名曲を産み出した『ロッキー』からサウンドトラックを引き継いだのは、『ブラックパンサー』作曲家!

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ライター:森本康治
名曲を産み出した『ロッキー』からサウンドトラックを引き継いだのは、『ブラックパンサー』作曲家!
『クリード 炎の宿敵』オリジナル・サウンドトラック
音楽:ルートヴィッヒ・ヨーランソン 
品番:SICP6010 /2400円+税
発売元:ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
誰もが知るあの「ロッキーのテーマ」を産み出したのは、ロッキー・バルボアと同じくイタリア系の作曲家ビル・コンティ。そして『クリード チャンプを継ぐ男』で音楽を引き継いだのは、ブラックミュージックに精通するルドウィグ・ゴランソン。ロッキーからクリードへ…引き継がれるのはストーリーだけではない!音楽ライターの森本康治さんが、サウンドトラックから見た、“引き継がれる物語”を解説してくれた。

『クリード』の熱いドラマを盛り上げる、ルドウィグ・ゴランソンのエモーショナルな音楽

ロッキー・バルボアの波乱の人生を描き、多くの人々に愛された『ロッキー』シリーズ(1976~06)の物語は、彼の盟友アポロ・クリードの息子アドニスを主人公とした『クリード チャンプを継ぐ男』(2015)で再び動き出した。映画史に残る名曲「Gonna Fly Now (Theme From Rocky)」を生み出したビル・コンティ、『ロッキー4/炎の友情』(1985)のヴィンス・ディコーラに続いてシリーズの作曲家に加わることになったのが、『Fig』(2011:短編)、『フルートベール駅で』(2013)、『ブラックパンサー』(2018)でもライアン・クーグラー監督とタッグを組んでいる新鋭ルドウィグ・ゴランソン(母国語読みでルートヴィッヒ・ヨーランソンとも呼ばれる。1984年生まれ)である。

イタリア系の血を引くコンティが、”イタリアの種馬”ロッキーの精神を音楽で見事に表現したのと同じように、音楽プロデューサーとしてブラックミュージックに精通しているゴランソンも、アドニスのバックグラウンドや彼の複雑な内面を的確に捉えている。また彼の仕事で注目すべき点は、スコアの作曲のみならず、ビアンカ役のテッサ・トンプソンが歌う曲や、ジェネイ・アイコ、ドナルド・グローヴァー、ヴィンス・ステープルズらと合作した一部の挿入歌の作曲にも携わっていることだろう。特にビアンカの歌は、曲を通して彼女のキャラクターを作り上げていくという重要な役割を果たしている。

『クリード チャンプを継ぐ男』オリジナル・サウンドトラック(スコア)
音楽:ルートヴィッヒ・ヨーランソン 
品番:SICP4747 /2400円+税
発売元:ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル

サウンドトラックからもつながる、『ロッキー』と『クリード』

『クリード チャンプを継ぐ男』のスコアを作曲するにあたって、ゴランソンはコンティのスコアを研究し、ジャズとクラシックのハーモニーを組み合わせた彼の手法から大いに影響を受けたという。例えばサウンドトラックアルバム15曲目の「If I Fight, You Fight [Training Montage]」では“Fighting hard/Fighting strong/Fighting harder”というコーラスが聞こえてくるが、これは「Gonna Fly Now」のソウルフルなコーラスに通じるものがある。またアドニスとビアンカの初デートから、ロッキーがエイドリアンの墓を訪ねるシーンに跨がって流れるアルバム6曲目の「First Date」では、「エイドリアンの愛のテーマ」が使われている。コンティが作曲したこの愛のテーマの曲タイトルも「First Date」であり、シリーズ1作目のロッキーとエイドリアンの初デートを思い出させる名場面となった。そして「Gonna Fly Now」と「Going The Distance」の使い方も絶妙で、ツボを押さえた音楽演出が観客の胸を熱くする。

このようにコンティの音楽に敬意を払いつつ、ゴランソンはボクサーのトレーニング中の音をサンプリングする手法や、自身が得意とするR&B/ヒップホップの要素を取り入れて、スコアにコンテンポラリーな感覚を持たせている。アドニスの熱い心をドラマティックなメロディで表現したメインテーマは、今後のシリーズを牽引していくパワーを持った楽曲と言えるだろう。

そして待望の新作『クリード 炎の宿敵』(18)でも、前述のメインテーマやビアンカのボーカル曲、アドニスを奮い立たせるヒップホップ、ここぞという場面で流れる「Gonna Fly Now」と「Going The Distance」のフレーズといった前作で好評だった要素は健在だが、今回はドラゴ親子のテーマ曲がスコアの聴きどころのひとつとなっている。重厚さと力強さの中に哀愁を漂わせたメロディは、ロッキーとの対戦に敗れて全てを失ったイワン・ドラゴと、息子ヴィクターの悲痛なまでの勝利への執念を観客の心に刻みつける。ゴランソンの音楽によってドラゴの内面描写に深みが増し、かつて「マシーン」や「サイボーグ」と呼ばれた彼も血の通った人間であることが強く印象づけられたのではないだろうか。ドルフ・ラングレンが演じたキャラクターのためにテーマ曲を作るというのは、彼と同じスウェーデン出身のゴランソンにとって意義深い仕事だったはずだ。アポロとドラゴから彼らの息子たちに託された宿命の戦いの結末を、ゴランソンの音楽と共に是非見届けて頂きたい。

文:森本康治

【特集:俺たちのクリード】BANGER!!!執筆陣が全力で読み解く!アポロVS.ドラゴから、アドニスVS.ヴィクターへ。

クリード 炎の宿敵

『ロッキー4/炎の友情』でロシアの王者ドラゴとの壮絶なファイトの末、帰らぬ人となったアポロ。前作『クリード チャンプを継ぐ男』でロッキーのサポートを受け、成長した亡きアポロの息子・アドニスは、父を殺した男・ドラゴの息子であるヴィクターと対峙することになる。アポロVSドラゴから、アドニスVSヴィクターへ。時代を超えて魂のバトンが手渡される因縁の対決。世紀のタイトルマッチのゴングが、いま鳴り響く!

制作年: 2018
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音楽:
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