2019年ラジー賞発表せまる! 世紀の名優・監督にしてラジー賞の元常連、スタローンの偉業をプレイバック

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ライター:市川力夫
2019年ラジー賞発表せまる! 世紀の名優・監督にしてラジー賞の元常連、スタローンの偉業をプレイバック
『ロッキー4』©2017 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.
1980年の第1回から今年で39回目という、なんとも微妙な伝統をほこるゴールデンラズベリー賞(通称ラジー賞)。毎年米アカデミー賞授賞式の前夜に「最低のアメリカ映画」を決定するわけだが、不名誉にもそんな賞で最多ノミネート&受賞し“ラジー賞のチャンピオン”とも呼ばれているのが、我らが筋肉番長シルヴェスター・スタローンだった……!

スタローンのラジー歴は『クラブ・ラインストーン』から

スタローンがその長く険しいラジーな映画人生を送ることになった第1歩は、84年の『クラブ・ラインストーン/今夜は最高!』。この作品でスタローンは最低主演男優賞を受賞し、最低脚本賞にノミネートされている。

しかし『クラブ・ラインストーン』の中でのスタローンは残酷なほど絶好調だ。だって、あのスタローンが暴れん坊のタクシードライバーで、とある人気カントリー歌手に一目惚れするんですよ。ハートフルコメディですよ。しかもその後、色々あってカントリー歌手を目指しちゃうという大変な暴挙に出てくれるのだった。

ちなみにスタローンのお相手、というか主演をつとめるドリー・パートンは、カントリー・ミュージック界では超大御所。あのテイラー・スウィフトも憧れた人物で、グラミー賞を7回(特別功労賞まで含めると8回)も受賞した立派な人だった。

数々の迷作・珍作で90年代のラジー賞を席巻!

そんな『クラブ・ラインストーン/今夜は最高!』で初めてラジってしまったスタローンだが、なんとその後は95年までノミネートしっぱなしで受賞も多数。受賞作だけ挙げていくと、85年は『ランボー/怒りの脱出』で最低脚本賞、88年に『ランボー3/怒りのアフガン』で最低主演男優賞、89年には「1980年代最低男優賞」という特別賞を受賞し、92年には『刑事ジョー/ママにお手あげ』で最低主演男優賞。94年には最低スクリーンカップル賞を『スペシャリスト』でシャロン・ストーンと共に受賞(ちなみに『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のトム・クルーズとブラッド・ピットも同時受賞)。

そして、ノミネートも受賞もいったん止まるのが97年。というのも、この年はラジー賞的には強敵が揃っていたのだった。なんせ、ケヴィン・コスナーが監督・主演した珍品『ポストマン』、スタローンのライバルであるシュワ大活躍の『バットマン&ロビン/Mr.フリーズの逆襲』、モンスターパニックのド傑作『アナコンダ』、キアヌ抜きの『スピード2』、セガールの『沈黙の断崖』など、映画界にバカが大流行した年。そんな流れに逆らうかのように、この年のスタローン作品といえば演技の幅を見せつけた逸品『コップランド』。だから、ラジー賞なんて受賞するわけがなかったのだった。

『コップランド』のスタローンは体重を増加しまくって気合十分にイメチェン。役どころはそれまでの無骨なイメージとはかけ離れていて、NY市警の警官が多く暮らす町コップランドで働くオッサン保安官。仕事に関してはやる気ゼロで、唯一の楽しみがお家でのレコード鑑賞、という人ごととは思えないダメさ加減。おまけに警官仲間たちの不正は基本スルーで、年下警官たちにも舐められているという残念具合。そんな男が、警官による隠蔽された殺人事件に立ち向かう……。

のちに『17歳のカルテ』(1999年)や『3時10分、決断のとき』(2007年)、『LOGAN/ローガン』(2017年)といった骨太かつ繊細な作品を手掛けるジェームズ・マンゴールドが監督、脚本。スタローン主演とはいえアクション控えめな社会派ドラマで、ダメ中年の成長譚は「何度でも、いつからでも、人生はやり直せる」という寡黙ながらも熱い内容。くわえて、ロバート・デ・ニーロ、レイ・リオッタ、ハーヴェイ・カイテルといった名優たちの共演も盛り、いぶし銀な作品となっている。

というわけで、薄々気づかれているかと思うが、ちゃんと劇場公開されたスタローン主演作品でラジー賞にかすらなかった無傷作品は『コップランド』のみ! あれ!? ウェズリー・スナイプスと組んだ大傑作『デモリションマン』(1993年)は!? と思って調べたら、惜しくも最低助演女優賞にサンドラ・ブロックがノミネートという、かすり傷を負っていた。

世紀を超えて「最低主演男優賞」を獲得! 今後は……?

このように、とにかくスタローン作品に厳しいラジー賞だったのだが、その手を緩めることなく1999年の記念すべき第20回の時には、特別大賞として「20世紀最低主演男優賞」をスタローンにプレゼント。わざわざ「(彼が行ったすべてのことの99.5%に対して)」と注釈を入れているのだが、0.5%はアカデミー賞の主演男優賞と脚本賞にノミネートされた『ロッキー』のことなのだろうか……。

しかし、そんなラジー賞も2015年の『クリード チャンプを継ぐ男』で態度を一転。スタローンが第88回アカデミー賞の助演男優賞にノミネートされたのを受けて、ラジー賞からはラジー賞らしからぬ素直に褒める賞である「名誉挽回賞」が贈られた。

とはいっても、スタローンは今後『大脱出2』、『ランボー5(仮題)』、『エクスペンダブルズ4(仮題)』と、ラジー賞好みの続編作品が控えている。スタローンはこのまま「名誉挽回賞」だけで逃げ切れるのか、はたまたラジー賞に返り咲くのか。……大方の予想通り、攻防はもうちょっと続きそうである。

第39回ゴールデンラズベリー賞の授賞式は現地時間で2019年2月23日(日)に開催。

文:市川力夫

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