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Netflix『シークレット・ラブ: 65年後のカミングアウト』 迫害に立ち向かって貫いた愛の尊さ

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ライター:#椎名基樹
Netflix『シークレット・ラブ: 65年後のカミングアウト』 迫害に立ち向かって貫いた愛の尊さ
Netflixオリジナル映画『シークレット・ラブ:65年後のカミングアウト』独占配信中

人生の終盤を迎えようとしている同性カップルの「現在」と「過去」

とにかくやたらと泣けるので戸惑ってしまった。長い外出自粛のせいで情緒不安定になっているのかと自分をいぶかしむ。Netflixオリジナル作品『シークレット・ラブ: 65年後のカミングアウト』は、アメリカに住む、テリーとパットというレズビアンのカップルに2013年から2018年までの5年間密着したドキュメンタリーだ。

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2人は1940年代の後半から付き合い始め、65年後の2009年、年齢が80代を超えてから周囲にカミングアウトした。「65年後のカミングアウト」という邦題を見て、私は歳をとって同性愛をカミングアウトしたカップルに予想外の困難が待っていて、同性愛者をめぐる社会的状況が依然として厳しいことを告発する社会派の作品なのかと思った。

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しかし実際は、人生の終わりを迎えようとしているカップルの「現在」と「過去」が淡々と語られる、心温まるストーリーだった。

そこに描かれているのは、誰にでも青春があり、それは短くはかないこと。誰もが老いること。人生は短いこと。信じ合って生きることの美しさ。老いて身体が言うことをきかなくなった時、人は選択をしなくてはならないということなど、ごく普通のことばかりだ。だから泣ける。ある程度の年齢なら、誰もが共感できるだろう。50歳を越えて、やたらと涙もろくなった私は2度見て2度とも泣きっ放しだった。

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「後悔はない。人生を謳歌した」

「普通」を手に入れることが困難な人たちを描いているからこそ、その尊さが実感できる。また困難であるために、テリーとパットの恋愛ストーリーはとても情熱的でロマンチックである。社会的な迫害に立ち向かって愛情を貫く姿には、凛とした尊厳がある。

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監督のクリス・ボランはテリーの甥っ子である。叔母からカミングアウトされた時、それはびっくりしたそうだ。この作品で驚かされるのは、テリーとパットの青春時代が撮影されたフィルムが豊富に残っていることだ。1940年代生まれの普通の人物の動画が、これだけたくさん残っているなんて、さすがアメリカ豊かだわと妙な感心をしてしまった。このフィルムのおかげで、2人の青春が鮮やかに伝わってくる。「後悔はない。人生を謳歌した」というテリーの最後の言葉に説得力を加える。

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1時間22分と作品の長さも手頃で、感動間違いなし。趣味がいい挿入歌、挿入曲が心地いい。おうち時間にはぴったりだ。

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文:椎名基樹

『シークレット・ラブ: 65年後のカミングアウト』はNetflixで独占配信中

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『シークレット・ラブ: 65年後のカミングアウト』

偏見の時代、ずっと関係を隠し続けてきた2人の女性。晩年になってやっとカミングアウトできた喜びも束の間、年を重ねた今だからこその困難が待ち受けていた。

制作年: 2020
監督: