大注目女優ジェシー・バックリー!『ジュディ 虹の彼方に』『ワイルド・ローズ』で瞳と歌声に魅了される

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ライター:髙橋直樹
大注目女優ジェシー・バックリー!『ジュディ 虹の彼方に』『ワイルド・ローズ』で瞳と歌声に魅了される
『ジュディ 虹の彼方に』©Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019
/『ワイルド・ローズ』© Three Chords Production Ltd/The British Film Institute 2018

イギリスから世界へ! 瞳と声で観客を魅了する注目女優登場

1989年にアイルランドに生まれ、シンガーソングライターとして活躍してきたジェシー・バックリーは、初主演したミステリー映画『Beast(原題)』(2017年)の演技が高く評価され、2019年の英国アカデミー賞で「ブレイクスルー・ブリッツ(有望新人)」に選出された。この快挙に続き、映画『ワイルド・ローズ』(2018年)での英国アカデミー賞主演女優賞ノミネートによって一躍注目を浴びる存在となった。

慎ましいマネージャー役でチャーミングな目の演技を披露する『ジュディ 虹の彼方に』(2019年)、自由奔放に生きたいと願うシングルマザーのカントリーシンガーを声で体現した『ワイルド・ローズ』、この2本の音楽映画が立て続けに公開されるジェシー・バックリーは、赤マル付きの要チェック女優なのだ。

『ジュディ 虹の彼方に』
ジェシーの瞳が複雑な感情を表現

ジュディ・ガーランドの晩年を描いた『ジュディ 虹の彼方に』は、ご存知の通りレネー・ゼルウィガーがジュディを熱演、第92回アカデミー賞と第77回ゴールデン・グローブ賞で主演女優賞を受賞した話題の注目作だ。この作品でジェシー・バックリーは、生活を立て直すためにイギリス公演を決めたジュディを迎え、慎ましく世話をするコンサート・マネージャー、ロザリンを演じている。

『ジュディ 虹の彼方に』©Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

16歳で銀幕スターとなったジュディは、女優として働き続けるために日中は興奮剤で覚醒させられ、その反動で眠れない夜には睡眠薬を投与され続け、アルコールにも溺れていた。ロザリンは、公演前日にリハーサルをする教会に案内するが、湿気臭いと文句をつけられ、疲れているからと音合わせを拒否される。初日の開演時間になっても楽屋にジュディの姿はない。ホテルに急いだロザリンは、浴室で震えているジュディを見つける。酒をあおり「歌えない」とうなだれる姿を目にするや、クローゼットからドレスを取り出すと問答無用に着替えさせて会場へと向かう。周囲が不安に包まれる中、ステージに登場したジュディは何事もなかったかのように歌い始める。歌うことを運命づけられた歌姫の輝かしい姿に、ロザリンは目を奪われるのだった。

『ジュディ 虹の彼方に』©Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

気分が突然変わるジュディに振り回され続けながらも、ロザリンは公演を続けるために奮闘を続ける。常に尊敬の念を保ち、現在に至る歌姫の軌跡に思いを馳せ、素晴らしい歌唱に魅了され、酒に溺れて自分を見失いそうになる傷つきやすい女性を見つめ続ける。トキメキ、驚き、悲しみ、微笑み、そして慈しみ。ジュディを見守るコンサート・マネージャーの様々な感情がジェシー・バックリーの“瞳の演技”で表現されていく。その瞳はジュディの姿を映す合わせ鏡のように、輝いたり、曇ったり、困惑したり、睨みつけたりする。この複雑な感情のニュアンスを、セリフではなくふたつの瞳で表現したジェシー・バックリーに、僕はすっかり魅了された。

『ワイルド・ローズ』
夢を追うジェシーの歌声が世界を魅了

ジェシー・バックリーは、カントリー歌手を目指す女性ローズ=リン・ハーラン役を射止めた『ワイルド・ローズ』で全身を躍動させて歌い、悩み、葛藤するシングルマザーを好演し、英国アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。

『ワイルド・ローズ』© Three Chords Production Ltd/The British Film Institute 2018

酔っ払ってヤクを若者に渡したローズが刑期を終えて出所した。彼女の夢は、グラスゴーを出てカントリーの発祥の地ナッシュビルでシンガーとして認められること。でも、保護観察期間中は足枷をつけられ、夜7時から翌朝7時までは家でじっとしていなくてはならない。ふたりの子どもは母が面倒を見てくれていたが、これからは甘えられない。自由の身となったローズは夢に向かって走り始めようとするが、前科者のレッテルとシングルマザーの責任が重くのしかかる。

母子3人でアパートに引っ越したローズは、掃除婦として働き始める。ある日、彼女の歌唱力に感嘆した雇い主のスザンナが救いの手を差し伸べる。千載一遇のチャンスの訪れを前に、前科者で、子どもが二人いることを秘密にしていた彼女は激しく葛藤する。自分を偽ってまで夢を追い続けるのか、家族のためにこれからの人生を捧げるのか。人生最大の選択の時、ローズはどんな決断をするのか……。

ジェシー・バックリーが歌で魅せる『ワイルド・ローズ』は、自由の身となって乗り込んだバスで風を感じる冒頭からラストシーンまで、カントリーソングが満載だ。もちろん、ほぼ全曲を彼女自身が歌っている。常連だったクラブでオーナーの反対を押しきってマイクを握る。掃除をしている時も、スザンナと子どもたちが見守る前で恥じらいながら歌う時も、二人の子を預けて夢に向かってリハーサルを重ねる時も、いつも彼女の周りにはカントリーソングがある。夢に向かって走りたい。でも、目の前には厳しい現実が待ち受ける。起伏の激しいローズの感情が歌に重なって、ふと気がつくと僕は夢中になって彼女を応援していたのだった。

3月公開の『ジュディ 虹の彼方に』、6月公開の『ワイルド・ローズ』、2本の音楽映画でジェシー・バックリーが披露するふたつの魅力を、ぜひ映画館で楽しんでいただきたい。

文:高橋直樹

『ジュディ 虹の彼方に』は2020年3月6日(金)より、『ワイルド・ローズ』は2020年6月26日(金)より全国ロードショー

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『ジュディ 虹の彼方に』

かつてはミュージカル映画の大スターとしてハリウッドに君臨していたジュディ・ガーランドが、窮地に立たされていた。1968年、度重なる遅刻や無断欠勤のせいで映画出演のオファーも途絶え、今では巡業ショーで生計を立てているのだが、住む家もなく借金は膨らむばかり。まだ幼い娘と息子をやむなく元夫に預けたジュディは、ロンドンのクラブに出演するために独り旅立つ。英国での人気は今も健在だったが、いざ初日を迎えると、プレッシャーから「歌えない」と逃げ出そうとするジュディ。だが、一歩ステージに上がると、たちまち一流エンタテイナーと化して観客を魅了する。ショーは大盛況でメディアの評判も上々で、新しい恋とも巡り会い、明るい未来に心躍るジュディ。だが、子供たちの心が離れていく恐れと、全存在を歌に込める疲労から追い詰められ、ついには舞台でも失態を犯してしまう──。

制作年: 2019
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