「好きな俳優はショーン・ペン、浅野忠信、おすすめ映画は……」 俳優 村上淳の“映画に取り憑かれた”半生

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ライター:BANGER!!! 編集部
「好きな俳優はショーン・ペン、浅野忠信、おすすめ映画は……」 俳優 村上淳の“映画に取り憑かれた”半生
村上淳

モデルとして芸能界デビューをし、俳優、DJ、デザイナーとしても精力的に活動中活動の村上淳さん。貴重なロングインタビュー最終回は、敬愛する国内外の映画監督やフェイバリット作品、切磋琢磨し合う俳優仲間たち、そして“映画監督”としての今後や“映画そのもの”への想いまで、赤裸々に語っていただいた。

「三島由紀夫と討論する学生を見て、“うざい”とか一言で片付けてる47歳じゃ駄目だなと(笑)」

―おすすめの映画をランダムに挙げると?

『勝手にふるえてろ』(2017年:大九明子監督)は観たほうがいいです。あれはめちゃくちゃ面白い。邦画の本当に素晴らしい部分だと思います。感動したいときは『ビッグ・フィッシュ』(2003年)を観たほうがいいです。ティム・バートン。あれは泣けますね。『トイ・ストーリー』(1995年)より泣ける。『トイ・ストーリー3』(2010年)は最高に泣けますけど。なんで映画館で泣くとあんなに気持ちいいんですかね。家で泣くより気持ちいいですよね。

それと、最近観たドキュメンタリーの『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』(2020年)、めちゃくちゃ面白いですよ。いまの若い人は簡単な言葉で相手を切り捨てるでしょう?「サムい」とか「ヤバい」とか。

『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』© 2020 映画「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」製作委員会

―(笑)。まあ人によりけりですけどね。

思想があるかないかは正直、ものづくりに大きく関係してくるんだけど。東大生が三島さんに電話して、討論したいと行くわけですよ。右翼・左翼で、相手の思想に詳しいんだよね。知識があって、初めて相手を攻撃する。しかも、安っぽい言葉を使わないんです、ユーモアがあって。ちょっと感激しました。とともに、自分が「うざい」とか一言で片付けている47歳じゃ駄目だなと(笑)。

『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』© 2020 映画「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」製作委員会

―20歳くらいの東大生と、三島は亡くなる直前だから44~45歳。親子くらい違うわけですもんね。

感動したのが、野次が飛ぶわけ。「三島をぶん殴れると思ったから俺は参加しにきたんだ」というのに、(学生側の)リーダーが「壇上に上がってこい。今日は討論だ。なんか言えよ。暴力じゃないんだ」と。要するに論破してなんぼみたいな。相手を攻めるんだったら、その前に相手の主張を勉強するのが筋だなと。

『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』© SHINCHOSHA

「好きな俳優はショーン・ペンかトニー・レオン、日本人だと浅野忠信くん」

―村上さんの憧れの存在というと、ショーケン(萩原健一)さん?

世代的には松田優作さんか萩原健一さんなんですが、『探偵物語』(1979年)も『傷だらけの天使』(1974~1975年)も、まともに観てないんです。でもありがたいことに、数年前に萩原健一さんと共演する機会があって、楽しかったな。松田優作さんをすごいと思ったのは『ブラック・レイン』(1989年)です。10年くらい前にDJをしたんですけど、DJをやっているときに、モニターで『ブラック・レイン』が流れていて観ちゃったんです、画力が半端なくて。それで音楽を止めて、みんなで『ブラック・レイン』を観たんですよ。

―脇役もすごく魅力的ですよね。内田裕也さんも出ていたかな。

裕也さんと安岡(力也)さん。原田芳雄さんの『竜馬暗殺』(1974年)もぜひ観ていただきたいなと思います。『EURWKA ユリイカ』(2000年)で晩年の田村正毅さん(が撮る画を)を観てほしい(※撮影監督)。それとウォン・カーウァイ監督と、撮影監督のクリストファー・ドイル(ある船頭の話[2019年])、リー・ピンビン(長江 愛の詩[2016年])も忘れちゃいけないです。衝撃だったな。

―『恋する惑星』(1994年)ですか?

あのへん全部。映像は観たことがないような美しさ、色合いだし。内容もそんなに難しいわけじゃない。ウォン・カーウァイはぜひ全作品観てほしいですね、あのトニー・レオンと。

好きな俳優を挙げろと言われると、ショーン・ペンかトニー・レオンになります。日本人だと浅野(忠信)くんが一番好きです。19歳のときに彼を観て、真似したら絶対に太刀打ちできないとコテンパンにされました。同い年で良かったな。いまの20代とか、浅野くんの呪縛からいまだに抜けられていないから気の毒だなと思います。あのナチュラルな芝居は浅野くんにしかできないです。『チワワちゃん』(2019年)の浅野くんのシーン、必見ですよ。彼が役になりきって、フルアドリブでチワワちゃんをガンガン追い込むわけ。

池松(壮亮)も好きだし、染谷(将太)も好きです。僕、同業とほとんど遊ばないので連絡も取らないんですけど。現場で会えればいいなと。普段会ってもいいことないですよ。尊敬する俳優は大杉漣さんです。映像もやって、舞台もやってということもあるんですけど。

「映画を監督すると宣言してからは分析しちゃって、映画を観てもあまり面白くない」

―これだけ映画を観て、現場もいろいろ体験して、自分で撮りたいというか、映画をつくりたい気持ちはないんですか?

あります。僕、1本も撮ったことないんですけど、うちの事務所の人間が揃ったときに、「僕は5年以内に映画監督をします」と宣言したんです。でも、それから映画を観てもあんまり面白くないんです。分析しちゃうから。

―純粋に観客として楽しめなくなってしまった?

音楽が1秒遅いとか、そういう見方をしちゃっているから。ここレンズ間違えているだろうとか、これミリ数違うだろうとか考えているうちに、映画が終わっちゃうんです。このキャスト2人いる? 2人削りゃあ400万くらいの曲使えるんじゃないの、とか思っちゃうんです。

―頭の中で映画を作っていますね、もう。作ったほうがいいですよ、それは。

僕、社会的に発したいメッセージが何もないんです。あったらたぶん、もう行動していると思うんですが、ないんです。撮りたいスタッフィングはありますよ。だから誰かの脚本を撮るとか共同脚本はあると思うんですけど。

―映画は企画から考えると、5年くらいかかりますよね。

そうですね。すごく有名な女優や俳優って、3年後までスケジュールが埋まってるんですって。

―押さえておかないと撮れない。

でも僕、撮りたいものがないから。オダギリくんは明確に撮りたいものがあって、『ある船頭の話』(2019年)は8年前に彼が書いた脚本なんです。

―大変ですよね、俳優の仕事を止めてスケジュール調整して。

2019年はずっと映画界の動向を自分なりに見て、2020年から撮影監督、照明、録音あたりとアプローチしだそうかなと思いましたけど、まったく動いていないです。でも、撮りたいですね。

「僕にとって映画は“人生”です。それ以外ない」

―村上さんは完全に映画に取り憑かれている映画の人だと思います。ご自身にとって映画とは?

僕にとっては“人生”です。それ以外ないですね。気になる女優さんとお茶したいか、食事に行きたいかといえば、やっぱりカメラの前で会いたい。仲良くなりたいわけじゃないから。映画ではないですけど、高畑充希さんと面と向かって芝居をしたときに、めちゃくちゃ波動が良かったんです。もちろん高畑さんの連絡先も知らないし、会ったりもしていないですけど。ただ、僕はあの瞬間瞬間を忘れないという、それがたぶんずっと続いていて。

―カメラの前にいて、そのときのテンションというか気持ちが、本当に人生で生きている時間になる。それは役者をやっている方にしか味わえない“何か”なんでしょうね。

マニアックなんでしょう、僕は。でも本当に面白くない映画を観たと思っても、「なんでか知らないけどあのシーン覚えてるんだよな、あの映画の」と思わせたら、その映画の勝ちですよ。「あの映画すごく良かったよね。あれ、どんな映画だっけ?」というのは10年、20年経つとありますから。今は、インディー、大作関係なくスケジュールが合えばなんでもやらせていただくスタンスです。

インタビュー:稲田 浩(ライスプレス代表)

写真:嶌村 吉祥丸

撮影協力:しぶや花魁

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