悩める浮気妻が最後に選んだ答えとは!? 誰もが陥る“もしあの時……”の迷路『今宵、212号室で』

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ライター:BANGER!!! 編集部
悩める浮気妻が最後に選んだ答えとは!? 誰もが陥る“もしあの時……”の迷路『今宵、212号室で』
『今宵、212号室で』©Les Films Pelleas/Bidibul Productions/Scope Pictures/France 2 Cinema

長いあいだ一緒にいるのは、もちろん居心地がいいから。でもそのぶん慣れてしまって、出会った頃のときめきや恋愛感情が消えてしまうのは否めない……。そんな世の夫婦たち、もしくは恋人たちにぜひ観てほしい映画『今宵、212号室で』が“恋愛の国”フランスから届いた。

『今宵、212号室で』©Les Films Pelleas/Bidibul Productions/Scope Pictures/France 2 Cinema

浮気は結婚生活を維持する有効手段?

結婚して20年経ち、マンネリ化してすっかり“家族”になってしまった夫との結婚生活の陰で、本人いわく「結婚生活を維持するために」実はこっそり浮気を重ねていたマリア。一方、それまで妻の浮気に全く気づいていなかった夫のリシャールは偶然、妻の携帯に送られてきた恋人からのメールを見てしまって大ショック!

『今宵、212号室で』©Les Films Pelleas/Bidibul Productions/Scope Pictures/France 2 Cinema

当然マリアを問い詰めて大喧嘩に発展するのだが、はたから見ても100%非があるマリアが一切悪びれないのはさすが恋愛大国フランスといったところか。リシャールが怒って部屋に閉じこもっている間に家を飛び出し、一人になろうと向かいのホテルの212号室に向かうマリア。しかしその夜、彼女に不思議な出来事が次々と起こり始める。

『今宵、212号室で』©Les Films Pelleas/Bidibul Productions/Scope Pictures/France 2 Cinema

マリアがホテルの部屋で目覚めると、なぜかそこには“若かりし頃”のリシャールがいて「君の態度は良くないよ」と窘められたり、リシャールがマリアと結婚するまで付き合っていた青春時代の年上の恋人イレーヌが部屋に現れ女の本音対決を繰り広げたり、死んだ母親が出てきてマリアがこれまで浮気してきた男たちのリスト(ものすごい人数!)を読み上げたり、過去に関係を持った元カレたちが大挙して押し寄せたりするのだった……。

『今宵、212号室で』©Les Films Pelleas/Bidibul Productions/Scope Pictures/France 2 Cinema

一方、家でひとり悶々としているリシャールのところにも元カノのイレーヌが訪れて、あのときイレーヌと結婚していたら子どもにも恵まれて幸せに過ごしていたかもしれない、という「もしも」の世界が繰り広げられる。

『今宵、212号室で』©Les Films Pelleas/Bidibul Productions/Scope Pictures/France 2 Cinema

なんとメインキャストの2人は実際に元夫婦だった!

本作の主人公マリアを演じるのは、マルチェロ・マストロヤンニを父に、カトリーヌ・ドヌーヴを母にもつキアラ・マストロヤンニ。自身もプライベートでは恋多き女として知られているが、今回のマリア役には思うところも多かったのではないだろうか。キアラは本作で第72回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で最優秀演技賞を受賞したのも納得の演技を見せてくれる。

『今宵、212号室で』©Les Films Pelleas/Bidibul Productions/Scope Pictures/France 2 Cinema

長らく妻に浮気されていたリシャールを演じたのは、キアラの実生活の元夫であり、売れっ子音楽プロデューサーのバンジャマン・ビオレ。キアラとの間には娘が一人いるそうで、本作でも元夫婦ならではの息のあった演技を見せている。当然ながら色々あっただろうとは思うが、こうして別れた後も良好な関係を築いているのは素敵だ。なお監督・脚本は、『美しいひと』(2008年)、カトリーヌ・ドヌーヴとキアラ・マストロヤンニが母娘共演した『愛のあしあと』(2011年)などで知られるクリストフ・オノレ。

『今宵、212号室で』©Les Films Pelleas/Bidibul Productions/Scope Pictures/France 2 Cinema

全87分のお話の中には含蓄深い言葉がいくつか出てくるのだが、例えばイレーヌが現在のリシャールに「いい夫婦関係を保つために必要なことは何?」と聞く場面。「私は誠実さとユーモアだと思う」と言うイレーヌに、リシャールは「仕事と同じで、努力が大事」と答える。どんなに愛し自ら望んで一緒になった相手でも、“続ける”ためには努力が必要という現実。そして、同じく現在のリシャールがイレーヌと会話しているときにポロリと漏らす「過去こそが愛に自信を与える」という一言。生きているからには誰にでも過去はあるものだが、この言葉こそ、もしかしたらオノレ監督がこの映画で一番伝えたかったことなのかもしれない。

『今宵、212号室で』©Les Films Pelleas/Bidibul Productions/Scope Pictures/France 2 Cinema

結婚したら、多くの人が一度は考えてしまうであろう「もし、この人と結婚していなかったら……?」「あの時、別の人を選んでいたら……?」という「もしも」。大人の男女が迷い込みがちなそんな迷路に、この映画は“ファンタジー”という要素を借りながら、一つの答えを見せてくれる。マリアの、そしてリシャールの最後の選択とは? マンネリな結婚生活にため息をついている人も、そして近々結婚を予定している人も(もちろん予定はないが結婚に憧れを抱いている人も)、ぜひ劇場で噛み締めてほしい映画だ。

『今宵、212号室で』©Les Films Pelleas/Bidibul Productions/Scope Pictures/France 2 Cinema

『今宵、212号室で』は2020年6月19日(金)よりBunkamura ル・シネマ、シネマカリテほか全国順次公開

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『今宵、212号室で』

司法・訴訟史を専門とする大学教員のマリアは、付き合って25年、結婚して20年になるリシャールとパリのアパルトマンで二人暮らし。今ではすっかり“家族”になってしまった夫には内緒で、マリアは浮気を重ねていたが、ある日リシャールにバレてしまう。怒ったリシャールと距離を置くため、マリアは一晩だけアパルトマンの真向かいにあるホテルの212号室へ。マリアが窓越しに夫の様子を眺めていると、なんと20年前の姿をした夫が現れた!

「なぜそんなに若いの?」と驚きながらマリアが尋ねると、「25歳の俺に心底惚れてたくせに。俺を見てみろ!」。20年前のリシャールがカーテンを開けると、窓の向こうには一人キッチンに座る夫リシャールの姿が……。戸惑い驚くマリアの前に、これまでの元カレたちや、リシャールの初恋相手であるピアノ教師のイレーヌまでもが登場、愛の魔法にかかった不思議な一夜が幕を開けた。

制作年: 2019
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