ワガママ三昧に暴言……N・ポートマンが堕ちたスターを熱演! 自分自身であろうと足掻く姿が胸を打つ『ポップスター』

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ワガママ三昧に暴言……N・ポートマンが堕ちたスターを熱演! 自分自身であろうと足掻く姿が胸を打つ『ポップスター』
『ポップスター』© 2018 BOLD FILMS PRODUCTIONS, LLC

ナタポとJ・ロウが製作総指揮! 超豪華布陣で贈るギョーカイ人間ドラマ

主演・製作総指揮にナタリー・ポートマンとジュード・ロウ、そして<FUJI ROCK FESTIVAL’19>に出演したシンガーのシーアも製作に携わった映画『ポップスター』。監督を務めたのは、2015年の『シークレット・オブ・モンスター』以来、長編2作目となるブラディ・コーベットだ。

『ポップスター』© 2018 BOLD FILMS PRODUCTIONS, LLC

2000年、クラスメイトによる校内銃乱射事件に巻き込まれ、生死を彷徨い生還した14歳のセレステ(ラフィー・キャシディー)は、姉のエレノア(ステイシー・マーティン)と共作した追悼曲が大ヒットし、マネージャー(ジュード・ロウ)と出逢いスターダムへと駆け上がる。2017年、31歳になったセレステ(ナタリー・ポートマン)はスキャンダルで活動を休止してから、1年間かけてカムバックツアーを企画していた。ツアー初日、セレステの過去を模範するような事件が起こりトラウマと向き合うことになるが、それでも彼女はステージへと向かう……という二部構成になっている。

『ポップスター』© 2018 BOLD FILMS PRODUCTIONS, LLC

凄惨な事件を機にポップスターとなった女性の転落人生!

銃乱射事件を目の前にしても動揺せず、犯人を説得しようと試みるセレステは14歳とは思えない落ち着きぶり。ちょっと浮世離れしていて、一貫して達観した素振りが印象的だ。追悼曲がヒットしたとき、浮かれるエレノアに対し「期待しない。生活は変えない」と伝える姿も、ちょっと背伸びしすぎなんじゃないの? って思ってしまう。

17年経って31歳になったセレステは、びっくりするくらい様変わりしている(空白の17年間に起こったことは、なぜかウィレム・デフォーが丁寧にナレーションしてくれます)。まさに“スター”なワガママ三昧で、身の回りに起こる全てをエレノアやマネージャーなどに任せっきり。パパラッチに暴言を吐き、あげく自分の娘に対しても「善行には罰がつくのよ」なんて言ってしまう困ったセレブぶりだ。

『ポップスター』© 2018 BOLD FILMS PRODUCTIONS, LLC

一見、過去の自分を否定しているようだけれど、共通していることがある。彼女は理想の“あるべき姿”に囚われていた。過去には“自分らしくいる”こと、現在は“スターらしくいる”こと。

ただ彼女は賢いものの、そこまで器用ではなかった。「こうありたい、こうあるべき」と思えば思うほど、世間と自分が描くイメージはズレていき、自分を見失う。その不穏なムードは作品全体に漂っていて、歳を重ねて地位も名誉も得たにも関わらず、結局は何も持っていない孤独な彼女の内面を際立たせている。

『ポップスター』© 2018 BOLD FILMS PRODUCTIONS, LLC

醜くても見苦しくても“自分自身”であろうとする主人公

この作品に救いがあるとすれば、大人になったエレノアが左肩に入れている蛇のタトゥー。調べてみたら、タトゥーとして入れた蛇の意味は「再生」「永遠」らしい。これはひどい失敗を繰り返した過去を踏襲し、再生して永遠にスターでいるという決心を暗に示していたんじゃないかなと思う。醜くても見苦しくても“自分自身”であろうとするセレステのメタファーは、とってもダサくて、美しい。

『ポップスター』© 2018 BOLD FILMS PRODUCTIONS, LLC

姿の見えない暴力は、いまも誰かによって日常的に行われている……っていう悲惨な現状だと思うんだけど、想像力の欠如した人たちからの妬みに自分を見失いそうになって、それでも何者かでありたいと模索するセレステの姿に共感する人もいるのでは?

ちなみに劇中のセレステが歌唱する複数の楽曲は、録音までシーアと彼女の製作チームが携わる贅沢具合。クライマックスのライブシーンなんかは監督自身が演出にとてもこだわって、会場となる舞台もCGではなく実際に製作したっていう気合の入れっぷり。要注目です。

『ポップスター』© 2018 BOLD FILMS PRODUCTIONS, LLC

文:巽啓伍(never young beach)

『ポップスター』は2020年6月5日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国順次ロードショー

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『ポップスター』

時は2000年、アメリカに暮らすセレステは、14歳にして人生の劇的な変化に直面する。同級生による銃乱射事件に巻き込まれ、生死の境をさまよった果てに蘇ったのだ。さらに、姉のエリーと作った犠牲者への追悼曲が国民的大ヒットを記録、敏腕マネージャーと契約して発売したアルバムも注目される。エリーに見守られながら、ヨーロッパでのレコーディング、LAでのMV撮影など、スターへの階段を一気に上っていくセレステ。そんな中、エリーとマネージャーが男女の関係になり、セレステは姉に裏切られたと感じ、大きなショックを受ける。その日以来、姉妹の心は決裂し、セレステの純粋無垢な少女時代も終わりを告げるのだった。

時は2017年、31歳になったセレステは、一度は頂点を極めたスターダムから転落していた。何かと世間を騒がせる言動に走り、スキャンダルで炎上し、アルコールに溺れていたのだ。だが、歌への情熱だけは失くしていない。何とか復活を遂げようと、1年間をかけて自身の集大成かつ最高となるツアーを企画。ところが、その初日を前にして思わぬニュースが入る。クロアチアのビーチで銃乱射事件が起こり、犯人全員がセレステの大ヒット曲「ホログラム」のMVで使ったシルバーのマスクを着用していたというのだ。

バッシングを避けるために、記者会見を開くことになるが、事件のトラウマが押し寄せナーバスになるセレステ。そこへ、娘のアルビーが、子育てを任せてきたエリーに連れられて訪ねてくる。セレステは、ストレスをエリーにぶつけ、些細なことで姉を罵倒する。傷ついたエリーは、涙ながらに「今度、私を脅したら、子育ても曲作りも私がしたって暴露する」と訴えるが、セレステは「何を暴いても誰も気にしない時代よ」と平然と言いのけるのだった。

記者会見の席で、何度か危ない発言に流れそうになるが、何とかマネージャーが用意した無難な声明を暗唱するセレステ。だが、個別の取材で、今回のツアーは、数年前に危険運転で相手に重傷を負わせて逮捕されたことからの復活かと問われ、我を失ってしまう。

コンサート会場に到着すると、緊張と恐怖、メディアへの怒りなど様々な感情が爆発してパニックを起こすセレステ。だが、遂にショーが幕を開けると、満員の観客はもちろん、セレステに人生を奪われたエリーさえも興奮と歓喜に包まれる圧倒的なパフォーマンスが始まる─。

制作年: 2018
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