレでも塗っておけば治る」とオロナイン軟膏をアソコに擦り込んでいるシーンを思い出してしまった。

榎津に引っ掛けられた加津子(倍賞美津子)は、父・鎮雄(三國連太郎)、母・かよ(ミヤコ蝶々)が整えた見合い相手がいるにも関わらず、強引に榎津と結婚させられる。見合い当日に榎津のところに来た加津子は、既に孕まされていた。アントニオ猪木の延髄斬りよりも速い、アントニオ榎津の高速寝技で一本! である。

そんな息子・巌に負けず、父・鎮雄も只者じゃない。刑務所に入って社会不在になっている息子のスキを見て、鎮雄にも惚れちゃってる加津子との混浴シーン。加津子に背中を流されて流し返してからの試合開始。老獪な鎮雄のテクニックに翻弄され、思わず心と身体を許し、鎮雄にバックを取られて乳を揉みしだかれる加津子。そんな鎮雄と加津子の混浴シーンが、1975年に蔵前国技館で猪木をバックドロップで投げた鉄人、ルー・テーズの姿と重なった。結果は猪木が勝つんだけども、鎮雄と加津子が最終的には……ってことになるからたみゃらん。

潜伏先の連れ込み宿でもギッタンバッコン! しかし本当の悪役は……?

大学教授になりすまして浜松の売春宿に潜伏する榎津だったが、相変わらず精力は抜群。そこで出会った女は地元の肉食系の社長の妾で、連れ込み宿を任されている浅野ハル(小川真由美)と、過去に殺人で捕まっていたハルの母親ひさ乃(清川虹子)。この宿で昭和のUber Eatsな若いステッキガール(出張売春婦)を早速、何度も何度も求めてグッタリとさせる榎津。母親のひさ乃は客のプレイを覗く趣味があるが、覗かれても平気の平左の榎津!

そのうちハルとも関係を持つようになった榎津は、ハルを池袋に誘ってラブホでも肉交。その後一緒に文芸坐で映画を見るも、スクリーンいっぱいに映った自分の指名手配の映像を見たハルに気づかれてしまう。しかし、すでに榎津の肉棒の虜となっていたハルは、母親のひさ乃と共に連れ込み宿に榎津を匿う。そんな潜伏生活の中でも2階の部屋では榎津とハルがギッタンバッコン。それでも、ひさ乃は平気。この状況は……過去にあった小川真由美と橋爪功状態! そこには二人のギッタンバッコンを聞いて人間を信じられなくなってしまった小川真由美の娘はいない! やがて二人をも殺害した榎津は、最初のステッキガールに通報されお縄に……。

こうして連続殺人マシーン・榎津巌は死刑が確定。その前に父・鎮雄と最後の面会。親子はキリスト教徒であったが共に破門となり、そして息子は死刑となった。榎津にはアーメンならぬ、ザーメンがお似合いだったのか……。そして最後は榎津の死後、一緒になった父・鎮雄と妻・加津子。この二人の淫らな生活の続編を見たくて仕方なかった(ヘンリー塚本監督で)。

う~ん、榎津巌が一番の悪役だと思ったが、このふたりが一番の悪役だったわ!

文:玉袋筋太郎

『復讐するは我にあり』はAmazon Prime Videoほか配信中

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『復讐するは我にあり』

九州・日豊本線築橋駅近くで、多額の現金が奪われ惨殺された二つの死体が発見された。事件の容疑者として浮かび上がったのは、榎津巌という男である。しかし榎津は警察の追及をあざ笑うかのように、九州から浜松、東京で5人を殺したうえ、史上最大とも言われる重要指名手配の公開捜査をかいくぐって逃亡を続ける。時には大学教授、時には弁護士と称して、殺人、詐欺、己の欲望のままに女に明け暮れる冷血で大胆な榎津。驚くべき犯罪の才能をみせるこの男の行く末とは……。彼をこれほどまでに駆り立てたものはなんだったのか。そして、その生き様が社会に、我々現代人に問いかけるものとは、いったい何なのであろうか。

制作年: 1979
監督:
出演: