菅田将暉×小松菜奈W主演『糸』 平成時代を中島みゆきの名曲で辿る感動作

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ライター:BANGER!!! 編集部
菅田将暉×小松菜奈W主演『糸』 平成時代を中島みゆきの名曲で辿る感動作
『糸』©2020映画『糸』製作委員会

日本中で愛されるあの名曲を映画化

妻夫木聡×長澤まさみの『涙そうそう』(2006年)、生田斗真×新垣結衣の『ハナミズキ』(2010年)、登坂広臣×中条あやみの『雪の華』(2018年)など、今をときめく若手俳優を主演に国民的ヒット曲を映画化するプロジェクトは、これまでも多くの話題を呼んできた。そして2020年、満を持して映画化されるのは、桜井和寿率いるBank Bandや福山雅治など、名だたるアーティスト約120組以上にカバーされてきた、中島みゆきの名曲「糸」だ。

今では定番のウエディングソングとしても知られている、実際に中島みゆきが知人の結婚式のために作詞作曲したナンバーだという。中島本人は「とても素朴な曲」と称する「糸」だが、美しいメロディラインに乗せて人生の巡り合わせの奇跡を歌いあげる非常に詩的な楽曲であり、シンプルな言葉で綴られているからこそストレートに心に響き、多くの人に愛されているのだろう。

そんなメッセージ性の高い曲にインスパイアされた本作は、平成元年生まれの男女が運命的に出会い、別れ、そしてまた巡り合うドラマチックな恋愛模様を、北海道・東京・シンガポールを舞台に壮大なスケールで描いている。

『糸』©2020映画『糸』製作委員会

運命に翻弄され続けた初恋。その結末とは……

北海道で育った高橋漣(菅田将暉)と園田葵(小松菜奈)は、13歳で出会い恋に落ちる。母親の真由美(山口紗弥加)とその恋人から虐待を受けている葵は、ある出来事をきっかけに漣からも引き離されてしまう。離れ離れになった2人は成長し、漣は地元のチーズ工場に就職。職場の先輩・香(榮倉奈々)と次第に仲を深めていく。一方、東京へ移住した葵はキャバクラ嬢として働く中で、投資会社の社長・水島(斎藤工)と恋人関係になる。

21歳の時、友人の結婚式で一度は再会した2人だったが、それぞれの進学・就職、新しいパートナーとの出会いもあり、別々の人生を歩むことを決める。そして2019年、平成の最後に再び再会した2人。さまざまな人たちとの巡り合いや人生の岐路を乗り越えた先に、どんな結末が待っているのか。深い絆で結ばれた初恋の行方が感動のクライマックスを呼ぶ、大恋愛映画に仕上がっている。

『糸』©2020映画『糸』製作委員会

これはきっと、あなたの物語

本作は「リーマンショック」「東日本大震災」「児童虐待」「貧困問題」など、平成を象徴する出来事・社会問題をモチーフとして盛り込み、平成のドキュメント映画のような一面も持っている。漣は夢に挫折し地元で一生を終えることに悩み、葵は虐待や貧困を経験、香は若くして病に伏せる。さらに離婚や震災、破産を経験する登場人物もおり、それぞれが平成時代によく耳にした人生の苦難を体験している。

観客の中にも、平成の30年の間で夢に敗れた人、不況で失業した人、家族を病気で亡くした人、虐待を受けた人、自然災害に苦しんだ人、さまざまな人生を歩んだ人がいるだろう。本作の多彩な登場人物の中には、「この人はまさに自分そのものだ」と思わず感情移入してしまうキャラクターがいるかもしれない。恋愛映画を鑑賞する一方で、登場人物たちの姿を通して自分自身の人生を振り返る……そんな楽しみ方ができるのも本作の大きな魅力のひとつだろう。

『糸』©2020映画『糸』製作委員会

コロナ時代に染み渡る、もう一つの名曲

漣と葵の恋愛模様や人生を、「糸」の世界観になぞらえて描く本作だが、「糸」と同様に劇中で印象的に流れるナンバーが「ファイト!」である。「空と君のあいだに」との両A面シングルとして1994年に発売されたこの曲は、「糸」同様、多くのアーティストたちにカバーされ、CMにも起用されている人気曲だ。

ファイト! 闘う君の唄を闘わない奴等が笑うだろう
ファイト! 冷たい水の中をふるえながらのぼっていけ

うまくいかない人生に打ち拉がれる香や漣たちが、このサビをカラオケバーで度々熱唱するのだが、激動の平成を終え「希望に満ちた時代を」と願い迎えた令和でいま、コロナという新たな受難に苦しんでいる我々にとっては、この曲ほど胸に刺さる歌はないだろう。多くの人がコロナの脅威を前に、もう誰と、何と戦っているのか分からなくなるような毎日を送っているわけだが、とはいえ前向きに頑張らねばならないことは確かなので、「ファイト!」が流れる度、その応援歌に胸が熱くなる人も多いはずだ。中島みゆきという稀代のシンガーソングライターの才能を改めて感じることができる「糸」と「ファイト!」。この2曲を堪能できるだけでも、本作を見る価値はあるといっても過言ではない。

恋愛映画としても、音楽映画としても、そしてドキュメント映画としても秀逸に作られている本作。すだななコンビ(と若者の間では呼ばれているらしい)の抜群のケミストリー、色気ムンムンの斎藤工、役作りのために体重を7キロも落としたという榮倉奈々の役者魂、毒親が似合いすぎる山口紗弥加、無駄遣いだろ! と思わず突っ込みたくなる成田凌&二階堂ふみの脇役っぷりなどなど、役者たちの名演技も満載なので、併せて楽しんでいただきたい。

『糸』はAmazonプライム・ビデオで配信中

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『糸』

平成元年生まれの高橋漣と園田葵。北海道で育った二人は13歳の時に出会い、初めての恋をする。そんなある日、葵が突然姿を消した。養父からの虐待に耐えかねて、町から逃げ出したのだった。真相を知った漣は、必死の思いで葵を探し出し、駆け落ちを決行する。しかし幼い二人の逃避行は行く当てもなく、すぐに警察に保護されてしまう。その後、葵は、母親に連れられて北海道から移ることに。漣は葵を見送ることすらできないまま、二人は遠く引き離された。

それから8年後。地元のチーズ工房で働いていた漣は、友人の結婚式に訪れた東京で、葵との再会を果たす。北海道で生きていくことを決意した漣と、世界中を飛び回って自分を試したい葵。もうすでに二人は、それぞれ別の人生を歩み始めていたのだった。そして10年後、平成最後の年となる2019年。運命は、もう一度だけ、二人をめぐり逢わせようとしていた……。

制作年: 2020
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