• BANGER!!! トップ
  • >
  • 映画
  • >
  • スパイなのに色気むんむん目立ちすぎ! やっぱりボンドは初代ショーン・コネリーが最高!『007』シリーズ

スパイなのに色気むんむん目立ちすぎ! やっぱりボンドは初代ショーン・コネリーが最高!『007』シリーズ

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook
ライター:#佐藤久理子
スパイなのに色気むんむん目立ちすぎ! やっぱりボンドは初代ショーン・コネリーが最高!『007』シリーズ
UNITED ARTISTS / Allstar Picture Library / Zeta Image

『007』シリーズを語る切り口は山ほどある。なんせ半世紀も続く人気フランチャイズだ。主演俳優が変わっても、興行的に失敗しても、そのたびごとにサバイブしてきた。結局みんな、それだけボンドが好きということだろう。だから10人いれば10人違う意見があり、それがまたこのシリーズを観る上での楽しみにもなっている。というわけで、ここでは勝手に筆者の琴線に触れるテーマを連載させて頂くことにする。

世を忍ぶスパイなのにフェロモンむんむん、目立ちすぎ!

第一回は、初代ボンド、ショーン・コネリーが定着させた“プレイボーイ像”について。そもそも原作では、ジェームズ・ボンドはどちらかというと地味で堅実なエージェントだ。エージェントなのだからむろん派手ではまずいし、黙っていても女が寄ってくるようなフェロモンむんむんでは、目立ちすぎるのは頷ける。だが、そんなリアル路線を無視して強力なキャラクターを作りあげたのが、コネリーの快挙でもある。男らしく、逞しく、けれどユーモアがあって女性の扱いも心得ている。正統的ハンサムではないのに、そこにいるだけで女性が群がる。

原作者のイアン・フレミングは当初、スコットランド人で英国紳士然としていないコネリーに不服だったらしいが、一作目の『007/ドクター・ノオ』(1962年)を観て態度を改めたという。結局コネリーは『007は二度死ぬ』(1967年)まで5作続投。その後『女王陛下の007』(1969年)でジョージ・レーゼンビーにバトンタッチするも、評判が悪かったため、プロデューサーのたっての希望で『ダイヤモンドは永遠に』(1971年)にカムバックしたほど。堅物なレーゼンビーの方が原作のイメージに近いものの、もはやコネリー版ボンドの印象が付いてしまったがゆえに不利だった。

コネリー・ボンドは愛嬌たっぷり! 美女とのユーモラスな絡みで検閲もパス!?

ボンドガールもコネリー時代は、典型的なグラマラス美女が多い。とくに初代のウルスラ・アンドレスは、いまも最高のボンドガールと評する人が少なくない。実際、白いビキニ姿で海から上がってくる彼女のシーンは、その完璧なプロポーションとともに鮮烈な印象を残し、ボンドガールの存在を決定づけた。彼女の功績により、ボンドガールがシリーズ化されたと言っても過言ではあるまい。

アンドレスに続くダニエラ・ビアンキ(『007/ロシアより愛をこめて』[1963年])とオナー・ブラックマン(『007/ゴールドフィンガー』[1964年])も、ともにブロンド、グラマラスな大人の女性。これはいかにも時代を反映した美女のカテゴリーだ。これが4作目、『007/サンダーボール作戦』(1965年)になると、フランス人のクローディーヌ・オージェが抜擢され、もう少しコケットな雰囲気がある。そして日本が舞台の『007は二度死ぬ』(1967年)は、若林映子と浜美枝がボンドガールに扮し、一転初々しい魅力を発揮している。時代性ゆえ、今観るとかなり素っ頓狂な場面もあるが、浴衣姿や庭師姿を披露するコネリーの愛嬌に免じて許したくなる。

もちろんアクションシーンでもコネリーは完璧だが、美女たちとの絡みとなると、映画にユーモラスなB級的な匂いがもたらされるのが面白い。これは初期3作品を監督したテレンス・ヤングの功績だ。『ドクター・ノオ』について彼は、「セックス、ヴァイオレンスの要素が多いこの映画は、シリアスに撮ったら不快なものになるか、検閲をパスしないだろう」と語り、ユーモアを注入した。結果、独特のボンド・カラーが出来あがったというわけ。

これはガイ・ハミルトン監督の『ゴールドフィンガー』も同様で、シャーリー・イートン扮するボンドガールが体中に金粉を塗られてベッドで死んでいる場面など、エロスと衝撃が交ざり合い、一度観たら忘れられない光景である。

あの名シーンが蘇る! コッテリ主題歌も人気絶大のコネリー版『007』

主題歌もコネリー時代は人気が高い。まず大抵のランキングでボンドソングのベスト5に入るのが、シャーリー・バッシーの「ゴールドフィンガー」だ(筆者的にはベスト1)。バッシーの艶やかな低音で「ゴ~ルドフィンガ~♪」と始まると、なにやらもうそれだけで怪しくぞくぞくしてくる。金粉ボンドガールと相まって、この作品の雰囲気にぴったり。バッシーはこれで当てて、その後も「ダイヤモンドは永遠に」「ムーンレイカー」と、なんと3度も主題歌を担当している。

選には漏れがちだが、いかにもこの時代らしい切ないラブソングである、マット・モンローが歌う「ロシアより愛をこめて」や、ジョン・バリーが日本を意識してオリエンタル調のアレンジを取り入れた、ナンシー・シナトラの「007は二度死ぬ」、そしてトム・ジョーンズが朗々と歌い上げる「サンダーボール」も秀逸。まさに主題歌までも作風に合った名曲ばかりなのが、本シリーズの素晴らしいところでもある。

文:佐藤久理子

Share On
  • Twitter
  • LINE
  • Facebook