サメ映画の次はワニ映画を大特集‼『悪魔のいけにえ』のトビー・フーパー監督による『レプティリア』

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ライター:知的風ハット
サメ映画の次はワニ映画を大特集‼『悪魔のいけにえ』のトビー・フーパー監督による『レプティリア』
photo:Егор Камелев

夏は川にも気をつけろ!「特集:ワニゾーン2020」

このたびCS映画専門チャンネル ムービープラスで「ワニゾーン2020」なるワニ映画特集が2020年8月2日(ワニの日)に催される。これまた酔狂なことだが、そのラインナップ自体は案外手堅く、この手のアニマル・パニック好きならば十二分に満足のいくであろう作品が揃っている。

その中でも、『悪魔のいけにえ』(1974年)で皆さんご存じトビー・フーパー監督がおくるワニ映画として知られているのが『レプティリア』(原題:『CROCODILE』[2000年])だ。映画制作スタジオ<NU IMAGE>によるオリジナルビデオ作品ということで、規模相応にチープな面は否めないものの、コレが意外と面白い。というわけで今回は、このゴキゲンなノリのワニ映画について簡単に解説していこう。

『レプティリア』2020年8月ほかCS映画専門チャンネル ムービープラスにて放送 ©2000 Dragon Productions,AVV All rights reserved

どんな惨劇が起こっても心が傷まない? 主人公は頭の弱いパリピ学生たち

ブレイディとクレアのカップルは大勢の学友と共に、美しい湖へとキャンプに訪れる。酒と女に浮かれ騒ぎつつ、楽しいひとときを過ごす面々。だが、仲間の一人がふと岸辺で見つけたクロコダイルの卵に、ちょっとしたイタズラを仕掛けてから状況が一変。実は湖の奥深くでひっそりと暮らしていたエジプト産クロコダイルが、人類に我が子を弄ばれたことで大激怒。ブレイディとクレアを含む、学生一同を敵とみなして襲撃する。

地元では伝説として語り継がれている“湖の主”を相手に、果たして二人は生き残ることができるのだろうか……というのが本作の概要である。

『レプティリア』2020年8月ほかCS映画専門チャンネル ムービープラスにて放送 ©2000 Dragon Productions,AVV All rights reserved

ここでひとつ、本作の主な登場人物を何人か紹介しておこう。まずは主人公のブレイディ。なかなか男らしい面構えと筋肉質な身体を持ち、有事の際の判断力にも優れたナイスガイだ。低予算パニック映画の主人公に相応しいスペックの持ち主だが、その一方、彼は過去の浮気が発覚して物語中盤からヒロインと対立したり、本編前にはテスト中のカンニング行為によって重い処分を受けていたりと、あえて言うならロックな一面も兼ね備えている。一応、前者については「一度きりの過ちで、今は反省している」、後者については「とある事情によって、不本意ながら他人からカンニングペーパーを寄越されてしまった」という情状酌量の余地はあるが。

そのブレイディの恋人が、ヒロインのクレア。彼女は登場人物の中でも特に常識的な人物で、これといった落ち度もない反面、それゆえにクロコダイルとの攻防において、そう印象に残るような活躍は少ない。また、肝心なときに限って棒立ちで「ただ見ているだけ」の状態に陥っていたりもするが、まあタフで魅力的な女性であることは確かだ。

『レプティリア』2020年8月ほかCS映画専門チャンネル ムービープラスにて放送 ©2000 Dragon Productions,AVV All rights reserved

コメディリリーフを務めるのは、グループで一番のお調子者であるダンカン。トラブルメーカーで、まるで子ども向けホビーアニメの主人公のような髪色が特徴の彼は、その軽率な言動でたびたび周囲の人間をイラつかせる。だが、クライマックスでは心なしか主人公やヒロインより目立っている……。少なくとも見せ場にインパクトがあるので、序盤から彼の一挙手一投足には目を光らせておこう。

もう一人、サニーというキャラクターについても触れておきたい。彼女は、いわゆる“少しばかり頭が弱く、誰にでも股を開きがちな、その、要はビッチ”ポジションのキャラクターだ。ただしこのサニー、貞操観念こそゆるゆるで性に奔放なものの、主人公に対しては心から好意を抱いており、酒の勢いでうっかり過ちを犯してしまった際には後日きっちり謝罪するなど、妙に健気なところがあるから憎めない。

『レプティリア』2020年8月ほかCS映画専門チャンネル ムービープラスにて放送 ©2000 Dragon Productions,AVV All rights reserved

大自然の前では人類など無力! 別け隔てなくワニの餌と化していく登場人物たち

そのほか、本作にはさも「自分、重要な役割を持ってます」的なキャラクターが意味ありげに何人か現れるが、そのほとんどは「そう大した活躍もないまま雑に食べられてあっさり死ぬ」ので、そこはそういう芸だとして受け止めよう。

そういった癖の強いキャラクターが織り成すドタバタ劇こそ、本作の真骨頂だろう。明らかに知性の足りない学生同士の、コレはもう完全に「怪物に頭から喰われる前振りとしか思えない」間の抜けた掛け合いが、思いのほか楽しいのだ。そのため、目玉のワニの出番が少ない序盤も割と退屈せず見ていられるのは本作の強みだろう。

『レプティリア』2020年8月ほかCS映画専門チャンネル ムービープラスにて放送 ©2000 Dragon Productions,AVV All rights reserved

そして、その頭の悪い若者の御一行様は、本編の中頃から一人、また一人、続けて二人と加速度的にワニの餌と化していく。それどころか、“かねてよりワニとの因縁を持つ男”や“こっそりワニに餌を与えている黒幕めいた言動の男”といった一見キーパーソン風のキャラクターまでもが、大したドラマも展開せず全員平等に端役扱いでバクバク食われていく。このあまりに無慈悲な登場人物の使い捨て方は、「大自然の驚異の前には、我々人類なんて取るに足りないモノだ」という事実を改めて視聴者に知らしめてくれる。

ワニの出来栄えについては流石にハリボテ感に溢れているが、序盤の“羽目を外した若者の一人が、ワニに一口で食い殺されるシーン”の勢いは素晴らしい。

『レプティリア』2020年8月ほかCS映画専門チャンネル ムービープラスにて放送 ©2000 Dragon Productions,AVV All rights reserved

物語の本筋は、概ねこの手のアニマル・パニックの王道に沿った形で進む。しかしながら、全体的にテンポは悪くなく、ラストには少しばかり捻りを効かせており、何より俗に言う“B級映画”的展開を良い意味でそのまま繰り広げている本作は、「実にカウチとビールが似合う」一本だ。

B級だけじゃない!「特集:ワニゾーン2020」ではガチのワニ映画も放送

あれこれと細かい粗を大真面目に取り上げていけば、きりのない作品ではある。とはいえ、同時に“大味ゆえの魅力”“しち面倒な理屈を抜きにした心地良さ”というものも、本作には存在する。このジャンクフードめいた楽しさを、あなたにもぜひ一度お試し頂きたい。

ちなみに件の「特集:ワニゾーン2020」では、本作とは別に『マンイーター』(2007年)というワニ映画の放送も予定している。もしあなたが「いや、自分はもう少しシリアスな路線のワニ映画が好みなんだ」と思ったなら、老婆心ながらそちらの方をオススメしておきたい。『マンイーター』はガチだ。

『マンイーター』
Blu-ray&DVD発売中
発売・販売元:ポニーキャニオン
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文:知的風ハット

「特集:ワニゾーン2020」はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2020年8月放送

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